会議のまとめへ戻る

発言のやり取り

予算特別委員会2026年3月13日(金) 開催

1. 令和八年度福岡県一般会計予算の歳出、五款生活労働費及び六款農林水産業費の審査

委員長香原勝司委員長
おはようございます。定足数に達しましたので、委員会を始めます。本日は、令和8年度福岡県一般会計予算の歳出のうち、5款生活労働費と6款農林水産業費の審査を予定しています。 まず、5款生活労働費について順次説明を求めます。浦田人づくり・県民生活部長、どうぞ。
県の担当者浦田人づくり・県民生活部長
5款生活労働費のうち人材育成・活躍推進部所管分について説明します。1項人材育成活躍推進費は、国際スポーツ大会の開催などのスポーツ推進費が主なもので総額35億6,900万円余、7項労働企画費は、求職者の中小企業就職支援などの中小企業労働力確保対策費が主なもので総額9億1,800万円余、8項職業訓練費は、大牟田高等技術専門校の建て替え工事などが主なもので総額78億6,400万円余、9項失業対策費は、生涯現役チャレンジセンターの運営などで4億100万円余をお願いしています。よろしくお願いします。

福田福祉労働部長。

県の担当者福田福祉労働部長
続いて、5款生活労働費のうち福祉こども政策部所管分について説明します。2項福祉企画費は、被災者生活再建支援基金への追加拠出などの災害救助費が主なもので総額83億900万円余、3項児童家庭費は、保育所や認定こども園などの運営に対する保育給付費負担金が主なもので総額805億6,700万円余、4項障がい者福祉費は、障がい福祉サービスの自立支援給付費の県負担金などが主なもので総額716億6,400万円余、5項生活保護費は町村区域の生活保護費が主なもので総額344億900万円余、6項社会福祉費は、子ども医療・重度障がい児者医療・ひとり親家庭等医療の各医療対策費が主なもので総額124億8,400万円余をお願いしています。よろしくお願いします。

坪根労働委員会事務局長。

県の担当者坪根労働委員会事務局長
5款生活労働費のうち労働委員会事務局所管分について説明します。10項労働委員会費は、委員報酬や事務局職員の人件費など委員会の運営に要する経費で、総額2億2,800万円余をお願いしています。よろしくお願いします。
委員長香原勝司委員長
説明は終わりました。質問はありませんか。横尾政則委員、どうぞ。
委員横尾政則委員
自民党県議団の横尾政則です。保育人材の確保について質問します。 先日、地元小郡市の市議会の皆さんが保育協会と意見交換したところ、保育士確保のため短大2校で就職ガイダンスを実施したものの、入学者の減少もあり効果が限定的だったそうです。配置基準の改善や『こども誰でも通園制度』の本格実施の流れの中で、保育人材の確保が喫緊の課題です。まず、県が今年度新たに開催した『保育士魅力発信フェア』の狙いと内容を教えてください。

川越子育て支援課長。

県の担当者川越子育て支援課長
保育士の配置基準改善やこども誰でも通園制度の本格実施に伴い今後も保育士の確保が必要な一方、県内の保育士養成校の入学者は少子化の影響もあり減少傾向です。このため県では、養成校や市町村、保育協会の協力のもと、未来の担い手となる高校生を対象に保育士の魅力を発信するフェアを県内4地域で開催しました。フェアでは、現場で働く若手保育士の体験談、保育士になる方法や修学支援制度の紹介、養成校の体験授業などで魅力を知ってもらうとともに、人気高校生インフルエンサーが保育の仕事を1日体験したPR動画をSNSで発信し、100万回以上再生されました。
委員横尾政則委員
内容も盛りだくさんだったと思いますが、今年度初めて開催してみて出た課題を教えてください。
県の担当者川越子育て支援課長
参加した高校生からは、保育士の仕事のイメージがよくなった、支援制度や養成校の話を一度に聞けてよかったという声がある一方、保育の一日や保護者との関わりをもっと知りたい、仕事を実際に体験してみたいという声がありました。また協力いただいた養成校からは、参加対象を中学生にも広げることや、養成校のオープンキャンパスの日程を考慮した開催時期の設定など、より参加しやすい仕組みづくりの意見をいただきました。
委員横尾政則委員
明らかになった課題に対し、今後どう対応するか答えてください。
県の担当者川越子育て支援課長
県では今年1〜2月に、北九州・福岡・筑後・筑豊の4地域ごとに、養成校のほか市町村や保育協会、県保育士・保育所支援センター、福岡労働局などと保育士確保に向けた意見交換会を開催しました。この中でフェアの意見を協議し、保育の一日や連絡ノート、参観の様子を紹介する職業体験に協力いただける保育施設のリストを参加者に提供する、参加対象を中学生にも広げ中学生も楽しめる体験授業を実施する、フェアの開催日を養成校のオープンキャンパスと重ならないよう配慮する、といった提案をいただき、来年度の開催に反映します。
委員横尾政則委員
未来の担い手となる中高生に保育の魅力をアピールし、来年度のフェアをよりよいものにしてください。次に、会派の香原議員が昨年6月議会の代表質問で知事にただし、福岡県が全国に先駆けて実施することになった地域限定保育士試験について伺います。実技講習を受講すれば実技試験が免除され、資格取得後3年間は県内で働くため、保育士不足の解消が期待できます。来年度から本試験を実施するとのことですが、いつ実施し、実技講習を受けた後いつから保育現場で働けるか答えてください。
県の担当者川越子育て支援課長
地域限定保育士試験では、まず通常の保育士試験と同様に9科目の筆記試験を4月18・19日に実施します。その後、筆記合格者を対象に6月20日から7月12日にかけて計5日間の実技講習会を実施し、7月下旬に講師の評価や出欠状況をもとに修了判定を行う予定です。合格された方は県への保育士登録手続が必要なため、早くて10月から地域限定保育士として勤務いただける見込みです。
委員横尾政則委員
5日間あり受講者の負担にならないようにする必要がありますが、実技講習会をどう開催し、受講しやすい工夫はあるのか、具体的にどのようなことをするのか示してください。
県の担当者川越子育て支援課長
実技講習会は、受講しやすいよう北九州・福岡・筑後・筑豊の4地域で土日コースを1つずつ設けます。福岡地域はこれに加え平日コースと5日間で集中的に開催する短期コースを設け、全体で計6コース実施します。講習は、音楽・造形・言語の表現に加え、保育現場での実習を含めた計27時間のカリキュラムで学んでいただきます。実習では保育所などで実際の保育の様子を見学し、子どもとの関わりや保育士としての職業倫理を学びます。現在、4地域合わせて410の保育施設から受入れの意向をいただいており、受講者の希望に応じて受入先を調整します。
委員横尾政則委員
実習に丁寧に取り組んでください。次に、保育士資格がなくても国の定めた研修を修了すれば保育補助として働ける『子育て支援員』について伺います。こども誰でも通園制度の配置基準でも一定要件で認められており、保育人材の確保につながります。県が実施する地域型保育の専門研修で何名が修了しているか、実施状況を教えてください。
県の担当者川越子育て支援課長
県では、0〜2歳児を対象とした少人数の保育を行う施設などで子育て支援員として従事できる人材を養成するため、地域型保育の専門研修を実施しています。この研修の修了者は令和6年度までに3,378人となっています。
委員横尾政則委員
国は来年度、子育て支援員研修にこども誰でも通園制度に特化したコースの新設を検討していると聞きます。この制度は来年度から全市町村で実施され、市町村は保育人材の確保や保育の提供がしっかりできるかなどの不安の声もあると思います。国ではどのようなことが検討されているのか内容を教えてください。
県の担当者川越子育て支援課長
国は、保育関係者や大学教授などで構成する検討会で子育て支援員研修のあり方を検討しています。こども誰でも通園制度は6か月から3歳未満の子どもが通うため、低年齢児に特化した育ちや寝返りなど安全上の配慮、月10時間という提供時間の中で保護者とともに子どもの育ちを支える関わりなどの知識が必要なことから、新たなコースを設置する案と、既存の地域型保育などのコースにカリキュラムを加えて対応する案の2つが上がり、それぞれ有効なものとする議論がされています。県としては国の動きを注視し、新たなコースが設定された場合に早急に検討できるよう、市町村と連携して受講ニーズの把握を進めます。
委員横尾政則委員
ありがとうございました。次に、保育人材の確保には、いまだ全職種平均より低い保育士の賃金水準を向上させる処遇改善が必要です。賃金水準は国が公定価格で定めていることから、今後も国に処遇改善を働きかけるべきと考えますが、答えてください。
県の担当者川越子育て支援課長
保育士の処遇改善について、国は昨年度、公定価格の保育士人件費を過去最大の10.7%引き上げ、保育士1人当たり月額約3.8万円の基本給改善を行いました。今年度も5.3%の引き上げで月額約2.1万円の基本給改善を行いました。賃金水準は公定価格の改定で改善されるもので、国の責任と財源で確実に措置されるべきものと考えます。このため、国への提言・要望で県議会の皆様とともに最重点項目として要望しており、引き続き改善が図られるよう国へ要望してまいります。
委員横尾政則委員
保育人材の確保の取り組みが行われ処遇も改善されるよう、しっかり前に進めていただきたい。最後に部長の力強い決意を伺います。

福田福祉労働部長。

県の担当者福田福祉労働部長
保育士の配置基準の改善やこども誰でも通園制度の本格実施を踏まえると、保育人材の確保は喫緊の課題です。県としては、早い段階から保育士の仕事に興味を持ってもらえるよう保育士魅力発信フェアの参加者を中学生まで広げます。また、地域限定保育士試験や子育て支援員の研修に取り組むなど、市町村や養成校と連携して保育人材の確保に取り組みます。処遇については、この2年間で保育士1人当たり月額約5万9,000円の基本給改善が図られましたが、それでもなお平均年収は全職種平均より低い状況です。賃金水準がさらに改善されるよう、様々な機会を通じて国にしっかり要望してまいります。
委員横尾政則委員
終わります。(拍手)

ほかに質疑はありませんか。田中雅臣委員。

委員田中雅臣委員
こんにちは。民主県政クラブ県議団の田中雅臣です。本日は労働組合の連合福岡の皆様も傍聴に来られています。労働者支援事務所の今後について質問します。 知事は所信表明で、本年4月に本庁組織を57年ぶりに大きく見直すとし、人材施策を一元的に推進する人材育成・活躍推進部を中心に、年齢や性別、障がいの有無、国籍を問わず全ての人を応援し、誰もが仕事に就きやりがいを持って働き続けられるよう応援するとされました。そのためには全ての労働者が快適な労働環境で働けることが重要です。今回の組織再編で、労働者支援事務所は福祉労働部から人材育成・活躍推進部の下に位置づけられます。労働者支援事務所は解雇や職場の人間関係などの相談を受け情報提供や助言を行う出先機関ですが、今回の再編が影響しないか、連合福岡など関係団体からも不安の声があります。まず、今回の組織再編で労働者支援事務所の取り組みに何か影響はあるのか、また名称はどうなるのか伺います。

松本労働政策課長。

県の担当者松本労働政策課長
今回の組織再編は本庁において行われるもので、労働者支援事務所の取り組みに影響を与えるものではありません。また、労働者支援事務所という名称も変更はありません。
委員田中雅臣委員
名称や取り組みに変更はないと聞いて安心しました。関係団体からは、労働者支援事務所は働く皆様にとって最も身近で大切な相談機関だと聞いています。改めて、労働者支援事務所の設置目的をお聞かせください。
県の担当者松本労働政策課長
労働者支援事務所は、労働者・使用者・県民の皆様から労働問題全般の相談に応じ、助言や情報提供でトラブルの解決が図られるよう支援すること、働き方改革に取り組む企業への支援を行うことなどを通じて労働環境の向上を図ることを目的に、県内4地区に設置されています。
委員田中雅臣委員
重要な役割を担っていることが分かりました。その役割を果たすため、具体的にどのような取り組みをしているか答えてください。
県の担当者松本労働政策課長
労働相談は電話・来所・オンラインで対応し、毎週水曜は夜間電話相談を実施、平日に働く方が相談しやすい日曜労働相談会も年2回開催しています。相談者は自身の状況を十分理解できていない場合も多いため、職員が丁寧に聞き取り問題点を整理し、関係法令を踏まえた助言を行います。また、職場のハラスメントや解雇・雇い止めといったテーマ別の相談会も開催します。それだけでは解決できない場合は、事務所が労使の間に立って意見を調整するあっせんを行うとともに、指導権限のある福岡労働局への誘導や、訴訟を見据えた弁護士会への相談など法的手段への移行といった適切な選択肢を説明します。このほか、働き方改革実行企業(通称よかばい・かえるばい企業)への新規登録の勧誘や、登録企業への支援機関・助成金の紹介なども行っています。
委員田中雅臣委員
様々な取り組みを行っていることが分かりました。過去3か年の労働相談件数の推移と、直近の相談内容を聞かせてください。
県の担当者松本労働政策課長
労働相談件数は、令和4年度が7,371件、令和5年度が7,264件、令和6年度が6,451件で、令和7年度は2月末時点で6,838件と昨年度を上回るペースです。昨年度の相談内容は、多い順に、ハラスメントをはじめとする職場の人間関係が1,088件(16.9%)、解雇・退職勧奨が819件(12.7%)、賃金が642件(10.0%)となっています。
委員田中雅臣委員
様々な相談が寄せられていることが分かりました。これらに適切に対応するには職員の相談対応能力を高める必要があると思いますが、何か取り組んでいるか答えてください。
県の担当者松本労働政策課長
様々な労働相談が寄せられることから、相談者に寄り添い相談内容を的確に把握する能力や最新の労働法規の知識が求められます。このため、傾聴などのカウンセリングスキルを身につける研修や、福岡労働局の職員を講師とした直近の法令改正の研修を行い、相談員のスキルアップを図っています。来年度以降も引き続き相談対応能力の向上に向けた研修を実施してまいります。
委員田中雅臣委員
労働者支援事務所には日々多くの相談が寄せられ、働く皆様の駆け込み寺としてその存在感はますます高まると考えます。最後に部長に伺います。誰もが仕事に就きやりがいを持って働き続けるには、県民に最も近い現場で日々の労働相談に当たる労働者支援事務所の役割が何より大切です。今回の再編で福祉労働部から人材育成・活躍推進部の下に位置づけられますが、引き続き労働者支援事務所の取り組みの推進と労働施策のより一層の推進について、部長の決意をお聞かせください。

浦田人づくり・県民生活部長。

県の担当者浦田人づくり・県民生活部長
労働者支援事務所には毎年度約7,000件の相談が寄せられており、働く皆様の雇用と生活を守る役割を担う機関として、人材育成・活躍推進部でも重要な役割を果たすものと認識しています。今後とも、労働者・使用者・県民の皆様にとって気軽に労働相談ができ労働環境の向上につなげられる出先機関としての役割を果たせるよう、取り組みをしっかり進めます。今回の組織再編は、生産年齢人口の減少に伴う人手不足の影響を乗り越えるため、県民一人一人の力がより発揮されるよう、人の育成・活躍に関する施策との連携を強化するものです。人材育成・活躍推進部でも、働く皆様の雇用と生活を守る労働施策を強力に推進してまいります。
委員田中雅臣委員
終わります。(拍手)

ほかに質疑はありませんか。壹岐和郎委員。

委員壹岐和郎委員
おはようございます。公明党の壹岐和郎です。福岡障害者職業能力開発校について質問します。まず、この開発校の最近5か年の実績を資料要求していますので、概要の説明をお願いします。その際、令和7年度の県外からの入校状況も示してください。

飯野職業能力開発課長。

県の担当者飯野職業能力開発課長
資料は福岡障害者職業能力開発校の最近5年間の実績です。施設内訓練の定員は令和3〜4年度が150名、令和5年度から145名です。入校率は令和3年度42%、4年度43.3%、5年度53.8%と上昇しましたが、6年度は35.9%、7年度は40.7%です。7年度の県外からの入校者は5名で、宮崎県2名、鹿児島県2名、山口県1名です。入校者に占める精神障がい者の割合は、令和3年度45.6%、4年度以降は6割程度で推移し、そのうち発達障がい者の割合は3〜6年度は4割程度でしたが7年度は32%に低下しています。障害者校全体の就職率は8割台で推移しています。入寮者数は令和3年度21名、4年度以降は20名弱です。職員は令和7年度で職業訓練指導員18名、生活指導員1名、障がい者健康相談員1名、重度視覚障がい者訓練支援員1名、施設内訓練適応サポーター2名です。委託訓練の定員は令和3年度92名、4年度以降70名程度で、入校率は7年度70.6%、就職率は6割程度です。在職者訓練は今年度から始めた訓練で定員8名、入校率62.5%です。
委員壹岐和郎委員
ありがとうございます。随時、課題と思われる点を質問します。国も障がい者職業訓練は地域でまだ十分に認知されているとは言い難いとの認識を示しています。障害者職業能力開発校は全国で13校、九州では福岡と鹿児島の2校しかない専門性の高い重要な機関で、活用しなければもったいない。他県からも入校されているようですので、現在の周知の状況と取り組みを伺います。
県の担当者飯野職業能力開発課長
県では、認知度を向上させ入校者を増やすため、ハローワークや障害者就業・生活支援センターへの入校案内、高校や特別支援学校の進路指導教員への訓練内容の説明、県ホームページやSNS・市町村広報を活用した広報、オープンキャンパスや実習体験会の実施などで周知を図っています。
委員壹岐和郎委員
精神障がい・発達障がいのある方は普通高校や大学にも在籍しており、就職に困難を抱える方も多くいます。そうした方にもっとこの開発校を活用してもらえないかと思いますが、いかがですか。また国は、障がい者校で訓練を受ける人が減少傾向にある中、訓練が求職障がい者のニーズに対応できていないのではという問題意識を示しています。ハローワークの新規求職申込者は障がい者全体でこの10年で1.5倍、精神障がい者は7万3,000人から15万3,000人へ倍増しています。精神障がい者に対する訓練の支援体制が追いついていないのではと思いますが、いかがですか。
県の担当者飯野職業能力開発課長
障害者校では従来から、障がいのある方が通う通級指導教室のある高校などに直接職員が出向き、進路指導担当の教員に支援体制や精神障がい・発達障がいに特化した訓練科目の設置を説明しています。今年度からは大学にも出向いて同様の説明を行っています。引き続き丁寧な説明を行い入校者の増加に努めます。精神障がい・発達障がいのある方への支援については、生活指導員や保健師資格を持つ健康相談員が訓練生一人一人の体調管理を行い、必要に応じて精神科医師のカウンセリングを受けたり医療機関・精神保健福祉センターなどにつなぐ対応も行っています。また平成29年度からは精神保健福祉士資格を持つ施設内訓練適応サポーターを配置し、障がい特性の把握、訓練生や家族との面談、指導員への助言などで支援しており、現状では支障は生じていません。
委員壹岐和郎委員
支援体制は分かりました。次にニーズの把握について。福岡労働局が中心となり、有識者や労働者団体、経営者協会などで構成する地域職業能力開発促進協議会の活用も重要と思いますが、その開催や活用状況を尋ねます。
県の担当者飯野職業能力開発課長
県では、有識者・経営者・労働団体などで構成する福岡県職業能力開発審議会での議論を踏まえ、令和4〜8年度の福岡県職業能力開発計画を策定しています。この計画に沿って、有識者・労働者団体・経営者協会・商工会連合会・職業紹介事業者などで構成する福岡県地域職業能力開発促進協議会での議論を踏まえ、訓練科目やカリキュラムの見直しを行っています。この協議会は年2回開催し、直近では令和8年3月3日に開催しました。障がい者職業訓練については、一昨年度の協議会で在職者訓練を積極的に進めることが議論され、今年度から実際の訓練に取り組んでいます。
委員壹岐和郎委員
ありがとうございます。国も受講者拡大のためオンライン訓練の拡充を検討しているようです。本県で行われているオンライン訓練の現状と今後の取り組みを尋ねます。
県の担当者飯野職業能力開発課長
福岡障害者職業能力開発校では、テレワークをはじめ多様な働き方に対応できるようオンライン訓練を導入しています。現在、9つの訓練科のうち8科で年4〜8日実施しており、指導員と訓練生が映像・音声でリアルタイムに対話する同時双方向型です。引き続きオンライン訓練を実施してまいります。
委員壹岐和郎委員
ありがとうございます。障がい者が一般就労へスムーズに移行する手段として、障がい福祉サービスと開発校との連携強化が非常に大事だと思いますが、その取り組みを尋ねます。
県の担当者飯野職業能力開発課長
障がい福祉サービスを利用する方が就職を目指す際、専門的な知識や技能を身につける場として開発校があることを本人や関係者に知ってもらうことが重要です。このため、サービスを所管する市町村や、相談支援事業所、障害者就業・生活支援センターなどの関係機関に訓練内容や入校方法の情報提供を行っています。また、サービス利用者が入校された場合、本人の了解を得た上で、これまで利用していた事業者の職員から障がい特性を聞き取ることでよりスムーズな訓練が可能となります。引き続き情報提供に取り組むとともに、障がい福祉サービス事業者との連携を進めます。
委員壹岐和郎委員
高等技術専門校にも精神障がいや発達障がいのある訓練生が入校する可能性は高いと思います。開発校の高いノウハウを専門校と共有すれば、専門校の対応力の向上や、変化する求職者ニーズへの対応にもつながります。開発校の強みを生かして職業能力開発全体の底上げを図ることが期待できます。県として、開発校の今後の役割や取り組みの方向性をどう考えているか伺います。
県の担当者飯野職業能力開発課長
高等技術専門校にも、障がいを公表せず入校される配慮が必要な方がいます。高等技術専門校と開発校の間では職員の人事異動があり、開発校から異動してきた職員が経験をもとに、精神障がい・発達障がいへの対応に不慣れな職員へ助言を通じてノウハウを共有しています。また、福岡・小竹・戸畑の高等技術専門校に施設内訓練適応サポーターを配置し各校を巡回して相談対応や助言を行っています。令和3年度には、開発校に、障害者手帳の有無を問わず精神障がい・発達障がい・高次脳機能障がいのある方を対象に、ピッキングなどの実習で個々の適性を把握しそれに応じた実践訓練を行う職域開発科を設置しました。ここで得たノウハウを指導員研修で高等技術専門校と共有するなど、開発校が主体となって連携を図ることとしています。
委員壹岐和郎委員
しっかり連携を深めてください。最後に部長に伺います。全国でハローワーク窓口の障がい者の求職申込者は年々増加し、特に精神障がい者はこの10年で2倍という状況で就職者数も増加していますが、障害者職業能力開発校での訓練は全国的に減少傾向です。この要因は、周知不足や、訓練が障がい者の特性の変化や現場のニーズに対応し切れていないのではという問題意識です。部長として今の開発校の状況をどう捉え、どこに課題があると考えるか。その上で、全国13校・九州2校しかない開発校を障がい者職業訓練全体の中でどう生かし位置づけていくのか、見解と決意を伺います。

浦田人づくり・県民生活部長。

県の担当者浦田人づくり・県民生活部長
開発校の入校者が減少している要因としては、法定障がい者雇用率の引き上げに伴い職業訓練を経ずとも就職に至るケースが増えていること、就労系障がい福祉サービスから一般就労への移行者が増えていること、そして障がい者職業訓練が求職者のニーズの変化に対応できていないことが考えられます。今後、多様化するニーズを適切に把握し訓練の科目や実施方法に反映させるため、全国の好事例を収集し、必要に応じてカリキュラムや訓練手法の見直しを検討します。さらに、開発校が障がい特性に応じたきめ細かな訓練を実施していることをハローワークなどの関係機関にしっかり周知し、利用者の増加につなげてまいります。
委員壹岐和郎委員
ありがとうございました。障がいのある方の、自ら働きたい、スキルアップしたい、社会に貢献したいという思いをしっかり酌み取り実現させる、その先頭に立つのがこの開発校だと思いますので、今後の取り組みを期待します。以上です。(拍手)

ほかに質疑はありませんか。戸成祥平委員。

委員戸成祥平委員
豊築会の戸成祥平です。地域限定保育士試験について質問します。 福岡県は昨年11月、全国で初となる地域限定保育士制度の認定を国から受け、来年度予算に地域限定保育士試験費を計上しました。地域限定保育士は、改正児童福祉法により、これまでの国家戦略特別区域法に基づく特例措置が一般制度化されたもので、実技講習会の受講で実技試験が免除される新たな試験制度です。まず、保育所などを利用する子どもは令和3年4月1日時点の12万1,999名をピークに年々減少しているとのことですが、県内で保育に従事する保育士の人数は令和3年4月1日時点と令和7年4月1日時点でどうなっているか教えてください。

川越子育て支援課長。

県の担当者川越子育て支援課長
県内で保育に従事する保育士の人数は、令和3年4月1日時点が2万5,990人、令和7年4月1日時点が2万7,047人で、この間、4・5歳児の配置基準が子ども30人に1人から25人に1人へ改善されたことなどにより1,057人増加しています。
委員戸成祥平委員
子どもの人数が減る中でも配置基準の改善などで保育士は増えていることが分かりました。この先も1歳児の配置基準改善が見込まれ、さらなる保育士確保が必要になると思いますが、県内の保育士の直近の有効求人倍率はどうなっているか、全職種平均と併せて教えてください。
県の担当者川越子育て支援課長
県内の保育所の有効求人倍率は、直近の公表データである令和8年1月で3.38倍となっており、県内の全職種平均1.06倍と比べて高い水準です。
委員戸成祥平委員
保育士の有効求人倍率は全職種平均より3倍ほど高いことが分かりました。そのような中で、地域限定保育士試験の合格者は資格取得後3年間は県内で働くため、保育士確保に大きくつながると期待します。実技講習会を北九州・福岡・筑後・筑豊の4地域で実施することで、居住地域で受講しやすい環境をつくるのはとても重要です。実技講習会には集合型講義と保育の現場で学ぶ保育実践見学実習があると伺いますが、実習先となる保育施設も4地域で対応されるのか教えてください。
県の担当者川越子育て支援課長
県が県内の保育施設に実技講習会の保育実践見学実習先として受入れ可能か確認したところ、福岡地域で203、北九州地域で93、筑後地域で53、筑豊地域で61の計410施設から受入れ可能との意向をいただいています。保育実践見学実習も、受講者の希望する地域で実習できるよう調整を進めます。
委員戸成祥平委員
実習も4地域で受入れができるとのことで安心しました。受入施設とのやり取りも大変かと思いますが調整をお願いします。次に、試験に合格し資格を取得した方への就職支援はどうされるのでしょうか。
県の担当者川越子育て支援課長
県では、資格を取得された方が円滑に就職できるよう、県保育士・保育所支援センターへの登録を促し、県内の保育施設とのマッチングを行ってまいります。
委員戸成祥平委員
ぜひ円滑に就職できるよう登録を促し、県保育士・保育所支援センターの活用をしっかり周知してください。私の地元の築上町には航空自衛隊築城基地があり、昨年11月から基地内で働く自衛官の子どもを対象に、外部企業に委託して保育士資格を持つ方が必要なときに出勤し、昼夜問わず24時間対応する委託業務を行っています。国防を担う自衛官が安心して任務に邁進できる環境づくりに国が取り組んでいることに、元自衛官として感謝しています。しかし保育士資格を持つ方が地域として少ない現状があり、保育士不足の解消に地域限定保育士制度を有効活用できればと期待します。最後に、地域限定保育士は実技試験が免除されることで質の低下につながらないかという懸念がありますが、どう対処するか尋ねます。
県の担当者川越子育て支援課長
実技講習会の内容は、大学教授や全国保育士会の代表者などで構成する国の専門委員会で検討され、実技試験科目である音楽・造形・言語の表現に加え保育現場での実習を含めた合計27時間のカリキュラムです。それぞれの科目ごとに受講者が到達目標に達しているか担当教員が判定することで保育士としての質の確保を図ります。資格取得後は階層別研修や分野別の研修を行い、保育に必要な知識・技術の向上を図ってまいります。
委員戸成祥平委員
終わります。(拍手)

ほかに質疑はありませんか。板橋聡委員。

委員板橋聡委員
自民党県議団の板橋聡です。本日は少子化対策の取り組みとして、乳幼児との直接的な触れ合い体験について質問します。 私が県議になって最初に少子化を質問したのは2014年6月議会。当時の年間出生数は約100万人で過去最低と言われましたが、今年の速報値は70万5,809人と、12年で30万人、久留米市の人口規模の赤ちゃんが丸々消滅する勢いで少子化が進んでいます。少子化対策の一丁目一番地は、結婚し家族を持つことを希望する若者が増え、その希望を実現できる社会にすることです。以前は出会いの創出に着目していましたが、近年、社会全体でタイパ・コスパが重視され、結婚や出産・育児は非効率とする価値観が若い世代に広がりつつあり、若者のマインドを変えることが重要だと思い知らされています。令和6年の予算特別委員会で、赤ちゃんを抱き肌のぬくもりや甘い匂いを感じる経験が難しくなっている若者、特に感受性の強い中高生に、知識だけでなくエモーションに働きかける乳幼児との触れ合い体験の充実を訴え、知事から前向きな答弁をいただきました。前回の質疑以降、県としてどのような取り組みを進めてきたか答えてください。

大谷こども未来課長。

県の担当者大谷こども未来課長
前回の質疑に対する知事の答弁のとおり、市長会総会や町村会セミナーなど市町村長が集まる機会に、知事から乳幼児触れ合い体験に積極的に取り組むよう直接働きかけを行ってきました。また、昨年3月策定の福岡県こども計画に、次代の親の育成を図る取り組みとして若い世代と乳幼児との直接的な触れ合い体験の実施促進を位置づけ、市町村にも市町村こども計画に盛り込むよう働きかけました。さらに、令和7年度新規事業として、触れ合い体験に取り組みたい中学校・高校と幼稚園・保育園などとのマッチングを支援する事業を11月から開始しました。
委員板橋聡委員
触れ合い体験に取り組みたい中高と幼稚園・保育所のマッチングを支援する新規事業とのことですが、この事業の狙いは何でしょうか。
県の担当者大谷こども未来課長
公立中学校や県立高校の令和5年度実施状況調査では、実際に乳幼児を抱っこしたり話したりする触れ合い体験を実施しているのは約3割にとどまりました。実施していない主な理由は、相手先の幼稚園や保育所を見つけるのが難しい、実施のノウハウや人員体制が不足していることでした。こうした現状を踏まえ、実施を希望する中高や幼稚園・保育所が互いに相手先を探せるマッチングシステム『コドモミライコネクト』を構築するとともに、相手先との調整や体験の実施方法の助言を行うコーディネーターを配置して、中高生と乳幼児の直接的な触れ合い体験の支援を開始しました。
委員板橋聡委員
本マッチング事業のキックオフとして、私の母校の県立山門高校と上庄ひいらぎこども園による触れ合い体験会を昨年11月に実施していただきました。参加した生徒や先生の感想はいかがでしたか。また、こども未来課長としてこの体験の成果をどう捉えているか答えてください。
県の担当者大谷こども未来課長
山門高校と上庄ひいらぎこども園の体験会に参加した方々にアンケートを実施したところ、生徒からは、幼児のかわいさやいとおしさを感じた、結婚や子どもを持つよさを深く考えられた、子育ての楽しさと難しさを身近に感じた、保育士の仕事の大変さとやりがいを実感し保育の仕事への興味が深まったという感想が寄せられました。高校の先生からは、人との結びつきが希薄な中、双方にとってコミュニケーション体験のよい機会となった、家族を持つことのイメージを持つ機会になった、こども園の先生からは、年齢の近い高校生と遊ぶことで園児のふだんと異なる面が見られ、別れが悲しくて泣き出す子がいるなど素直に感情を表現していたとの声をいただきました。次代の親となる若い世代が乳幼児と触れ合うことは、子どもをかわいいと感じ、産み育てることや家族を持つことをイメージする効果的な機会であるだけでなく、乳幼児にとっても異なる年齢との貴重な交流の機会であり、この取り組みを広げる意義を改めて実感しました。
委員板橋聡委員
生徒たちが親になって子どもを育てるイメージを持ち、未来の家族について前向きに考えるすばらしい機会になったことがうかがえます。マッチングシステムは11月に運用開始とのことですが、その周知の状況と現在の登録状況を答えてください。
県の担当者大谷こども未来課長
対象となる中学校・高校・幼稚園・保育所などに、マッチングシステムの活用を文書で依頼するとともに、教員や園長などが集まる場で機能や活用方法を紹介して登録を促しています。登録状況は2月末現在で約100団体で、内訳は幼稚園・保育園などが83団体、中学校・高校などが13団体です。
委員板橋聡委員
登録が100団体近くあり、8割強が幼稚園・保育所とのことです。参加した生徒の感想に、保育士の仕事の大変さとやりがいを実感し保育の仕事への興味が深まったという声がありましたが、少子化対策として始まったこの事業が、幼稚園・保育園にとっては保育人材の確保という副次的な効果を期待して登録につながっている部分もあるように思います。そこで保育人材の確保に取り組む子育て支援課長に尋ねます。この触れ合い体験は保育人材の確保にも資するのではないかと思いますが、どう考えるか答えてください。

川越子育て支援課長。

県の担当者川越子育て支援課長
中高生が実際に子どもを抱っこしたり遊んだりする乳幼児との触れ合いを体験することは、子どもを産み育てることや家族を持つことをイメージすることにつながります。また、保育所などの現場で触れ合うことで保育士の子どもへの接し方などを体験しその魅力を知ることとなり、保育士の仕事への興味や理解が深まって、将来保育士という職業を選択する大きなきっかけになると考えています。
委員板橋聡委員
保育人材の確保の観点からも効果的な取り組みだと分かりました。その視点から、この取り組みはこども未来課だけでなく子育て支援課も連携することが重要です。保育人材確保の観点から、保育所などに触れ合い体験をしてもらい登録件数を増やすため、子育て支援課としてどう取り組むか答えてください。
県の担当者川越子育て支援課長
この触れ合い体験について、保育協会の協力のもと、来年度から県内の保育所などの施設長が集まる研修に職員が直接出向き、中高生にとって子育てや家族を持つことを考えるのに効果的であること、乳幼児にとっても貴重な交流の機会となること、保育人材の確保につながること、マッチングシステムの活用が効率的であることなどを丁寧に説明し、登録を強く働きかけてまいります。
委員板橋聡委員
一方、中学校・高校の登録は幼稚園・保育園の5分の1以下とまだ少ないようです。乳幼児触れ合い体験は中高の学習指導要領に盛り込まれ、中学校では形式を問わず幼児との関わりを学ぶことが義務的な位置づけ、高校では直接的な触れ合いを取り入れるよう努める努力義務的な位置づけで、文部科学省から中高両方に推進の通知がなされています。公立中学校と県立高校における現在の取り組み状況を教えてください。
県の担当者大谷こども未来課長
公立中学校について令和6年度実績を教育庁義務教育課に確認したところ、技術・家庭の家庭分野の授業で幼児と実際に触れ合う活動を行ったのは53.6%で、そのほかはビデオ教材の視聴や、乳幼児の人形を使って生徒が保育者役を演じるロールプレイングを実施しているとのことでした。県立高校については、当課が行った令和5年度実施状況調査で、乳幼児と実際に触れ合う活動を行ったのは27.5%でした。
委員板橋聡委員
リアルな触れ合いは公立中学で約5割、県立高校で3割未満にとどまっています。まず県立高校について。直接的な触れ合いは高校では努力義務的な位置づけで、その実施状況について県は毎年度の調査を行っていないと聞きます。高校生の直接的な触れ合い体験は今後のライフプラン設計に効果的で、県が進めるライフデザイン教育の一環として、県としても実施状況を把握していく必要があると考えますが、いかがですか。
県の担当者大谷こども未来課長
ご指摘のとおり、直接的な触れ合い体験は、中高生がふだんあまり接することのない乳幼児を直接肌で触れ、子どものぬくもりやいとおしさを感じる貴重な機会であり、将来のライフデザインを描くことにつながります。県としては高校における実施状況を把握し、今後の取り組みの推進に生かしてまいります。
委員板橋聡委員
次に公立中学校について。直接的触れ合い体験は令和6年時点で2割を切っていたものが現在は5割まで増えたとのことですが、残りはビデオ学習や生徒同士のロールプレイングです。直接的な触れ合い体験を全ての中学校で行えるよう取り組んでいただきたい。公立中学校でこの直接的な触れ合い体験が進んでいない現状をどう考えるか答えてください。
県の担当者大谷こども未来課長
これまで義務教育課と連携し市町村教育委員会を通じて推進を働きかけてきました。しかし、中学校の学習指導要領では幼稚園や保育所などで幼児との触れ合いができるよう留意することとの記載のため、実際の触れ合いを実施するかどうかは市町村の判断となり、地域によってはビデオなどによる疑似的な触れ合い体験が実施されています。県としては、この直接的な触れ合い体験は中学生が子育ての楽しさを肌で感じ家族を持つことを考えるのに効果がある重要な取り組みと考えており、少子化対策を推進するこども未来課が主体となって直接市町村に働きかけ、この体験を県全体に広げてまいります。
委員板橋聡委員
実施するかどうかは市町村の判断で難しい部分があり、こども未来課が直接市町村に働きかける必要性を答弁されました。今後、真の触れ合い体験を未実施の中学校に対し、具体的にどう働きかけを行うか答えてください。
県の担当者大谷こども未来課長
それぞれの中学校で直接的な触れ合い体験に取り組んでいただくには、先ほど申し上げた効果を市町村に理解いただくことが必要です。このため今後、直接的な触れ合い体験を実施していない中学校がある市町村を私が直接訪問し、少子化対策にとどまらず保育人材確保にもつながることをしっかり説明して実施を働きかけてまいります。
委員板橋聡委員
課長の意気込みは感じられましたが、大谷課長の熱意だけでは空回りしそうな気がします。口頭の説明だけでは触れ合い体験の真の意義や効果は伝わりにくいのではないでしょうか。市町村に前向きに取り組んでもらうため、もっと効果的な手法を探るべきと考えますが、いかがですか。
県の担当者大谷こども未来課長
現在、未実施の中学校などに取り組んでいただけるよう、実際の触れ合う場面がイメージでき、触れ合うことによる子どもへの効果が伝わる動画を作成しています。作成に当たっては、実際に行われた事例を活用し、現場での子どもたちの表情、生徒や先生たちの生の声を盛り込み、見た人が心からやってみたいと思えたり効果を感じたりできる内容を目指します。この動画を活用して、市町村に触れ合い体験の意義や効果をしっかり伝えてまいります。
委員板橋聡委員
かなり多くの部署が関わる事業ですが、県全体で浸透させるには、市町村の首長・教育長、県の関係部署や教育庁も含め必要性やメリットを十分理解してもらう必要があります。そのために、知事自らこの事業の意義を理解し力強く取り組む姿勢を示すことが強力な後押しになると思います。部長に伺いますが、この乳幼児との直接的な触れ合い体験を県内各地に浸透させるには、知事が県のリーダーとして組織の垣根を越え、市町村の理解・協力を得られるよう自ら熱い思いを持って関わることが重要だと考えます。この事業を広げるための部長の考えを答えてください。

福田福祉労働部長。

県の担当者福田福祉労働部長
少子化が進む中、次の世代の親となる若者がライフデザインを考える中で子どもや家族を持つことをイメージできるこの乳幼児触れ合い体験は大変重要な取り組みです。私自身も実際の体験の現場に足を運び、体験の前と後で高校生の表情が大きく変わったのを目にし、子育てについての考え方が変わる、保育の仕事に興味を抱き将来の保育人材の確保につながる貴重な機会だと改めて実感しました。その必要性については知事から直接、市町村長が集まる様々な機会に働きかけを行っています。今後この取り組みを県内の市町村や高校にさらに広げるには、県教育庁など庁内の連携はもとより、市町村に十分に理解いただくことが重要です。マッチングシステムのさらなる活用や新たに制作する動画も活用し、より多くの市町村に取り組んでいただけるよう、私どもも現場に積極的に足を運びながら、強く市町村に働きかけてまいります。
委員板橋聡委員
部長はまだ退職されませんよね。ということで、私からの感動的な贈る言葉はありませんが、来年も現職としてしっかり取り組んでいただくことを期待して終わります。(拍手)
委員長香原勝司委員長
この際しばらく休憩します。再開は午後1時20分をめどに放送でお知らせします。

―― 休憩 ――

委員長山本耕一副委員長
委員会を再開します。休憩前に続いて議事を進めます。5款生活労働費について、ほかに質問はありませんか。新井富美子委員、どうぞ。
委員新井富美子委員
民主県政クラブ県議団の新井です。本日は、子ども・若年層へ向けたジェンダー平等の取り組みについて質問します。 2023年12月定例会で、児童生徒への県独自のジェンダー平等資料の配布と、ジェンダー平等推進事業への高校生の参加について知事にただし、資料の配布を検討する、高校生参画に前向きという答弁をいただきました。その結果、政令市を除く小学校高学年・中学校・高校の児童生徒向けに同資料のデータ配布が始まり、ジェンダー平等フォーラムでの高校生ワークショップ成果発表会も加わりました。ご尽力を評価します。これらの事業をさらに積極的に取り組んでいただくため質問します。まず、児童生徒向けのジェンダー平等資料は全ての学校に確実に配布され有効に活用されることが重要です。配布状況や、どのような科目で活用されているか示してください。

原口男女共同参画推進課長。

県の担当者原口男女共同参画推進課長
本資料は、教育庁・市町村教育委員会とも連携し、対象としている全ての学校に電子データで令和6年5月に配布しました。6年度の活用状況を把握するためアンケート調査を実施したところ、対象校836校のうち552校から回答があり、そのうち約7割の364校が活用していました。活用科目は、小学校は社会、中学校は道徳、高校は特別活動が最も多くなっています。
委員新井富美子委員
全対象校のうち少なくとも4割以上が活用しているということですね。次に、資料の内容は小学校高学年から高校生まで一律のようで、年齢差は最大で10歳から18歳までと大変幅広いです。現場ではどう活用され、今後この資料の充実にどう取り組むか答えてください。
県の担当者原口男女共同参画推進課長
本資料は、内閣府が策定した副教材の補助資料として、本県のジェンダー平等の状況をグラフやイラストで分かりやすく示し着目点を記載したもので、作成に当たっては教育庁とも連携しています。現場では、先生方が児童生徒の年齢や理解度、授業内容に合わせて使うデータを選ぶなど工夫して活用いただいていると認識しています。アンケートでは、グラフで視覚化され全国との比較で福岡県の現状が分かりやすい、着目点で生徒が気づき考えをまとめやすいなどの意見があり、95%の学校から満足との回答をいただきました。一方、満足していないという回答には小学生に使うには難しいという意見もありました。今後も現場の意見をいただき、教育庁と連携して必要に応じ資料の見直しを行うとともに、活用事例を共有するなど、さらに多くの学校で活用してもらえるよう働きかけます。
委員新井富美子委員
理解度や関心事も異なるので、できれば将来的には小中高向けの内容を作成することを要望します。これからも教育庁と連携してしっかり取り組んでください。次に、高校生については進路や進学でジェンダーバイアスに悩む人も多く、高校生向けワークショップは非常に有意義です。この事業のこれまでの評価を示してください。
県の担当者原口男女共同参画推進課長
高校生ジェンダー平等ワークショップは、県民一人一人がジェンダー平等について理解を深め行動するきっかけとしてもらうジェンダー平等フォーラムを新たに開催するに当たり、男性や若者の参加を促す取り組みの一つとして昨年度から開始しました。これまで25校から女性38名・男性10名の計48名が参加しています。ジェンダー平等の講座を受け、グループワークでデータ収集・分析や社会人へのインタビュー調査を行い、自分たちの考えをまとめ、今年度は11月22日のジェンダー平等フォーラムで成果発表を行いました。参加した高校生からは、進路や家事など広い分野で新たな気づきがあり行動を変えたいと思うきっかけとなった、他校の生徒と交流し新たな視点を持てたなどの意見が、アドバイザーの大学の先生や参加者からは、柔軟な思考と真摯な姿勢に感銘を受けた、高校生の段階でジェンダー平等の現状や課題を把握することは進路を決める上で大切だと感じたなどの意見がありました。
委員新井富美子委員
詳しいご報告ありがとうございます。参加者の男女比が、女子高校生4に対し男子高校生1となっています。この状況をどう考えるか示してください。
県の担当者原口男女共同参画推進課長
昨年度の県民意識調査では、社会全体で男性優遇と感じている割合は70.5%でした。一般的に女性のほうがジェンダーに起因する不利益を直接経験することが多く、より当事者意識を持ちやすい部分があると考えます。参加者の応募動機を見ても、志す職業における女性差別への関心や、女性に家事分担が集中していることへの疑問など、ジェンダーの課題を自身の問題として強く捉えて参加した女子高校生が多い状況です。しかし、ジェンダーの課題は性別にかかわらず社会全体で解決すべきものです。男子高校生も当事者意識を持って参加してもらえるよう、応募動機を分析し、どのような周知・広報が効果的か検討してまいります。
委員新井富美子委員
参加した学生からは、新たな気づきがあり行動を変えたいと思うきっかけとなった、他校の生徒と交流し新たな視点を持てたという感想が寄せられています。男子学生がこの貴重な体験を逃すのはもったいない。意識の醸成には制度整備が有効とも言われますので、例えば各学校に男女1組単位で募集をかけるなど工夫して、男女同比率の参加が実現する取り組みをぜひ行っていただきたい。また、この事業を今後も継続して実施してください。次に、対象を広げ、来年度の新規事業として大学生のジェンダーワークショップを開催することになっています。その目的と具体的な事業内容を示してください。
県の担当者原口男女共同参画推進課長
昨年度の県民意識調査では、『男は仕事、女は家庭』という性別役割分担意識に反対する人の割合は67.7%で、5年前より11ポイント増加し、意識改革は進んできています。しかし、10代・20代の男性は強い性別役割分担意識を持つ層が他の年代より多く、意識を社会に浸透させるには次代を担う若者にしっかりアプローチすることが重要です。そのため、これから社会に出て様々なジェンダーギャップに直面する大学生を対象に、多様な価値観に触れながら課題を掘り下げてもらいます。具体的には、県内大学生がチームを組み、女性の管理職が少ない、男性の育休が進んでいない、女性の地方離れなどの社会課題をテーマに課題を掘り下げ、ロールモデルへのインタビューも行いながら解決策を取りまとめます。その成果を知事や関係する行政機関・経済団体などに提言する場を設けるとともにSNSで発信し、同世代を中心にジェンダー平等への理解を促進・拡大していくものです。
委員新井富美子委員
ありがとうございます。学校への資料配布、高校生ワークショップへの積極的な取り組みとさらなる充実、大学生ワークショップ事業への意気込みが分かりました。最後に、ジェンダー平等社会の実現のため、若年層に向けて今後どう取り組むか、浦田部長の決意をお聞かせください。

浦田人づくり・県民生活部長。

県の担当者浦田人づくり・県民生活部長
県ではこれまで福岡県男女共同参画計画に基づき様々な施策を実施してきましたが、依然として賃金や育児・家事時間などの男女間格差や、固定的性別役割分担意識の解消には至っていません。誰もが人権を尊重され、互いに責任を分かち合いながら社会のあらゆる分野で自分に合った生き方を選択し、個性と能力を発揮できるジェンダー平等社会の実現には、若年層への意識啓発によって意識を社会に浸透させることが重要です。そのため、学校教育での啓発や、高校生・大学生を対象とした意識変革の取り組みなど多様な働きかけを行っています。今後も、教育庁をはじめ市町村や大学などの関係機関と連携しながら、若年層がジェンダーに関する社会課題を認識し、一人一人がしっかりしたジェンダー平等の意識・価値観を持つよう取り組んでまいります。
委員新井富美子委員
浦田部長、ありがとうございました。不断の取り組みが何よりも効果を発揮します。ご決意どおりに今後もしっかり取り組んでいただくことをお願いして質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

ほかに質疑はありませんか。永島弘通委員。

委員永島弘通委員
公明党の永島弘通です。福岡県いじめレスキューセンターについて質問します。 私は令和6年9月の一般質問で、県内のいじめ認知件数が年々増加する中、生徒と学校関係者以外の第三者の立場からいじめの早期発見や解消、長期化・重大化を防ぐ目的で設立されたいじめレスキューセンターについて知事にただしました。当時、令和5年11月のオープンから令和6年3月までの5か月間で延べ612件・実件数126件の相談が寄せられ、うち54件について学校と協議を行ったとの答弁でした。令和6年度のセンターの実績と、相談実績への受け止めをお聞かせください。

大谷こども未来課長。

県の担当者大谷こども未来課長
昨年度、いじめレスキューセンターには延べ825件・実件数145件のいじめの相談が寄せられました。このうち55件について、社会福祉士などの専門相談員が学校にいじめとその対応状況を確認し、いじめが認められた事案について相談者の意向を確認しながら、加害児への指導や被害児の見守りなど解消に向けた対応を学校と協議しました。センターには学校に相談後、第三者の支援を求めて相談されるケースが多いことから、引き続き学校外の立場からいじめに悩む子どもや保護者を支援していく必要があると考えています。
委員永島弘通委員
実績と受け止めは分かりました。前回の答弁で、学校との協議後にフォローアップを行い、いじめが再発している場合は再度学校と協議するようにしている、令和6年9月時点では再度協議を行った事案はないとのことでしたが、その後の状況を伺います。
県の担当者大谷こども未来課長
センターでは、学校との協議結果を相談者に伝えるとともに、3か月をめどにフォローアップを行い、いじめが再発している場合は再度学校と協議することとしていますが、現段階でもこのような事案はありません。
委員永島弘通委員
いじめが再発して再度協議している事案がないと伺うと、センターの取り組みでいじめの状況が改善する効果が現れているのではと推察します。センターが学校と協議した結果、状況が改善した具体的な事例をお聞かせください。
県の担当者大谷こども未来課長
いじめの状況が改善した主な事例としては、センターの介入により加害生徒が複数だったことを初めて学校が把握し、聞き取りや指導を強化した結果いじめの解消につながったもの、センターが学校に相談者の思いを丁寧に伝えるとともに、相談者に対して席を離す配慮や複数教員での見守りといった学校の対応を伝えることで相談者と学校の意思疎通が円滑になり解消につながったものがありました。
委員永島弘通委員
改善事例を伺うと、学校がセンターの活動を理解し協力することでいじめが解消しているように推察します。今後も学校や教育委員会などの理解と協力を広げるため、こうした好事例を学校関係者に提供すべきと考えますが、いかがですか。
県の担当者大谷こども未来課長
いじめを解消するには、協議先となる学校関係者の理解と協力が不可欠です。このため、県・市町村の教育委員会や県内の学校にセンターの取り組みや相談実績を紹介するとともに、校長会や教育委員会、県私学協会などいじめ問題に関わる関係機関が集まる場で改善事例の情報提供を行うこととしています。こうした取り組みで、センターの活動への理解と協力を求めてまいります。
委員永島弘通委員
最後に、センターの取り組みを通じていじめの解消にどう取り組むか、部長の決意を伺います。

福田福祉労働部長。

県の担当者福田福祉労働部長
県では、いじめの早期発見・解消、長期化・重大化の防止のためいじめレスキューセンターを設置し、相談だけでなく、子どもと保護者の同意のもと学校外の立場から学校に出向き、関係者間の調整とその後のフォローアップまでを行っています。学校関係者へのセンターの取り組みや相談実績の紹介、改善事例の情報提供により、活動への理解・協力を求めながら、いじめの早期発見・解消を図り、長期化・重大化するいじめが一件でも少なくなるよう取り組んでまいります。
委員永島弘通委員
終わります。(拍手)

ほかに質疑はありませんか。江口善明委員。

委員江口善明委員
自民党県議団の江口善明です。ステップファミリーの支援について質問します。 耳慣れない言葉ですので説明します。ステップファミリーとは、夫婦の一方または双方が子どもを連れて再婚したときに誕生する家族のことです。家庭の中に血のつながっていない親子関係があるため、初婚の家庭にはない難しさがあると言われます。まず資料要求していますので、全国の初婚・再婚の割合とステップファミリーが抱えやすい問題について説明をお願いします。

光永こども福祉課長。

県の担当者光永こども福祉課長
資料には全国の初婚・再婚の割合とステップファミリーが抱えやすい問題を記載しています。人口動態調査における令和元年から5年間の、夫婦とも再婚またはどちらか一方が再婚の割合は、令和元年が26.7%と最も高く、その後徐々に減っているものの、いずれの年も結婚全体の約4分の1を占めています。この調査では再婚した方に子どもがいたかは調査されていませんが、この約4分の1のうち一定数はステップファミリーが含まれると考えられます。ステップファミリーが抱えやすい問題として、親側は、子どもが反抗したり急にわがままを言うようになる『試し行動』への戸惑いや、新しいパートナーに気を遣って子どもと別れた親との面会をちゅうちょしてしまうなどがあります。子ども側は、別れた実親や祖父母と会えなくなるのではと不安を抱く、まま親と仲よくすることは別れた実親に悪いと思ってしまうなどがあります。
委員江口善明委員
ステップファミリーには血縁関係だけの初婚家庭にはない悩みがあります。特に子どもは家庭環境を選べず、親の再婚で環境が大きく変わり、幼少期に深い悩みを抱えることになると思います。市町村ではこども家庭センターが設置され子育て相談に対応していますが、ステップファミリーの親や子どもからどんな相談があっているのか、県が把握している分を説明してください。

川越子育て支援課長。

県の担当者川越子育て支援課長
県内全ての市町村に設置されているこども家庭センターには、ステップファミリーの父親や母親から、パートナーの子どもがかわいいと思えない、パートナーと養育方針が異なり育児に不安がある、小中学生の子どもからは、実母のパートナーと仲よくなれず悩んでいる、家庭の中で居場所がなく帰りたくないといった相談が寄せられています。こうした相談には、保健師や子ども家庭支援員などの専門職員が対応し、虐待などのおそれがあると判断した場合は児童相談所につないでいます。
委員江口善明委員
家庭に居場所がなく帰りたくないという相談は、相談ができる小中学生のものですが、小学校入学前の未就学児はそうした声を上げられません。未就学児への対応を伺います。
県の担当者川越子育て支援課長
市町村では、保育所などに通う未就学児について保健師などが園を訪問する巡回支援を行い、保育士や施設の責任者から、子どもが食欲がない、眠そうにしている、元気がないなど様子がおかしいことなどを聞き取るとともに、実際に子どもの様子を観察して適切な対応を行っています。また、保育所などに通っていない未就学児については、保健師などが各家庭を訪問し、親子の心身の状況や養育環境を把握・助言し、支援が必要な家庭に適切なサービス提供につなげています。
委員江口善明委員
相談ができない未就学児もいますので、ぜひ小さな声にもきめ細かい対応をしてください。私がこの問題を取り上げたのは、児童虐待の統計で、加害者は実数では実の親が多いものの、比率で見ると継父や継母、いわゆる血縁関係がない親からの虐待が多いという指摘があるからです。2018年、東京都目黒区で発生した5歳の女の子の児童虐待死亡事件は、ステップファミリーの両親が起こした事件でした。その5歳の子が『きょうよりもあしたはもっとできるようにするから、もうおねがい、ゆるして』とノートに書き残しています。県はこれまでステップファミリーへの支援をどうしてきたか伺います。
県の担当者光永こども福祉課長
ステップファミリーの支援に当たっては、相談に携わる児童相談所や市町村などの職員がその特徴を知り理解を深めることが重要です。このため県では、児童相談所・市町村・保育所などの関係機関がステップファミリーについて正しい理解と知識を持ってきめ細かな相談支援を行えるよう、市町村職員が参加する管内市町村要保護児童対策地域協議会連絡会議の場でステップファミリーの特徴や子どもへの支援に関するリーフレットを配付・説明し、関係機関への周知を依頼しています。
委員江口善明委員
リーフレットを見せていただきましたが、A4一枚の裏表で、正直内容が貧弱だと思います。他の自治体では、京都府や東大阪市がステップファミリー向けの冊子を発行し、特に東大阪市は親向け・子ども向けに分けています。親向けの冊子には、『パートナーの子どもにどうしてもいらいらしてしまう』という問いに対し、どうか自分を責めないでください、子どもの行動にいらいらする感情は誰もが感じるもので、よい親にならなければと頑張るほど嫌悪感が募り苦しくなる、だからといって無視やひどい仕打ちをしていいわけではない、と対応が書かれています。子ども向けの冊子には、とてもつらいと感じるときは我慢しなくていいよ、傷つく言葉を言われたりたたかれたり、兄弟の間でひどい差別がある、ご飯を食べさせてもらえないときは我慢しないで誰か相談しやすい人に話を聞いてもらってね、と相談窓口の電話番号が書いてあります。こうした冊子を福岡県でも作成すべきだと思いますが、いかがですか。
県の担当者光永こども福祉課長
ステップファミリーが新たな絆を育むには、親や子どもがステップファミリーだからこその悩みや課題について理解を深め、その対応の仕方を知っておくことが重要です。このため、先ほどのリーフレットに、こども家庭センターなどが把握した課題とその対応事例、相談窓口などの情報を盛り込みます。また、大人と子どもは抱える悩みや課題が異なることから、大人向けと子ども向けの冊子をそれぞれ作成するなど、内容の充実を図ってまいります。
委員江口善明委員
冊子を発行されるとのこと、ぜひよろしくお願いします。私は、こうした冊子はいかに活用するかが大事だと思います。当事者に配付するのは当然ですが、子どもと接する機会がある幼稚園・保育園・学校などでも活用できるよう気を配るべきと思いますが、いかがですか。
県の担当者光永こども福祉課長
この冊子の活用に当たっては、これまでの市町村の要保護児童対策地域協議会の関係機関への周知に加え、親や子どもがいつでも閲覧できるよう新たに県のホームページにも掲載します。また、幼稚園や保育園、学校など子どもと関わる方々にも活用いただけるよう、市町村や関係団体を通じて県のホームページに掲載していることを広く周知してまいります。
委員江口善明委員
ステップファミリーの支援はぜひ充実させるべきです。本県としてどう取り組むか、福田部長の考えを伺います。

福田福祉労働部長。

県の担当者福田福祉労働部長
ステップファミリーは、これまでの生活習慣や価値観の違いがありながら血縁関係のない親子が家族として生活を始めることになるため、葛藤や悩みを抱える方が少なくありません。家族を築いていくには、親や子どもがその特徴を理解し、協力しながら課題を克服していくことが重要です。県としては、関係する支援機関がステップファミリーの特徴を理解するための取り組みを進めてきましたが、今後は親や子どもそれぞれに向けた啓発冊子を作成するなど内容・支援の充実を図ります。また、市町村のこども家庭センター向けの研修で、ステップファミリーからの相談事例をテーマとしたワークショップを開催するとともに、地域の保育所や幼稚園などとの効果的な連携について学べるよう研修内容を充実し、支援を強化してまいります。
委員江口善明委員
私が申し上げたいのは、市町村は現場を抱え冊子をつくるまではできないと思うので、専門的な知見があり児童相談所も所管する県が主体的にこうした冊子をつくり、当事者はもちろん、いろいろな関係機関に広めていただきたいということです。重要な課題ですので、委員長、知事保留質疑のお取り計らいをお願いします。
委員長山本耕一副委員長
ただいま江口委員から申し出のあった知事保留質疑を認めます。知事保留質疑は3月19日木曜日に行う予定ですので、ご了承ください。
委員江口善明委員
終わります。(拍手)

ほかに質疑はありませんか。稲又進一委員。

委員稲又進一委員
公明党の稲又進一です。労働者支援事務所における労働相談について質問します。 福岡労働局が公表した令和6年度の個別労働紛争解決制度の施行状況によると、いじめ・嫌がらせに関する相談が12年連続で最多で、職場のハラスメント問題が依然深刻です。個別労働関係紛争の相談件数は1万171件で前年から18.0%の大幅増、当事者同士では解決困難な場合に第三者の紛争調整委員会が仲介するあっせんの申請件数も72件で16.1%増でした。本県には労働問題で悩む方が誰でも気軽に相談できる労働者支援事務所が県内に4か所あります。先ほど田中委員の質問にもありましたが、今回は少し角度を変えて労働相談業務について尋ねます。まず、労働者支援事務所の役割に触れた上で、労働相談の状況を事前要求資料に基づき説明してください。

松本労働政策課長。

県の担当者松本労働政策課長
労働者支援事務所は、労働者・使用者・県民の皆様から労働問題全般の相談に応じ、助言や情報提供でトラブルの解決を支援すること、働き方改革に取り組む企業への支援を行うことなどを通じて労働環境の向上を図ることを目的に、県内4地区に設置されています。資料は過去3か年の労働相談の状況です。昨年度の相談件数は6,451件で、令和5年度の7,264件に比べ11.2%減少しました。昨年度の相談6,451件のうち労働者からの相談は6,100件で全体の9割以上を占めます。相談内容は多い順に、職場の人間関係が1,088件、解雇・退職勧奨が819件、賃金が642件、労働保険が559件で、ここ数年も同様の傾向です。相談内容が最も多い職場の人間関係は、いじめ・嫌がらせ・パワハラについての相談が大多数を占めています。
委員稲又進一委員
ありがとうございました。労働者からの相談が9割以上を占めますが、相談する労働者の職種や企業規模に特徴的なものがあるか伺います。
県の担当者松本労働政策課長
相談者を職種別に見ると、ここ数年はいずれの年度も医療・福祉が最も多く全体の2割程度を占め、続いてサービス業、卸売・小売業が多い傾向です。企業規模別では、規模が小さい企業で働く方からの相談が多く、特に従業員30人未満の小規模事業所がここ数年は全体の4分の1程度を占めています。
委員稲又進一委員
県内4か所の労働者支援事務所を知らないという県民の声を聞くことがあります。相談窓口の周知はどう行っているか尋ねます。
県の担当者松本労働政策課長
広報は、県のホームページでの発信のほか、県が実施する労働教育講座や労働経営セミナーでの紹介、就業前労働講座の案内などの機会を捉えたリーフレットの送付に加え、コンビニや大型小売店に労働相談のポスター掲示を依頼して行っています。さらに、年2回の日曜労働相談会や、ハラスメント・解雇などのテーマ別相談会といった特別労働相談会を開催する際は、ポスター・チラシのほか、県の新聞定期広告への掲載、テレビ・ラジオ番組・SNSでの紹介、記者への資料提供で周知しています。
委員稲又進一委員
相談は基本的に来所か電話で、時間帯は平日日中に限られ、水曜のみ夜間電話相談を行っていますが、最近の多様な働き方を踏まえ、受付時間帯の拡大やオンラインの活用を検討しないか尋ねます。
県の担当者松本労働政策課長
相談対応時間は、毎週水曜日に夜間労働相談として受付時間を20時まで延長しています。また昨年8月にオンラインによる労働相談の受付を開始し、本年1月末時点で計191件の相談がありました。オンラインの導入で24時間相談受付が可能となったことから、現時点ではさらなる受付時間帯の拡大は予定していません。
委員稲又進一委員
本県でも増加傾向と思われる外国人労働者からの相談の受付状況と、多言語対応の状況を尋ねます。
県の担当者松本労働政策課長
労働者支援事務所に相談に来られた外国人労働者は、多い年で70人台、少ない年で20人台と年度によってばらつきがありますが、昨年度は45人で中国が最多でした。県では、福岡出入国在留管理局などの専門機関と一体となった福岡イズ・オープンセンターを令和6年10月に開設し、在住外国人からの生活や就労などの相談に24言語ワンストップで対応しており、労働者支援事務所での相談時に通訳が必要な場合は当該センターの通訳支援を活用することとしています。
委員稲又進一委員
労働相談の窓口は労働者支援事務所以外にもあると思いますが、どのような役割分担をしているか、また他の窓口との連携はどう行っているか尋ねます。
県の担当者松本労働政策課長
労働者支援事務所以外の相談機関としては、国の地方機関である福岡労働局があり、総合労働相談コーナーによる情報提供・相談、福岡労働局長による助言・指導、紛争調整委員会によるあっせんを行っています。このほか福岡県弁護士会や社会保険労務士会も労働相談やあっせんに対応しており、必要に応じて指導権限のある福岡労働局への誘導、訴訟を見据えた弁護士会への相談など法的手段への移行といった適切な選択肢を説明しています。他機関との連携については、福岡労働局が主催し県内の労働相談に携わる行政機関などで構成される労働相談・個別紛争解決制度関係機関連絡協議会に構成員として参加し、情報交換や共同パンフレットの作成を通じて連携を図っています。
委員稲又進一委員
最後に、本県の労働者支援事務所における適切な労働相談業務の遂行について、人づくり・県民生活部長の決意をお願いします。

浦田人づくり・県民生活部長。

県の担当者浦田人づくり・県民生活部長
労働者支援事務所には毎年度約7,000件の相談が寄せられ、働く皆様の雇用と生活を守る機関として重要な役割を果たすものと認識しています。まずは労働者・使用者・県民の皆様に労働者支援事務所を知っていただき、その利便性を高めることが大事です。このため、労働者向けのセミナーや相談会など様々な機会を捉えて周知を図るとともに、オンラインによる労働相談の実施などで利便性の向上に努めます。今後とも、多くの皆様にとって気軽に労働相談ができ労働環境の向上につなげられる出先機関としての役割を果たせるよう、取り組みをしっかり進めてまいります。
委員稲又進一委員
ありがとうございました。労働者の視点で見ると、労働相談や相談会に行くのは会社との関係性もあり大変勇気が要ります。またオンラインといってもメールのやり取りなので、話をしないと分からないこともあります。さらに利便性向上へ向けてお願いして質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

ほかに質疑はありませんか。永川俊彦委員。

委員永川俊彦委員
自民党県議団の永川俊彦です。一人親家庭の子どもへの学習支援の強化について質問します。 まず地元大牟田市の事例を紹介します。大牟田市の母子寡婦福祉会では、子どもの大学等進学に関わる経済的負担を軽減できないかという思いから市内各方面に働きかけを行い、地元の経営者団体『ライズクラブ』からの寄附を財源に、会員の子どもが大学等へ進学する際に1人に入学準備金として10万円をライズクラブ奨学金として給付する自主事業を、来年度入学される家庭から実施することになりました。令和4年3月の福岡県一人親世帯等実態調査では、現在不足している費用で最も高かったのは母子・父子家庭ともに子どもの就学・通学のための費用で、一人親家庭が子どもの進学に困っている状況がうかがえます。令和7年3月策定の福岡県こども計画にも一人親家庭の子どもへの学習・進路相談面の支援が必要と明記されていますが、これまで県ではどのような取り組みを行ってきたかまず伺います。

大谷こども未来課長。

県の担当者大谷こども未来課長
県では平成25年度から、一人親家庭の子どもの学習を支援したり進学相談を受けることで学力向上を図り将来の安定的な就業につなげることを目的に、福岡県母子寡婦福祉連合会に委託して、小中学生を対象に大学生などのボランティアによる学習支援を行っています。地域の公民館などにボランティアを派遣する学習塾形式と、希望する家庭にボランティアを派遣する家庭教師形式があり、昨年度は合計439名に利用いただきました。利用者の保護者へのアンケートでは、約8割が子どもの学習への取り組み方が変わった、約4割が学校の成績がよくなったと回答しており、学習習慣の定着や学力向上につながっていると考えています。
委員永川俊彦委員
これまでの取り組みは分かりましたが、大牟田市の事例のように、民間団体の自主事業として大学進学に当たり経済的支援を行う取り組みがあるでしょうか。あるなら県はどう周知しているか伺います。
県の担当者大谷こども未来課長
県では、大学進学に当たって利用できる民間の経済的支援として、公益財団法人余慶会による一人親家庭等の大学生への給付型奨学金、公益財団法人ニビキ育英会による母子家庭の大学生などへの給付型奨学金を紹介しています。情報が届くよう、利用できる支援制度や相談窓口を分かりやすくまとめた一人親家庭向けハンドブックにこれらを掲載し、児童扶養手当の現況届受付の機会を活用して市町村を通じて配付しています。
委員永川俊彦委員
学ぶ意欲のある子どもが経済的理由で進学を断念することがないよう、経済的支援は重要ですので引き続き情報提供に努めてください。次に、令和8年度予算案の『生活困窮世帯の子どもの未来選択応援事業』も経済的支援になると考えますが、その概要を尋ねます。また、事業名は生活困窮世帯とありますが、一人親家庭の子どもも対象になるか併せて伺います。
県の担当者大谷こども未来課長
この事業は、生活困窮世帯の子どもが将来の希望を踏まえた進学先を選択できるよう大学等進学を後押しするため、入学試験は5万3,000円、模擬試験は8,000円をそれぞれ上限に受験料を助成するものです。国の補助を活用し、町村にお住まいの方には県から直接助成し、政令市・中核市を除く市にお住まいの方には市を通じて助成します。対象は、児童扶養手当受給世帯または市町村民税非課税世帯で、かつ生活困窮者自立支援制度に基づく学習支援事業に登録している、この両方の要件に該当する20歳未満の受験生で、一人親家庭の子どもも要件に該当すれば対象となります。
委員永川俊彦委員
要件とされる生活困窮者自立支援制度に基づく学習支援事業とは何か説明をお願いします。
県の担当者大谷こども未来課長
この事業では、生活困窮世帯の子どもを対象に学習指導や進路に関する情報提供などを行っています。実施主体は福祉事務所を設置する県や市とされ、事業に要する経費は国から2分の1の補助を受けられます。
委員永川俊彦委員
県では大学等を受験する高校生に対し、同制度に基づく事業としてどのような取り組みを行っているか伺います。
県の担当者大谷こども未来課長
県では、町村にお住まいの中学2年生から高校3年生とその保護者を対象に、オンラインや家庭訪問により、子どもには目指す進路の把握や大学・学部の情報提供、学力向上に向けた学習指導を、保護者には進学費用など進学に係る不安や悩みへの助言などの支援を行っています。昨年度は170名に利用いただき、そのうち高校3年生11名の大学等進学率は63.6%で、令和6年度の生活保護世帯の子どもの大学等進学率35.7%を上回る実績です。
委員永川俊彦委員
県の町村部での取り組み状況は分かりました。市での状況はどうか、実施していない市があればその理由を伺います。
県の担当者大谷こども未来課長
市における生活困窮者自立支援制度に基づく学習支援制度の実施状況は、県内29市のうち政令市・中核市を含む17市が実施しています。実施していない市に理由を確認したところ、実施手法を検討する人的余裕がないこと、財源確保が難しいこと、ニーズの把握が難しいことが理由でした。
委員永川俊彦委員
29市のうち17市の実施にとどまっているとのことです。理由は人的余裕がない、財源確保が難しい、ニーズの把握が難しい。人手がない、お金がない、時間がないというのは世の中のやらない理由の大半を占めると思います。今回提案されている当該事業は子どもが将来の希望を踏まえた進学先を選択するための大変重要な事業で、学ぶ意欲のある子どもの進学を経済的理由で断念させないという強い意志は県行政・福祉労働部のプライドだと承知しています。未実施市に対しこれまでどのような働きかけを行ってきたか伺います。
県の担当者大谷こども未来課長
県としては、貧困の連鎖を断ち切り、意欲があれば誰もが学び個性と能力を発揮できる環境を整備するため、学習支援事業が県内全域で実施されることが重要と考えています。そのため、県と各市がエリアごとに協議・意見交換を行う福岡県生活困窮者自立支援制度地区別ブロック会議で、県の事業の利用者数や進学率といったニーズと実績、県や既に実施している市の実施手法などを各市に説明し、事業実施の検討を依頼してきました。
委員永川俊彦委員
貧困の連鎖を断ち切り、意欲があれば誰もが学び個性と能力を発揮できる環境を整備するには、学習支援事業が県内全域で実施されることが重要だと私も思います。一人親家庭は経済的に困窮しやすいだけでなく、身近に頼れる人がいないなど社会的にも孤立しやすい傾向があります。顕在化した声に応えるのはもとより、潜在的な課題を顕在化し寄り添っていくことこそ、県民福祉の向上に資する行政の使命だと考えます。当該事業の要件を鑑みると行政として積極的に汗をかく必要があると考えますが、今後どう取り組むか伺います。
県の担当者大谷こども未来課長
県では、市の財政負担を軽減しより多くの市で事業が実施されるよう、国に国庫補助率の引き上げを要望してきました。その結果、令和7年度の国補正予算で、事業立ち上げ支援として初年度の補助率が2分の1から3分の2へ引き上げられました。この機を捉え、今後、県・市の担当者が集まる会議を活用し、初年度の財政負担が軽減されたこと、学習支援事業の実施が未来選択応援事業による受験料助成の要件となっていることなどを説明するとともに、市が事業立ち上げを検討する際に個別支援を実施することで、学習支援事業に取り組んでいただけるようしっかり働きかけてまいります。
委員永川俊彦委員
国庫補助率の引き上げは県の一つの成果だと考えます。会議を活用して説明・働きかけをするとの答弁ですが、学習支援事業が県内全域で実施されるには、もう一歩踏み込んだ取り組みが必要だと考えます。最後に、一人親家庭や生活困窮世帯の子どもへの学習支援について、福田福祉労働部長の決意をお聞かせください。

福田福祉労働部長。

県の担当者福田福祉労働部長
保護者の収入など家庭の経済状況が子どもの学力や体験の機会に影響を与えるという教育の格差の問題が指摘されています。このような中、学ぶ意欲のある子どもの教育の機会を確保することが重要と認識しています。県としては、国の学習支援事業の初年度の補助率が引き上げられたこの機を捉え、この事業に取り組んでいない市に対して県職員が自ら直接訪問し、国の補助制度や県が実施している未来選択応援事業を丁寧に説明してまいります。これにより、学習支援事業が県内全域で実施され、全ての子どもがそれぞれの夢に挑戦できるよう全力で取り組んでまいります。
委員永川俊彦委員
福田部長から、事業に取り組んでいない市に職員が直接訪問し丁寧に説明するという前向きかつ具体的な答弁をいただきました。全ての子どもがそれぞれの夢に挑戦できる福岡県になることを願い、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

ほかに質疑はありませんか。高橋義彦委員。

委員高橋義彦委員
自民党県議団の高橋です。本日は、福岡県パラスポーツタレント発掘・育成事業、通称F-STARについて質問します。 この事業は、令和2年12月定例会で会派の渡辺勝将議員が障がい者スポーツの推進について一般質問したことを皮切りにスタートし、パラスポーツの分野で世界で活躍するアスリートを輩出することを目的に取り組まれています。まず、F-STARとはどのようなプログラム構成になっているのか、改めて簡単に説明を求めます。

東スポーツ振興課長。

県の担当者東スポーツ振興課長
本事業は、パラスポーツの優れた素質や潜在的な能力を持つアスリートを発掘・育成する取り組みで、陸上・水泳・ボッチャなど7競技を対象に実施しています。プログラムは、まずパラスポーツを知り触れてもらう体験会、次に有望なパラアスリートを見つける測定会、そして測定会で選考された方を育てる育成プログラムで構成されます。育成プログラムでは、指導者のもとで練習会や座学のスキルアップ研修会などを行い、ファーストステージから始まり基準を満たせばセカンド・サードステージへとステップアップします。受講期間は原則3年です。発掘のみならず育成まで体系的に行っているのは全国でも先進的な取り組みです。
委員高橋義彦委員
パラスポーツに触れて興味を持った方が測定会に参加し、受講生になった後は3段階のステージがあるということですね。私の地元飯塚市には飯塚国際車椅子テニス大会が開催されるいいづかスポーツ・リゾートや筑豊緑地があります。F-STARの車椅子テニス部門に、私の母校・県立嘉穂高校の後輩である矢野蒼大選手という高校3年生の受講生がいます。矢野選手はこのコートも活用して練習を重ね、昨年7月に飯塚のジュニア大会で優勝、9月にはオーストラリアの国際大会でも優勝するなど実力を伸ばしています。現時点での受講生や育成状況、どのような成果が出ているか尋ねます。
県の担当者東スポーツ振興課長
これまでの受講生は53名で、うち現在セカンドステージに在籍しているのは車椅子バスケットボール・ボッチャの計2名、サードステージは車椅子テニス・パラバドミントン・ゴールボールの計3名で、成長を遂げているアスリートは着実に増えています。主な成果としては、ご紹介いただいた矢野蒼大選手が国際連盟主催ジュニア大会で優勝したほか、パラバドミントンの全国選手権で3位になった選手や、陸上競技で日本記録を樹立した受講生も出ています。
委員高橋義彦委員
プログラムは原則3年ですが、トレーニングを積み重ねてきた受講生が急に目標やつながりを失ってしまうのは酷ではないかと感じます。3年間のプログラムを終えて修了する受講生に対し、県としてどのようなフォローアップを行うか尋ねます。
県の担当者東スポーツ振興課長
プログラム修了後のフォローアップは大きく3点あります。1点目は、競技団体主催の練習会などの情報提供を引き続き行います。2点目は、F-STARのスキルアップ研修を受講できるようにします。3点目は、修了後も練習を重ねサードステージの基準をクリアした場合、選考の上、翌年度から最長2年間再受講できるようにします。これらにより、受講生には修了後も目標を持ってスポーツを継続していただきたいと考えています。
委員高橋義彦委員
そうしたフォローがあると聞いて安心しました。F-STAR事業はこの春でスタートから4年、第一期生が3年間のプログラムをちょうど終えるタイミングです。全国的にも先進的な取り組みで先行事例を参考にできず、様々な課題に向き合ってこられたと推察します。現時点で一番大きな課題は何か、その課題にどう対応しようとしているか、併せて答えてください。
県の担当者東スポーツ振興課長
F-STARは受講生の頑張りもあり多くのメディアで紹介いただき、県の広報紙への掲載や県内特別支援学校・特別支援学級設置校へのチラシ配付など様々な方法で周知を図っています。しかし、受講生を選定する測定会への参加者は初年度の107名をピークに今年度は65名と少なく、申込みを待つ現在の手法では受講生を集めるのに限界があると考えています。このため、日本スポーツ振興センターの事業を活用し、特別支援学校や中学校の特別支援学級から提供いただいた生徒の体力テストのデータ分析を行い、有望な生徒に測定会への参加を積極的に呼びかけることで、より網羅的に潜在的なパラアスリートの発掘を進めてまいります。
委員高橋義彦委員
障がいのある生徒はアスリートを目指す方ばかりではありません。成人のデータでは、障がいのある方はない方よりスポーツ実施率が低いという結果も出ています。多くの生徒がスポーツに関心を持ち運動習慣を身につけるよう取り組む必要があり、せっかく体力測定データを集めるなら、これを活用して多くの生徒にスポーツ実施を働きかけるべきと考えますが、いかがですか。
県の担当者東スポーツ振興課長
ご指摘のとおり、アスリートを目指す生徒だけでなくそれ以外の生徒にも関心を持ってもらい広くスポーツの実施を促すことが重要です。このため、体力テストのデータを分析して作成したシートをパラアスリートの発掘に活用するだけでなく、個々の生徒に応じた体力づくりのアドバイスや向いているスポーツなども記載し生徒にフィードバックすることを検討します。これにより、スポーツに興味がなかった生徒やその保護者が関心を持ち、スポーツに取り組むきっかけになると考えています。
委員高橋義彦委員
ぜひ多くの生徒が積極的にスポーツに親しむよう取り組んでください。飯塚では昨年10月、日本で初めてスポーツクライミングとパラクライミングの世界大会が同時開催され、最終日には共生をテーマにリード・ボルダー・パラクライミングを融合させた新しいエキシビションが実施されました。健常者・障がい者など全ての人が尊重され等しくチャレンジできるインクルーシブな社会づくりが重要だと思います。服部知事もインクルーシブな社会づくりを重視されていますが、県としてスポーツ分野におけるインクルーシブ社会の実現に向けどう取り組むか尋ねます。
県の担当者東スポーツ振興課長
県では、多くの県民が集う福岡県民スポーツ大会を中心としたスポーツフェスタ・ふくおかを開催しています。一方、これとは別に、障がいのある方を対象とした福岡県障がい者スポーツ大会、高齢者を対象とした福岡県ねんりんスポーツ・文化祭をそれぞれ開催してきました。来年度から、障がい者スポーツ大会とねんりんスポーツ・文化祭のスポーツ大会部門をスポーツフェスタに統合し、障がいの有無や年齢にかかわらず誰もが参加できるインクルーシブなフェスタに見直したいと考えています。こうした大会を通じて、スポーツ分野におけるインクルーシブ社会の実現に努めてまいります。
委員高橋義彦委員
ぜひスポーツフェスタが全ての県民にとってすばらしい機会となるようしっかり取り組んでください。最後に後藤スポーツ局長に伺います。後藤局長は、F-STARをはじめパラスポーツの振興に努めるとともに、バレーボールネーションズリーグやWTTファイナルズをはじめ数々の国際大会を誘致し成功に導いてこられ、本県のスポーツ振興に多大な貢献をいただきましたが、今月末で退職されると伺いました。これまでの経験を踏まえ、スポーツ振興にかける思いと今後の福岡県のスポーツに関する考えをお聞きします。

後藤スポーツ局長。

県の担当者後藤スポーツ局長
本県ではスポーツ立県福岡の理念を掲げ、福岡県スポーツ推進条例の施行、スポーツ局の設置、スポーツ推進基金の設置など、県議会の皆様の多大なお力添えをいただきながら体制整備を進めてきました。これまでスポーツ局では数多くの国際大会の誘致・開催やF-STARなど他県をリードする先進的な取り組みを進め、昨年度はインターハイ総合開会式にご臨席のため本県にお出ましいただいた秋篠宮皇嗣同妃両殿下にF-STARと福岡県タレント発掘事業の合同練習をご覧いただくこともできました。これらは県議会の皆様のお力添えはもとより、先人の努力、多くの関係者の協力、そして職員の頑張りのたまものです。すばらしい仲間に囲まれ恵まれた環境で2年間スポーツ局長を務めることができました。私自身も20年ほど少年野球の指導に携わった経験があり、スポーツ振興という仕事に熱意を持って取り組んでまいりました。これからの福岡県のスポーツは、アジア男子バレーボール選手権大会や世界卓球選手権団体戦の開催が予定され、インターナショナルトレーニングセンター構想もあり、さらに大きく発展していくものと確信しています。課題もたくさんありますが、スポーツ局はすばらしい職員ばかりで、去りゆく者として何ら憂いはありません。県議会の皆様には引き続きご指導、お力添えを賜りますようお願い申し上げます。42年間の県職員生活の最後の2年間を、多くの皆様とともに福岡県のスポーツの振興に携わることができ本当に誇りに思っています。ありがとうございました。
委員高橋義彦委員
終わります。(拍手)
委員長山本耕一副委員長
ほかに質問はありませんか。

―― 「なし」と呼ぶ者がある ――

委員長山本耕一副委員長
ないようですので、江口委員の知事保留質疑を残し、5款生活労働費に関する質疑を終わります。この際しばらく休憩します。再開は午後2時45分とします。

―― 休憩 ――

委員長香原勝司委員長
委員会を再開します。休憩前に続いて議事を進めます。6款農林水産業費について説明を求めます。徳田農林水産部長、どうぞ。
県の担当者徳田農林水産部長
6款農林水産業費について説明します。1項農林水産業企画費は、農地や水路等の保全を図る多面的機能支払事業費が主なもので合計110億1,400万円余、2項農業費は、水田農業の収益力を高める機械・施設整備などの農業構造改善事業費が主なもので合計122億8,300万円余、3項畜産業費は、動物保健衛生所の整備などの家畜保健衛生対策費が主なもので合計41億1,700万円余、4項農地費は、農業用ため池の改修などの県営ため池等整備事業費が主なもので合計149億2,400万円余、5項林業費は、山地災害の復旧・防止を行う治山事業費が主なもので合計133億7,900万円余、6項水産業費は、漁場の整備・改善を行う沿岸漁場整備開発事業費が主なもので合計64億6,900万円余をお願いしています。よろしくお願いします。
委員長香原勝司委員長
説明は終わりました。質問はありませんか。井上順吾委員、どうぞ。
委員井上順吾委員
自民党県議団の井上順吾です。ワンヘルスの森四王寺整備構想について質問します。 私はこれまでワンヘルスの森四王寺について質問してきました。ここは大野城市・太宰府市・宇美町にまたがる342ヘクタールの森林公園で、四季折々の植物や野鳥などの自然を楽しめるだけでなく、国の特別史跡大野城跡の遺跡が点在する歴史とロマンを感じる場所です。近くの福岡自治研修センター『まなびのやど福岡』も、令和5年の民間開放後、子どものスポーツ合宿や中小企業の研修などに使われ好評です。来月には大野城市が運営するキャンプ場が『大野城そらもりキャンプ場』としてリニューアルオープンし、敷地内にはワンヘルスエリアも整備されるなど、四王寺山への注目が高まっています。今後もワンヘルスを進めるには、より多くの方に来ていただけるよう、ハード・ソフト両面から魅力あるものとしていく取り組みが必要です。まず、改めてワンヘルスの森四王寺の施設概要を説明してください。

奈須林業振興課長。

県の担当者奈須林業振興課長
県では、四王寺県民の森をワンヘルスの森と位置づけ、県民のワンヘルスに対する理解促進と心身の健康づくりを進めています。ワンヘルスの森四王寺は、自然林と人工林で構成する342ヘクタールの森林内に、管理施設や遊歩道のほか、子どもたちが遊べる広場や遊具施設などを有しています。
委員井上順吾委員
このワンヘルスの森四王寺で、ワンヘルスの理解促進と心身の健康を図るため、これまでどのような整備を行ってきたか答えてください。
県の担当者奈須林業振興課長
令和4年度に開催されたFAVA大会を契機に、森に生息する動植物を展示するワンヘルスの森ミュージアムを設置するとともに、ワンヘルスの理念や森林浴コースを紹介する大型の多言語表記の案内板や、遊歩道沿いのバイオマストイレなどの整備を進めています。
委員井上順吾委員
魅力向上には、ハード面の整備と同様に森林浴イベントのようなソフト面の充実も重要です。ソフト面で現在どのような取り組みを実施しているか、資料要求していますので説明をお願いします。
県の担当者奈須林業振興課長
ワンヘルスの森では、ワンヘルスの理念や森の動植物、四王寺山の歴史などを説明するガイドつきの森林浴体験ツアーや自然観察会を実施しており、昨年末までの3年間で6,900人を超える方に参加いただいています。また、紅葉のライトアップやバードウォッチングなども開催しています。
委員井上順吾委員
私もライトアップを毎年見に行っていますが、都市の中でああいう光景が見られるのはとてもすばらしい。魅力向上に向けハード・ソフト両面から取り組んでいるようですが、ワンヘルスの森四王寺の来訪者の状況はどうなっているか聞かせてください。
県の担当者奈須林業振興課長
昨年の来訪者数は28万2,000人で、ワンヘルスの森の取り組みを開始した令和4年と比べ3万人ほど増加しています。
委員井上順吾委員
28万人を超えるとのことですが、これは指定管理者が車1台当たり約3人乗ってきているとして駐車場に止めた車をカウントしたもので、太宰府や大野城、宇美町から自分で歩いて登ってくる人はカウントされていません。その意味では優に30万人を超える人たちが訪れる四王寺山です。ハード・ソフト両面の取り組みで来訪者も順調に成果が出ていることが分かりました。来月リニューアルする大野城そらもりキャンプ場は、昼は開放的な景色、夜は美しい夜景を楽しめ、野鳥観察や環境学習ができるワンヘルスエリアも整備され、四王寺山全体の魅力向上とさらなる集客が期待できます。本県が世界的なワンヘルスの先進地となることを推し進める中、四王寺山の自然や歴史を最大限生かしたワンヘルスの森ならではの取り組みが必要です。県ではワンヘルスの森充実に向けその整備に関する基本構想を取りまとめたと聞いていますが、どのようなものか聞かせてください。
県の担当者奈須林業振興課長
県では、より多くの来訪を促しワンヘルスの理念を広めるため、庁内関係課で検討し、ワンヘルスの森のさらなる施設・設備の整備について取りまとめました。目指す姿は、自然を五感で楽しみながら誰もが健康づくりに取り組み、自然と歴史が融合したワンヘルスの森ならではの体験ができる場、ワンヘルスの考え方を広く普及啓発し学ぶことができる場としています。整備方針としては、ワンヘルスの考え方を普及啓発するビジターセンターを整備するとともに、ワンヘルスの森でしか体験できない森林浴を実現します。具体的には、学習機能を備えたビジターセンターを県産木材を使ったCLTで整備するほか、水城など古代の歴史的な空間が見渡せる展望デッキなどを整備し、森林浴の効能や文化財について学べるデジタルコンテンツを導入します。これらの施設は令和10年度中の供用開始を目指し整備を進めます。
委員井上順吾委員
土日に行ってきましたが、木を伐採して、これも森林環境税を使って伐採していただいたワンヘルスエリアは、今は紅葉が芽を吹き始め、柔らかな光の差し込むとてもいい場所になっています。構想を策定し今後具体化していくのは楽しみです。来年度の当初予算にワンヘルスの森の魅力向上に関する予算が計上されていますが、この構想に基づいた予算だと思います。来年度は具体的にどのようなことに取り組むか、まずハード面の取り組みを聞かせてください。
県の担当者奈須林業振興課長
ハード面では、人獣共通感染症や生物多様性の保全などを学ぶ展示学習室や体験ルームを備えたビジターセンターの設計のほか、愛玩動物との触れ合いスペースや遊歩道の整備を行うこととしています。
委員井上順吾委員
次に、ソフト面でどのような新しい取り組みを実施するか聞かせてください。
県の担当者奈須林業振興課長
ソフト面では、森の中の動植物や文化財を音声やARといったデジタル技術を活用して案内する、全国初の森林浴ガイドナビゲーションシステムを開発します。また、森林浴の効能を実証するモニターツアーに加え、ヨガやアロマテラピーなどを取り入れた新しい森林浴プログラムを実施してまいります。
委員井上順吾委員
ワンヘルスの森四王寺ならではの自然と史跡を生かした新たな森林浴の取り組みを全国に先駆け実施していくとのことです。このワンヘルスの森四王寺は、昭和42年に明治百年記念行事として県民の森の整備に着手し、10年の歳月をかけて昭和51年にオープンして今年で開設50周年を迎えます。昭和54年には現在の上皇・上皇后両陛下が皇太子・皇太子妃殿下の頃にご臨席され第3回全国植樹祭が開催された、深い歴史を持つ由緒ある森林公園です。ワンヘルスの森四王寺の魅力向上はワンヘルスの理解促進のみならず地域の活性化にもつながる重要な取り組みですので、関係市町とも連携し、しっかり進めてください。最後に、ワンヘルスの森四王寺の魅力向上に向けた部長の決意を聞かせてください。

徳田農林水産部長。

県の担当者徳田農林水産部長
国の特別史跡大野城跡に位置するワンヘルスの森四王寺は、豊かな自然が広がり多様な野生生物が生息する、ワンヘルスの理念を実感できる格好の森林公園です。このワンヘルスの森のさらなる集客に向け、庁内検討会で調査検討を進め、昨年3月に整備基本構想を取りまとめました。県としては今後、この基本構想に基づきビジターセンターの整備や森林浴ガイドナビゲーションシステムの導入などを計画的に進めるとともに、地元市町と連携してワンヘルスの森四王寺のさらなる魅力向上に取り組み、これらを通じてワンヘルスの取り組みを国内外にしっかり発信してまいります。
委員井上順吾委員
計画的に取り組んでいくと部長から力強い言葉をいただきました。ワンヘルスの森四王寺は、人と動物の健康と環境の健全性は一つというワンヘルスの理念を自然の中で体験できる森であり、その魅力向上は本県がワンヘルスの先進地となる上でも重要ですので、地元市町との連携を図りながら引き続きしっかり取り組んでください。先日、JOCの専務でフェンシングの太田元会長がこのワンヘルスの森を視察され、フェンシングの強いヨーロッパなどでは都会の中にこういう自然があることに感動されていたそうです。社会に発信するワンヘルスの聖地として、私もずっと見つめてまいります。本日はありがとうございました。終わります。(拍手)

ほかに質疑はありませんか。原田博史委員。

委員原田博史委員
よろしくお願いします。民主県政クラブの原田です。福岡県の森林環境税を活用した取り組みについて伺います。 福岡県の森林環境税は、水源の涵養、土砂災害等の防止、地球温暖化の防止など森林の公益的機能を守るため、荒廃した森林の再生等を図る施策に充てる目的税として創設されました。現行条例では施行後20年をめどとして検討を加えることになっています。県は森林環境税で荒廃森林の整備を進めていますが、近年は豪雨災害の激甚化や労働力不足など創設時に十分想定していなかった課題も重くなっているのではないでしょうか。加えて、本県は全国有数の竹林面積を有し管理が放棄された竹林も多く、竹林問題の影響が極めて大きい県だと考えます。したがって、森林環境税の使途を点検する意味でも、放置竹林対策は避けて通れない重要課題であるという視点で伺います。まず取り組みの評価について。県はこれまで森林環境税で荒廃森林の整備を進め、昨年度は1,200ヘクタールの強度間伐を行い、平成30年度からの7か年累計で9,100ヘクタールに達しています。これは評価されるべきものですが、県民が求めているのは、その整備によって森林の公益的機能がどう回復したのかということです。税導入から20年を目前にした今、これまでの荒廃森林の整備を、単なる整備面積の実績ではなく公益的機能の発揮という観点からどう評価しているか答えてください。

奈須林業振興課長。

県の担当者奈須林業振興課長
森林環境税については5年ごとに事業成果などの検証を行っており、直近では令和4年度に条例施行後15年目を迎えたことから、外部有識者で構成される福岡県森林環境税検討委員会で検証を行いました。この検証で、森林環境税で整備した森林では、林内の光環境が改善して下層植生が増加し、降雨による土砂移動の抑制効果が向上するといった事業の効果が出ていると評価をいただいています。
委員原田博史委員
事業の効果が出ているという意味では公益的機能が向上しているということだと思います。次に森林環境税の基金残高について。この税は収入と使途の関係を明確にするため基金を設置して管理されています。昨年度の取崩し額は約15億6,000万円、昨年度末の基金残高は約7億5,000万円で、取崩し額に対しおおむね半年相当が積み立てられています。基金を持つこと自体を否定しませんが、県民から見て重要なのは、残高が幾らあるかではなく、なぜその水準を残しているのかということです。災害対応のためか、年度間の平準化のためか、将来の重点投資のためか、その考え方が見えなければ余らせているようにも、逆に取り崩し過ぎているようにも見えます。県は森林環境税基金の残高についてどう考えているのでしょうか。
県の担当者奈須林業振興課長
基金残高については、荒廃森林の整備や松くい虫防除対策に要する費用として積み立てているもので、今後の計画的な事業実施に必要な財源と考えています。
委員原田博史委員
次に、事業採択が地域の実情や現状の要望に対応できているかについて伺います。15年目の中間検証では、平成29年度以降5年連続で大雨や台風による災害が発生していることを踏まえ、将来の大雨に備える観点から流域治水の考え方を取り入れ、谷部に限っていた簡易木柵工に加え、金網柵工を下層植生の少ない箇所などに広く面的に設置する必要性が示されました。つまり、荒廃森林整備事業は一律的な森林整備ではなく、地域ごとの災害リスクや流域特性に即した重点化が求められています。本県では地域によって、豪雨災害リスクが高い流域、生活圏に近い山林、放置竹林や侵入竹が深刻な地域、所有者管理が難しい地域、筆界未定の地域など問題が異なります。しかし県民から見ると、どの地域からどういう基準で優先して採択するのかが見えにくいです。県は荒廃森林整備事業の実施に当たり、どのような考えで地域の実情に応じた採択や配分を行っているのでしょうか。
県の担当者奈須林業振興課長
荒廃森林整備事業については、実施要領などで対象となる森林の判断基準や事業メニューを定めています。事業主体である市町村は、この要領に基づき、地域における森林の状況や住民の森林に対する要請などを把握した上で、間伐や侵入竹の伐採といった事業区分ごとの面積を盛り込んだ5か年計画を策定します。事業の実施に当たっては、市町村がこの計画に基づき当該年度の所要額を入れた実施計画書を県に提出し、県はその内容を審査した上で事業を採択し交付金を配分しています。
委員原田博史委員
市町村への予算配分の基本的な考え方は理解しましたが、森林整備は予算をつければ自動的に進むものではありません。山に入って伐採し切った木を搬出し、再整備し継続管理するには路網と人材が不可欠です。県の林業労働力確保の基本計画では、合理的な路網整備や施業の集約化、林道や森林作業道の計画的な整備、路網・高性能林業機械・人員を適切に組み合わせた作業システムの普及・定着が必要とされています。しかし今後は少子高齢化や人口減少で労働力の確保が非常に難しくなります。引き続き荒廃森林整備事業を計画的に進めるため、担い手の確保・育成にどのような取り組みを行っているのでしょうか。
県の担当者奈須林業振興課長
県では、荒廃森林整備事業などに必要な担い手を確保するため、就業セミナーや現場見学会といった新規就業者対策や、林業機械を活用した伐採技術の研修会の実施などにより、人材の確保・育成を進めています。
委員原田博史委員
次に放置竹林対策について。私は竹林そのものが悪いとは思っていませんが、管理が放棄された竹林や人工林への侵入竹は、景観の問題にとどまらず、杉やヒノキなど本来管理すべき森林の生育を妨げ更新を難しくして公益的機能を低下させかねません。山の保水力や土壌保全力の低下を通じて川や海を含む流域全体にも影響し、生態系にも影響を及ぼすという評価もあります。本県の現状を考えれば、放置竹林対策はまさに本県の森林政策の中核的課題として位置づけるべきです。県の農林水産白書では昨年度の竹林対策面積は188ヘクタールで、内訳は放置竹林の伐採と杉や広葉樹への植え替えが53ヘクタール、人工林への侵入竹の伐採が134ヘクタールです。一定の成果は上がっていますが、全国有数の竹林県であることと竹の成長スピードを考えると、事業規模・重点度・継続管理の面で十分か点検すべき段階です。県は放置竹林や侵入竹対策にどう取り組んでいるのか、森林環境税の活用状況も含め答えてください。
県の担当者奈須林業振興課長
県では、荒廃森林の原因となる侵入竹について荒廃森林整備事業により伐採を進めています。一方、放置竹林については、所有地の境界が不明確なことや所有者の伐採等の同意の取得を要することが課題であるため、県は市町村に対し住民説明会や現地立会などに要する経費を支援しています。また、同意を得られた竹林については、市町村や森林所有者が実施する広葉樹などへの植え替えの経費の一部を助成しています。このほか、県と市町村で組織する放置竹林対策連絡会議で、市民参加による竹林整備や竹の粉砕機の導入といった優良事例を共有し、市町村に交付される国の森林環境譲与税の積極的な活用を働きかけています。
委員原田博史委員
最後に部長に伺います。森林環境税は県民に広く負担をお願いしている以上、何に重点配分し、どう成果を上げ、どこに課題が残るかを県民に分かる形で示す責任があります。条例上もこの税は森林の公益的機能を守るための目的税で施行後20年をめどとして検討するとされており、今まさにその節目を見据えた総点検が必要ではないでしょうか。本県は全国の中でも竹林問題の影響が極めて大きい県であり、森林環境税の使途を点検する上でも放置竹林対策は避けて通れない問題であると認識しています。県としても明確に打ち出す必要があるのではないでしょうか。放置竹林対策に対する認識と今後の取り組みへの決意を伺います。

徳田農林水産部長。

県の担当者徳田農林水産部長
本県は全国有数の竹林面積を有し、そこから生産されるタケノコは国内生産量の3割を占めるなど全国有数の産地を形成しています。一方、管理が放棄された竹林は隣接する森林に侵入し悪影響を及ぼすことから、放置竹林対策は重要な取り組みと認識しています。このため県では、広葉樹への植え替えなどを進めるとともに、国の森林環境譲与税を活用した市町村における放置竹林の伐採などの取り組みが一層進むよう支援します。引き続き市町村と連携し、竹林問題の解消に向け、侵入竹対策に加え放置竹林対策にもしっかり取り組んでまいります。
委員原田博史委員
最後に一点要望します。この森林環境税は現行条例で施行後20年をめどとして検討することになっています。制度創設時には十分想定していなかったのが今の現状です。この税は県民税の均等割の超過課税として個人で年間500円、法人分もあり、必要な事業があってトータル金額が今は大体13億から15億ぐらいで推移していると思いますが、これが本当に金額として今後も適当かも検討していただきたいと思います。少し竹林の話にこだわってしまいましたが、山は守らないといけません。山は川につながり川は海につながっています。いずれも福岡県民の大事な財産ですので、これからもしっかり山を守っていただきたいと要望して終わります。ありがとうございました。(拍手)

ほかに質疑はありませんか。堀大助委員。

委員堀大助委員
新政会の堀大助です。豊前海の水産振興、海の話について伺います。この件は平成26年12月議会、令和元年12月議会でも取り上げており、今回改めて質問します。 海も自然の一つで、その自然が昨今の異常気象で脅威にさらされています。先月の国交省九州地方整備局の発表では、昨年10月から今年1月の筑後川流域の降水量は平年の36%で1975年以降で最少とのことでした。おととし太宰府市では猛暑日が62日間と気象庁の観測史上最多となり、私の地元行橋市でも油木ダムの貯水率低下で先月末に渇水対策本部を設置、年平均気温の上位3位を2023〜2025年の直近3年が占めるなど異常気象の影響を受けています。こうした気象の変化は確実に海にも影響し、特に豊前海のような水深の浅い遠浅の海は影響を大きく受けます。豊前海の水産振興には、気候変動で海の環境がどう変化しているか的確に把握することが非常に重要です。まず、豊前海区には水産分野の試験研究を担う豊前海研究所があります。研究所では漁場の環境調査を行っているのか、行っているならどのような調査をしているか答えてください。

尾田漁業管理課長。

県の担当者尾田漁業管理課長
豊前海研究所では、岸に近い沿岸域から沖合域まで全12点の定点を設け、毎月上旬の大潮に水温や塩分、栄養塩などの調査を実施しています。加えて、豊前海は水深が浅く気象の影響を受けやすいため、中旬にも2回目の調査を実施しています。
委員堀大助委員
調査は、遠浅である豊前海の特性に合わせて月2回実施されているとのことでした。では、その調査はいつから行っているのでしょうか。
県の担当者尾田漁業管理課長
昭和47年から調査を実施しており、約50年間の観測データがあります。
委員堀大助委員
約50年間という長期にわたって調査していることが分かりました。それでは、豊前海の水温が過去と比べてどう変化しているか答えてください。
県の担当者尾田漁業管理課長
昭和47年から令和3年の50年間で、年平均水温が約1.1度上昇しています。
委員堀大助委員
1度以上上昇しているとのことでした。一説によると水温の1度の差は気温の10度以上の差に相当するとも言われ、海の生き物への影響が懸念されます。次に、現在旬を迎えている『豊前海一粒かき』について伺います。カキは10年ほど前から、種ガキをいかだにつるした直後にクロダイに食べられる被害が発生するようになりました。県はその対策として、種ガキをつるしたロープを束ねた状態で養殖する『束ね垂下』という手法を指導し食害の低減につながったと聞いています。こうした対策で秋には大きく育ったカキを収穫できますが、近年、秋の水温がなかなか下がらずカキの実入りが遅れているという話を漁業者から伺います。カキは年末に需要が高まるため、そのときに品質のよい状態に仕上げなければ売る機会を損ないかねません。収穫時期に間に合うようカキの実入りを促進させるためどのような対策を行っているか答えてください。
県の担当者尾田漁業管理課長
養殖中のカキにはホヤやフジツボなど様々な生物が付着し、この中にはカキと同じ植物プランクトンを餌にする生物もいて実入りの阻害要因となります。このため研究所では漁業者に対し、夏の産卵を終え体力が回復する目安となる水温23度以下になったタイミングでカキを取り上げ、付着生物を取り除いた後、籠に移し替えて再び海に戻すよう指導しています。付着生物が取り除かれることでカキが餌を食べやすくなり実入りが促進されます。
委員堀大助委員
水温が23度になったところで対策を実施するとのことですが、漁業者はどのようにしてその水温を把握しているのでしょうか。
県の担当者尾田漁業管理課長
県では、漁業者が水温をリアルタイムで把握できるよう、カキ養殖のいかだに水温や塩分などを測定できるセンサーを設置し、そのデータをインターネットで閲覧できるシステム『うみえる福岡』を令和2年度に開発しました。漁業者はスマートフォンでうみえる福岡にアクセスし水温データを把握しています。
委員堀大助委員
豊前海一粒かきの安定生産のため、カキの生育状況に合わせた適切な対策が取られているとのことでした。次に『豊前本ガニ』についても伺います。冬に取れる豊前本ガニは実がしっかり詰まったガザミ、いわゆるワタリガニで真子も入って絶品です。漁業者はカニの安定生産のため、卵を抱えたカニが取れた際には甲羅にカタカナで『トルナ』と書いて再放流する資源管理に取り組んでいます。卵を抱えたカニも売れば売れるのに、そうはせず海に返して資源を未来に残そうという姿勢には敬意を払います。しかしそれでもベテランの漁業者からは、昔と比べたら漁獲量は減少していると聞きます。豊前本ガニの生産安定には資源管理の取り組みをさらに進める必要があると考えますが、いかがですか。

吉岡水産振興課長。

県の担当者吉岡水産振興課長
豊前海では漁業者が豊前本ガニの稚ガニの放流を実施しています。放流後の生き残りをよくするには放流直後の魚からの食害を防ぐ必要があります。そのため3年ほど前から、稚ガニが海藻に付着する習性を利用し、放流前に古いノリ網に稚ガニを付着させノリ網ごと海に設置する方法を漁業者に普及・指導しています。
委員堀大助委員
親ガニのリリースや稚ガニの放流について伺いました。大変重要な取り組みですが、放流後のカニが元気に育つ漁場づくりも重要だと考えます。県ではどのような取り組みを行っているか答えてください。
県の担当者吉岡水産振興課長
県では、底質改善のため豊前海の沿岸域に計画的に覆砂を実施しています。本年度の実績は約4.9ヘクタールで、令和3年度から7年度までの5年間に約38ヘクタールの底質改善を実施しています。
委員堀大助委員
引き続き生産の対策をよろしくお願いします。最後に販売対策について一点伺います。豊前海一粒かきや豊前本ガニについては産業祭などのイベントでのPRや県の広報紙での発信に取り組まれてきたと承知しています。ここでは特に近年、豊前海で水揚げが増加しているハモについて伺います。ハモは昔から隣接する大分県中津市の特産品として知られますが、中津市に追いつけ追い越せで販売にも力を入れる必要があると思います。どのような取り組みを行っているか答えてください。
県の担当者吉岡水産振興課長
県では、県産水産物を積極的に取り扱う飲食店などを『ふくおかの地魚応援の店』として認定する取り組みを進めています。今年度は地域の応援の店12店舗と協力し、昨年9月22日から10月31日にかけてハモをテーマにした『ふくおかの魚フェア』を開催し、豊前海産ハモの認知度向上や販売促進に取り組みました。フェアでは、ハモのしゃぶしゃぶ、寿司、土瓶蒸しなどの和食に加え、ピザやグリル料理といった特別メニューを提供し、来店客からは、フェアを知って興味が湧き福岡市から来た、面白い企画なのでまた食べに来たい、参加店舗からは、ハモの新メニューを開発するよいきっかけとなった、売上げが伸びたので今後もフェアを続けてほしいといった評価をいただきました。
委員堀大助委員
これからも取り組みの継続をよろしくお願いします。豊前海のハモの認知度はまだ県内では低いですが、関西ではハモは高級食材です。私も京都に住んでいたとき夏にハモを食べるのが楽しみでした。ハモは和食に限らず様々な料理に活用でき、豊前海では現在安定した漁獲が見込めるということで、これは漁業者の収入の増加と安定にもつながる大切なポイントです。漁業者や応援の店に加えて市町などとも連携してその魅力を知っていただき、豊前海一粒かきや豊前本ガニに続く地域資源に育っていただくよう期待します。波穏やかな豊前海は、カキ・ガザミ・ハモに加えアサリやシャコなど四季を通じて様々な魚介類が取れる、地域にとってかけがえのない海です。この海の恩恵を将来にわたって受けられるよう、また若い漁業者が未来に希望を持って漁業を営めるよう、漁業者と行政が力を合わせて取り組む必要があります。漁業・養殖業の生産安定や魚価の向上で漁業経営の安定向上につながるよう、豊前海の水産振興に取り組んでいただくことを要望して質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

ほかに質疑はありませんか。井上正文委員。

委員井上正文委員
自民党県議団の井上正文です。農産物の高温対策について質問します。 近年の地球温暖化などの気候変動は我々の生活にも大いに影響を与えています。特に天候に左右される農業では農産物の出来・不出来に影響し農家所得に直結します。まず資料要求していますので、近年の高温が福岡県の農業にどのような影響を与えているのか、資料の説明をお願いします。

後藤農林水産政策課長。

県の担当者後藤農林水産政策課長
左のグラフは、昨年3月に福岡管区気象台が公表した1920年から2024年までの本県の年平均気温の推移です。1920年からの100年間で平均気温が2.5度上昇しており、今後も上昇すると予想されています。右の表は本県農業における高温の影響で、水稲では白未熟粒の発生など収量・品質の低下、果樹では果実の日焼けや着色不良、畜産では乳用牛の乳量低下や肉用牛の生育低下といった影響が確認されています。
委員井上正文委員
水稲では今後、高温対策強化に向けてどのような取り組みを進めていくか伺います。

堺田水田農業振興課長。

県の担当者堺田水田農業振興課長
水稲の高温対策強化に向け、高温に強い水稲品種の作付拡大を図るため、来年度から新たに、元気つくしなどの種子の確保に必要な種子専用乾燥機の導入を支援するとともに、衛星データなどを活用した高温条件下に対応した施肥方法など、高収量・高品質生産技術の開発を進めます。また、高品質な米を県民に安定的に供給できるよう、高温といもち病に強い新たな極早生品種の開発を進めています。
委員井上正文委員
主食用米と同様に、山田錦や夢一献といった酒米についても、酒蔵から、降雨の影響で以前より溶けにくく扱いにくくなったという声を聞いていますが、どのような高温対策に取り組むか伺います。
県の担当者堺田水田農業振興課長
山田錦は茎が長く台風や大雨、また肥料が多すぎると倒れやすく、夢一献は刈取り前までしっかり肥料を効かせないと収量が減る傾向にあり、状況に応じたきめ細かな栽培管理が必要です。このため、普及指導センター・農業団体・酒米生産者組織が連携し、その年の気象条件や生育に応じた適切な栽培管理で収量・品質の確保に努めています。また、近年の夏場の高温を受け、水の豊富な地域で、稲穂が出始める頃から落水するまでの約1か月間水をかけ流すことで品質が向上することを確認しました。今後はこうした取り組みをさらに広げるとともに、高温に強い酒米品種の開発にも取り組みます。
委員井上正文委員
次に、柿やミカンなどの果樹においては、高温対策として県は今までどのような対応をしてきたのでしょうか。

林園芸振興課長。

県の担当者林園芸振興課長
県では、近年の夏場の異常な高温を受け、遮光資材の設置や果実の日焼けを軽減するカルシウム剤の散布など果樹の技術対策に関する情報を発信するとともに、普及指導センターによる技術指導を実施してきました。また、国の事業活用や県単独事業により、高温対策に必要な遮光資材の導入やかん水施設の整備に対し支援を行っています。
委員井上正文委員
これまで普及指導センターを通じて農家に栽培方法のアドバイスをしてきたことは分かりました。しかし今の夏の猛暑は農家の努力だけでは解決しないところまで来ています。令和8年の新規事業では、高温対策として果実への被害の発生予測モデルや対応技術の開発の予算が計上されています。具体的にはどのような取り組みをするのでしょうか。
県の担当者林園芸振興課長
果樹では近年、夏場の高温が今まで経験したことがないレベルとなっていることから、ミカンや柿、ブドウなど本県の主要な果樹を対象に、今の気候変動に対応した技術の開発に取り組みます。具体的には、ビニールハウスや人工気象室を用いて高温下における果樹の生育データを収集し、異常な高温下での生育予測や日焼け果などの被害の発生を予測するモデルを開発します。あわせて、こうした予測モデルをもとに、生産者が事前に対策を講じられるよう、日焼け果の軽減や着色不良の改善などが可能な技術を開発してまいります。
委員井上正文委員
今後も気温は上昇し夏の高温が続くとすれば、中長期的には米の品種開発同様に果樹も高温に対応した品種開発が必要と考えますが、いかがですか。
県の担当者林園芸振興課長
ご指摘のとおり、果樹においても中長期的な視点に立った対応が必要と考えます。そこで県では、高温に対応した果樹の新品種開発の加速化に係る予算を今議会に提案しています。具体的には、ミカンや梨、イチジクなどで、高温でも着色がよく食味が優れるなどの特徴を持つ品種の開発を進めてまいります。
委員井上正文委員
次に畜産について伺います。先ほどの説明のほか、夏の高温の影響で鶏の産卵数が減少するといった生産性の低下も問題となっているようです。畜産では、高温対策を強化するための施設整備や機械導入の支援についてどのような取り組みをするのでしょうか。

能美畜産課長。

県の担当者能美畜産課長
家畜は暑熱ストレスで餌を食べる量が減り栄養不足となって生産性が低下するため、その対策として畜舎内温度の上昇の抑制や家畜の体温を下げることが有効です。そこで、畜舎壁面に設置し気化熱を利用して冷気を取り込むクーリングパッドや、高い冷却効果を発揮する遮熱資材を使用した畜舎の改修、家畜の体に直接水をかけ送風機の風を当てるソーカーシステム、冷気を直接家畜に当てるスポットクーラー、こうした設備・機械の導入を支援します。
委員井上正文委員
特に乳用牛は他の家畜と比べて暑さの影響を受けやすいと伺います。そのため施設整備や機械導入以外にも抜本的な対策が必要と考えますが、乳用牛の高温対策についてどのような取り組みをするのでしょうか。
県の担当者能美畜産課長
国内の乳用牛のほとんどを占めるホルスタイン種は冷涼なヨーロッパ地域を原産地とする品種で、乳量が多い一方、暑さに弱い特徴があります。このため近年の夏場の異常な高温下で安定した生乳生産をするには、乳用牛そのものの暑熱耐性を高めることが重要です。国では、DNA情報に基づいて家畜の遺伝的能力を評価する『ゲノミック評価』による暑熱耐性に係る能力を公表しています。そこでこの評価を活用し、夏季の乳量の著しい低下など暑熱の影響を大きく受けた乳用牛を暑熱耐性の高い牛へ更新する経費や、暑熱耐性の高い乳用牛の精液の購入に対する経費の一部を支援します。
委員井上正文委員
農産物の高温対策は、私たち人間の熱中症対策同様に今後も継続的・重点的に取り組まなければならない課題だと思います。最後に、徳田農林水産部長に高温対策への決意を伺います。

徳田農林水産部長。

県の担当者徳田農林水産部長
農産物の高温対策は、食料の安定供給のためにも農業経営の安定化のためにも重要な課題です。自然を相手にする農業で高温による収量・品質の低下リスクを軽減するには、高温に強い品種を開発し普及していくことが有効ですが、その開発には長い時間を要します。そのため県では、品種開発と併せて、高温対策に必要な施設・機械などの導入支援や、高温に対応した栽培技術を開発し、それらを適切に組み合わせて総合的な対応を進めています。来年度は、新たに気候変動に対応した果樹の安定生産技術の開発や暑熱耐性の高い乳用牛の導入支援などを行います。引き続き高温対策として品種開発、施設・機械などの導入支援、栽培技術の開発にしっかり取り組み、これらを通じて農産物の生産安定を図り、強く稼げる農業の実現に努めてまいります。
委員井上正文委員
質問を終わります。(拍手)

ほかに質疑はありませんか。波多江祐介委員。

委員波多江祐介委員
自民党県議団の波多江祐介です。今回は野生鳥獣の獣肉の有効活用について質問します。 野生鳥獣による農林水産物被害は全国的な問題で収まる気配がありません。例えば栃木・群馬・埼玉・茨城の4県にまたがる渡良瀬遊水地では一昨年に1,000頭を超えるイノシシが確認され、周辺で水稲を中心に深刻な農業被害が発生したとの報道がありました。本県でもイノシシや鹿などによる農林水産物被害が発生しており、私は令和6年6月議会でジビエの利用拡大について、昨年12月議会では侵入防止柵の設置状況などをただしてきました。鳥獣害対策は大きく、侵入防止対策、捕獲対策、獣肉の有効活用対策に分かれ、今回は獣肉の有効活用対策を中心に質問します。まず、令和6年度の本県における野生鳥獣による農林水産物の被害額について、前年度からの増減と併せて答えてください。

石井経営技術支援課長。

県の担当者石井経営技術支援課長
令和6年度の農林水産物の被害額は8億800万円で、令和5年度と比べると、暖冬によりイノシシが越冬し個体数が増加した影響などにより約9,800万円増えています。
委員波多江祐介委員
令和6年度の被害額は前年度比で約1億円増えていることが分かりました。令和6年6月議会の一般質問でジビエの活用拡大をただしたところ、令和4年度に県内でジビエに利用された頭数は捕獲されたイノシシや鹿の1割にも満たないとの答弁でしたが、その後どうなっているでしょうか。令和6年度に県内で捕獲されたイノシシ・鹿の頭数と獣肉への利用状況を答えてください。
県の担当者石井経営技術支援課長
昨年度、県内で捕獲された頭数は、イノシシが3万5,619頭、鹿が1万3,801頭です。このうち獣肉に利用された頭数は、イノシシが3,100頭、鹿が1,657頭で、利用率は1割程度です。
委員波多江祐介委員
令和6年度もジビエの利用率は1割程度と利用拡大が進んでいないように感じます。県はどのような取り組みをしているのでしょうか。まず、本県におけるジビエの利用拡大への支援状況を答えてください。
県の担当者石井経営技術支援課長
県では、ジビエの安定供給を図るため、獣肉処理加工施設に運搬用の保冷車の導入や新規雇用者を対象とした食肉加工技術の研修などの支援を行っています。また、県・市町村・施設運営者で構成するふくおかジビエ流通促進協議会が、施設で過不足が生じたジビエを相互融通するとともに、解体処理者に高い処理技術を持つ熟練者による実技講習を実施しています。加えて、需要拡大を図るため、県が認定するふくおかジビエの店と連携したジビエフェアや飲食店を対象とした調理講習会の開催、一般家庭向けレシピ集の作成、購入できる店舗紹介などに取り組んでいます。
委員波多江祐介委員
利用拡大の支援状況は様々な取り組みをしていることが分かりましたが、実際には利用拡大につながっておらず1割程度と数年横ばいです。そこで獣肉のペットフードへの活用について尋ねます。県では獣肉のペットフードの商品化に平成30年から継続して取り組まれていると承知していますが、現在、商品化に向けてどう取り組んでいるか答えてください。
県の担当者石井経営技術支援課長
県では、獣肉の有効活用に向け、平成29年度にふくおかジビエ流通促進協議会を設立し、ペットフードの製造や商品化を検討してきました。その結果、イノシシや鹿を原材料としたジャーキーやドッグガムなどが商品化され、県内の獣肉処理加工施設が製造販売を行っています。また令和2年度から、ジビエに加工する際に発生する内臓や皮などを原材料とした粉末状のペットフード原料の試験製造を開始しました。さらに令和4年度から、ペットショップやペットフードメーカーにサンプルの提供を始めたところ、犬の食いつきがよいなど高い評価をいただいており、今年度、商品化に向けて製造拠点の整備を進めています。
委員波多江祐介委員
ジビエ利用拡大は難しい課題も多いと感じますが、ペットフードの活用について準備や研究をされてきたことが一定のめどを迎えつつあると聞いて期待しています。令和7年度にペットフード原料の製造拠点を整備されるとのことですが、整備の進捗状況と原材料の確保方法を答えてください。
県の担当者石井経営技術支援課長
製造拠点については、民間事業者・獣肉処理加工施設・添田町の三者で設立した福岡ジビエペットフード事業化コンソーシアムが添田町に整備しており、4月からの稼働に向け準備を進めています。また、原材料となるジビエ加工時に発生する残渣やジビエに利用できない個体については、コンソーシアムが獣肉処理加工施設や市町村に設置するストックポイントを定期的に巡回し収集することとしています。県では、獣肉処理加工施設や市町村が未利用個体を保管するために必要な冷凍庫の整備を支援し、県域で効率的に原材料を収集できる体制づくりを進めています。
委員波多江祐介委員
いよいよ来月から稼働を見据えているとお聞きしました。ペットフード原料の製造体制が整備された後は販路の確保が課題になると考えます。国内のペットフード関連市場は、コロナ禍のペットブームを背景に拡大傾向で、ペットフード協会の調査によると令和6年度のペットフード産業の出荷総額は約4,600億円、対前年比105.6%で9年連続の増加であり、需要はさらに拡大すると考えます。ペットフード原料の販路開拓に向け、県としてどう取り組むか答えてください。
県の担当者石井経営技術支援課長
県としては、ふくおかジビエ流通促進協議会などと連携し、ペットフード原料を製造するコンソーシアムに対し、メーカーなどとの商談や展示会への出展などに係る経費を支援し、販路開拓に取り組んでまいります。
委員波多江祐介委員
販路開拓に取り組むとのことですが、少子化が深刻な台湾では、ペットを飼っている人数と14歳以下の幼年人口がほぼ同じで、ペットフード関連市場は2023年に約3,123億円と10年で約3倍に増加しています。国内での販売が軌道に乗れば将来的には海外への販売も期待できます。イノシシなどの野生鳥獣は農林水産被害だけでなく、水田ののり面など農業生産基盤の破壊や市街地での人的被害にも関与しており、鳥獣被害の軽減には捕獲から獣肉の利活用まで一貫した取り組みをさらに進める必要があります。また猟獣者も高齢化が進む中、持続可能な体制構築が重要で循環しなければなりません。最後に、今後、獣肉のペットフードへの有効活用についてどう取り組むか、部長の決意をお聞きします。

徳田農林水産部長。

県の担当者徳田農林水産部長
獣肉のペットフードへの有効活用を進めることは、捕獲従事者の収入確保だけでなく、捕獲したイノシシや鹿の埋設作業が不要となり負担が軽減され、捕獲頭数の増加にもつながることから、野生鳥獣による農林水産物の被害軽減のため重要な取り組みです。このため県では、今年4月に稼働するペットフード原料の製造拠点への支援や、県域で残渣・未利用個体を収集する体制の構築とともに、獣肉のペットフード原料の販路開拓に取り組みます。引き続き、捕獲従事者や獣肉処理加工施設、ペットフード原料を製造するコンソーシアムなどと連携し、獣肉のペットフードへの有効活用を進め、野生鳥獣による農林水産物の被害軽減に努めてまいります。
委員波多江祐介委員
引き続き、農林水産物被害の軽減のみならず、人的被害を防ぎ県民の皆さんが安心して過ごせるよう今後も取り組んでいただくようお願いして質問を終わります。(拍手)
委員長山本耕一副委員長
ほかに質問はありませんか。

―― 「なし」と呼ぶ者がある ――

委員長山本耕一副委員長
ないようですので、6款農林水産業費に関する質疑を終わります。以上で本日の議事を終了します。3月16日月曜日の委員会は午前11時に開き、歳出7款商工費と8款県土整備費の審査を行う予定です。本日はこれで散会します。

出典: 福岡県議会 会議録検索システム