1. 福岡県交通ビジョンについて
委員長井上博行委員長
令和8年7月30日(木曜日)
午前11時7分 開会
それでは、出席者が必要な人数に達しましたので、空港・交通インフラ調査特別委員会を始めます。
報道機関からテレビカメラなどでの撮影の申し出があり、許可しています。撮影する方は、配付している撮影エリアの図面と注意事項を守り、事務局の指示に従ってください。
今日の議題は、お配りしたとおりです。
始める前に、皆さんにお知らせがあります。委員会で県の担当者が説明や答弁をするときは、これまでの議会のしきたりで、立ち上がって行うことになっていました。しかし、議会改革の一つとして、今日の委員会では、手を挙げたあと座ったままで説明・答弁してもらう方法を試しに行います。ご協力をお願いします。
それでは、議事に入ります。
まず、「福岡県交通ビジョンについて」を議題にします。県の説明をお願いします。秋田交通政策課長。
県の担当者秋田交通政策課長
委員会資料1を使って、今の交通ビジョン(福岡県の交通についての長期的な計画)の進み具合と、次のビジョンについて説明します。
【今のビジョンの進み具合(令和7年度)】
計画期間5年のうち4年がたったので、まだ目標に届いていないもののうち、達成率が80%以上のものを「順調」、それ未満のものを「遅れている」としています。24の目標のうち、達成済みが10件、順調が7件、遅れているものが7件です。
遅れているものについて説明します。
・基本方針1(九州・山口全体の発展を支える交通ネットワーク)
北九州空港の利用者数は、速報値で127万人だった令和6年度から少し増えましたが、目標の80%に届いていません。県は、運休・減便した路線の再開や増便、新しい路線の就航、国際定期便の維持・拡大のため、着陸料などの費用の一部を助成しています。
三池港のコンテナ取扱数は、令和6年度からさらに減りました。令和7年4月下旬から、船が古くなったために韓国・釜山との航路が休止したことが影響したと考えています。県は、船会社に新しい航路を開いてもらうための営業活動(ポートセールス)を続け、新しい航路ができたら荷主の企業にも積極的に利用を呼びかけます。
・基本方針2(デジタル・環境にやさしい交通)
遅れているのは、路線バスの利用者数です。運転手不足や利用者の減少で、路線の減便や廃止が進んでいます。令和7年度には28区間、距離にして300キロメートル以上が廃止され、利用者が減る原因の一つになっています。
県は、市町村や交通事業者などでつくる協議会で話し合い、バスがなくなった後の代わりの交通手段を確保しています。また、バス会社への補助や、利用を増やす取り組みを行っています。
さらに運転手を確保するため、令和6年度から運転体験会や合同会社説明会、職場環境の改善への支援を行っています。令和8年度からは、バスだけでなくタクシー会社や地域の鉄道も対象に、人材確保や定着を助けるアドバイザーの派遣や、東京・大阪・名古屋の3大都市圏から福岡県に移住してバスや地域鉄道の運転士として就職する人への就職奨励金の支給も行っています。
・基本方針3(住み慣れた地域で暮らし続けられる持続可能な交通)
遅れているのは3項目です。日本人の延べ宿泊者数は、「ふくおか平日おトク旅」などの観光キャンペーンでコロナ前を上回っていますが、物価高の影響で伸び悩んでいます。県は、旅行者の受け入れ環境の充実、観光資源の魅力アップ、宣伝の工夫などで宿泊者数を増やしていきます。
鉄道駅の段差解消率(バリアフリー化の割合)は、令和6年度に段差を解消した場所が1か所増えましたが、割合は下がりました。国の基本方針に合わせて目標を決めているため、駅の利用者数の増減によって整備の対象になる駅が変わるためです。県は、鉄道会社が駅をバリアフリー化するときに市町村が負担する費用の一部を支援する制度を令和6年度につくりました。この制度も使いながら、市町村に働きかけていきます。
・基本方針4(災害に強く、安全・安心な交通)
遅れているのは2項目です。令和7年度の交通事故の死者数は85人で、前の年より6人減りましたが、目標には届いていません。悪質・危険な違反の取り締まりを徹底し、県・県警察・市町村などが協力して交通ルールを広めるなど、事故を減らす対策を進める必要があります。
飲酒運転による事故は、令和7年度が96件で、6年ぶりに増えた令和6年と同じ数でした。「第4次福岡県飲酒運転撲滅推進総合計画」に基づき、取り締まりの強化や広報、交通安全教育などに取り組む必要があります。
【次の交通ビジョンについて】
前回の委員会で報告したとおり、今年度は次のビジョンを作る年です。今のビジョンは、交通全体の幅広いテーマを扱った「福岡県交通ビジョン2022」(令和4年策定)に、令和5年度から地域公共交通計画としての役割も持たせたものです。次のビジョンは、この形を大きく変えたいと考えています。
人口減少、燃料価格の高騰、地球温暖化による災害の激しさなど、バスや鉄道などの地域公共交通をめぐる環境はますます厳しくなっています。県民や企業の皆さんの生活や経済活動を支える地域公共交通を、どうやって続けていくかが大きな課題です。
一方で、MaaS(スマホなどで複数の交通手段の検索・予約・支払いをまとめてできる仕組み)などの交通のデジタル化や、さまざまな乗り物の普及、自動運転への期待もあります。こうしたものを活用して地域公共交通を守るには、行政だけでなく民間も一緒に取り組むことが欠かせません。
また、市町村はそれぞれの地域に合った地域公共交通計画を作っている、またはこれから作るので、県のビジョンは、官民の関係者が一緒に地域公共交通を守るための方向性を示すものにします。
作り方の方針は3つです。
1. 国の地域交通法に基づく「地域公共交通計画」として、地域にとって望ましい交通サービスの姿を示すマスタープランにします。
2. 特に地域公共交通の維持に焦点を当て、官民連携の強化や交通のデジタル化の活用など、関係者が一体となって取り組む方向性を示します。
3. 地域公共交通に特化するため、道路整備、物流、交通安全など、ほかの計画に書かれている分野はそちらに任せ、今回のビジョンからは外します。
これを踏まえ、名前を「福岡県地域公共交通ビジョン」とし、次の3つの基本方針を掲げたいと考えています。
1つ目は「官民連携による、地域住民の暮らしを支える持続可能な移動手段の確保」です。通勤・通学・通院・買い物など日常生活に欠かせない交通を守るため、運転手などの担い手確保、利用促進、ユニバーサルデザイン(誰にでも使いやすい設計)、安全の確保、災害への備えなどをまとめます。
2つ目は「いつでも、どこへでも、快適に移動できる公共交通の実現」です。地域の外との行き来に必要な交通網の強化、さまざまな乗り物の活用、MaaSやデータを使った交通網の改善、自動運転などをまとめます。
3つ目は「他の分野と交通の連携による価値の最大化」です。まちづくり、観光、脱炭素などの分野と交通が協力し、お互いの取り組みの価値を高めることをまとめます。
10ページには次のビジョンのイメージをまとめていますので、後でご覧ください。
次のビジョンは、学識経験者、県議会議員、行政機関、交通事業者、労働団体などでつくる「福岡県交通対策協議会」で議論しています。7月27日(月)の協議会では、地域公共交通に特化した計画にする方向性に賛成する意見をいただきました。また、ビジョンから外す道路や交通安全も地域公共交通にとって大切なテーマなので、県としておろそかにしないでほしいという意見もありました。今後、協議会やこの委員会での議論を踏まえて素案を作り、11月下旬に予定されているこの委員会でお示ししたいと考えています。
説明は以上です。
委員長井上博行委員長
説明が終わりました。
これから質疑を行います。質問はありませんか。
―― 「なし」と呼ぶ者がある ――
2. 福岡県自転車活用推進計画について
委員長井上博行委員長
特にないようなので、この件の質疑を終わります。
次に、「福岡県自転車活用推進計画について」を議題にします。県の説明をお願いします。秋田交通政策課長。
県の担当者秋田交通政策課長
委員会資料2を使って、自転車活用推進計画の進み具合と、次の計画について説明します。
【今の計画の進み具合】
今の計画には7つの目標があります。令和7年度の時点で、順調なものが3件、遅れているものが4件です。遅れているものを説明します。
・目標1「自転車を快適に使えるまちづくり」
自転車が走る道の整備や、シェアサイクル(自転車を共同で使う貸し出しサービス)の普及などに取り組んでいます。自転車ネットワーク計画(自転車が走りやすい道路をつなげて整備する計画)を作った市町村の数は、目標20市町村に対して13市町で、遅れています。まだ作っていない市町村に計画の必要性を説明し、それぞれの課題に合わせて支援していきます。
・目標3「自転車を使った観光と地域の活性化」
サイクルツーリズム(自転車で地域を巡る観光)の促進などに取り組んでいます。「サイクリストに優しい宿」と、サイクリングの拠点となる「ゲートウェイ」の登録施設数の2つが遅れています。市町村や観光協会に補助制度や登録制度を知らせたり、宿を訪問して協力をお願いしたりして、登録数を増やしていきます。
・目標4「自転車・歩行者・自動車が安全に通行できる社会づくり」
安全教育や啓発、取り締まりなどに取り組んでいます。自転車が関係する事故の件数が遅れています。令和7年度は前年度より186件減りましたが、計画を作ったときの数と比べると、目標の達成は遅れています。関係者が協力して交通ルールをさらに広め、悪質・危険な違反の取り締まりを徹底するなど、事故を減らす対策を進めます。
【次の計画について】
都道府県の自転車活用推進計画は、法律に基づき、国の計画の内容を参考にして作ることになっています。今年5月に閣議決定された国の第3次計画では、安全で快適に走れる環境の整備や、「青切符」(交通反則通告制度。自転車の交通違反にも反則金が科される仕組み)の導入などによる、自転車事故のない安全な社会づくりが目標に掲げられました。県も、特に青切符の導入に合わせた自転車の交通ルールの周知などを、次の計画に盛り込みたいと考えています。
次の計画には5つの基本方針を掲げます。基本方針Ⅰ・Ⅱ・Ⅴの3つは、今の計画の目標と内容をそのまま引き継ぎます。国の計画を踏まえ、新たに基本方針Ⅲとして「自転車と公共交通の連携推進」を加え、今の計画の「自転車を使ったスポーツと健康づくりの推進」に「脱炭素の推進」を加えたものも基本方針にします。新しい項目には「新」の印を付けていますので、参考にご覧ください。
次の計画は、福岡県交通対策協議会で議論しています。7月27日の協議会では、遅れている目標が多いので、なぜ進んでいないのかをしっかり分析して取り組んでほしいという意見をいただきました。この委員会でのご意見も踏まえて素案を作り、11月下旬に予定されている次回の委員会でお示ししたいと考えています。
説明は以上です。
委員長井上博行委員長
説明が終わりました。
これから質疑を行います。質問はありませんか。堀委員。
委員堀大助委員
自転車の活用について、2つあります。
1つ目です。自転車の交通違反やマナーが悪いという話をよく聞きます。私自身も、特に都市部で危ない目に何度も遭っています。次の計画を作るときは、自転車のマナーを良くすることや、「自転車も車両の一つ」という意識を徹底してほしいです。以前、議会の質問でも取り上げましたが、何をしてよくて何をしてはいけないのかを、しっかり知らせてほしいと思います。高校生ぐらいまでは学校でいろいろ教わると思いますが、大学生ぐらいになるとかなり自由に乗る人もいるので、そうした人たちにもしっかり伝えて、社会のルールに合った自転車の使い方を徹底してください。
2つ目です。計画の中には違法駐輪の取り締まりや放置自転車対策があり、これは大切です。ただ、その一方で自転車をとめられる場所をしっかり整備しないと、理想論ばかりでは難しいと思います。自転車は小回りが利く乗り物として価値が高いです。例えばヨーロッパなどでは、町のあちこちに、ホッチキスの芯を地面に刺したような形の駐輪スタンドがあって、自分で鍵をかけてとめられます。そのおかげで自転車の利用が進み、わざわざ違法な場所にとめる必要もない環境ができています。
目的地から遠い場所に駐輪場を用意して「ここにとめて歩いてください」とすると、自転車に乗る人はやはり目的地まで乗って行きたいので、違法駐輪対策としてはあまり効果がないと思います。現実的に考えて、自転車に乗る人がとめやすい環境づくりも計画に含めてほしいです。答えにくければ、そういう方向でお願いしますということで、要望とします。
委員長井上博行委員長
要望ということでよろしいですか。
委員堀大助委員
もしご意見があればお願いします。
▷ 秋田交通政策課長。
県の担当者秋田交通政策課長
ご意見ありがとうございます。自転車の活用を進めるには、安全のための取り締まりと、環境を整えることの両方が必要だと考えています。いただいたご意見を関係する課と共有し、今後の計画にどう反映させるかを協議していきます。
▷ 中嶋委員。
委員中嶋玲子委員
自転車活用推進計画の基本的な枠組みについて質問します。私は中山間地域(山あいの地域)に住んでいて、下り坂はいいのですが、上り坂は自転車を押して上がらないといけないなど、いろいろ大変なこともあります。それでも、環境の面からも自転車はとても活用したほうがいいと思いますし、都市部では脱炭素や排気ガスの問題もあるので、自転車が一番いいと思っています。
そのうえで質問したいのは、計画にシェアサイクルの普及促進が入っていることについてです。先日の議会でも発言した方がいましたが、今、ヘルメットの着用を進めていますよね。ヘルメットをかぶったほうが安全なので、かっこいいヘルメットを開発してほしいといった要望も議会で出ていました。でも、シェアサイクルの場合、利用者はヘルメットをかぶらないのではないかと思います。どこかにヘルメットを置いてお金を払って借りられるようにするなど、何か工夫がないと、自転車だけ借りてヘルメットはかぶらないことになり、ヘルメット着用の推進と食い違いが出てくるのではないでしょうか。どう考えていますか。
▷ 秋田交通政策課長。
県の担当者秋田交通政策課長
ヘルメットの着用については生活安全課の担当なので、私からは責任を持った回答ができません。いただいたお話を担当課に伝えます。趣旨としては、ヘルメットの着用率をどう上げていくかということだと思いますので、担当課と意見交換しながら対応していきたいと考えています。この場ではそのようにさせてください。
委員中嶋玲子委員
分かりました。縦割りにならないように、いろいろな部署、特に警察などとしっかり話し合って、ヘルメットを着用できるようなシェアサイクルの仕組みを考えていただけるとありがたいです。よろしくお願いします。
県の担当者秋田交通政策課長
この計画は、まさに自転車の活用を進めるために、さまざまな関係者や関係部署が協力して取り組むために作るものだと考えています。いただいたご意見も踏まえて、関係者としっかり協議して計画を整えていきます。
委員長井上博行委員長
ほかに質問はありませんか。
―― 「なし」と呼ぶ者がある ――
委員長井上博行委員長
ほかにないようなので、この件の質疑を終わります。
次に、議題にはありませんが、「その他」として何かありませんか。
―― 「なし」と呼ぶ者がある ――
委員長井上博行委員長
特にないようなので、次に進みます。
次に、「今後の委員会活動について」お諮りします。これについては、委員長と副委員長に任せていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
―― 「異議なし」と呼ぶ者がある ――
委員長井上博行委員長
反対の意見がないので、そのようにします。
最後に、会議録に署名する委員を指名します。永川俊彦委員と井上寛委員のお二人を指名します。よろしくお願いします。
これで今日の議事はすべて終わりました。空港・交通インフラ調査特別委員会を閉会します。ありがとうございました。
午前11時39分 閉会
出典: 福岡県議会 会議録検索システム