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発言のやり取り

予算特別委員会2026年3月16日(月) 開催

1. 令和八年度福岡県一般会計予算の歳出、七款商工費及び八款県土整備費の審査

委員長香原勝司委員長
おはようございます。定足数に達しましたので、委員会を始めます。本日は、令和8年度福岡県一般会計予算の歳出のうち、7款商工費と8款県土整備費の審査を予定しています。 まず、7款商工費について説明を求めます。見雪商工部長、どうぞ。
県の担当者見雪商工部長
おはようございます。第1号議案 令和8年度福岡県一般会計予算のうち商工部所管分について説明します。7款商工費のうち、1項商業費は、制度融資の預託金などの中小企業振興資金融資費が主なもので総額2,226億7,200万円余、2項工鉱業費は、企業立地促進交付金などの企業立地対策費が主なもので総額88億2,300万円余、3項観光費は、平日閑散期の宿泊助成事業などの観光振興費が主なもので総額42億7,500万円余をお願いしています。よろしくお願いします。
委員長香原勝司委員長
説明は終わりました。質問はありませんか。江頭祥一委員、どうぞ。
委員江頭祥一委員
おはようございます。自民党県議団の江頭祥一です。本日はバイオ産業の振興について質問します。 私は薬剤師で、県がバイオ産業の振興に熱心に取り組んでいることを会派に入ってすぐ教わり、以来、関心を持って機会あるごとに質問してきました。新型コロナのような人獣共通感染症へのワクチンや治療薬を生み出すバイオ産業は、社会を守り健全な地球を後世に受け継ぐ要となる産業です。高市政権が掲げる17分野にも合成生物学・バイオ、創薬・先端医療が位置づけられています。まず、これまで次世代創薬・再生医療・バイオものづくり・機能性表示食品の4分野を重点的に取り組んできましたが、来年度からファーマテック・フードテック・ヘルステックの3分野に変わるとのことで、その背景を答えてください。

石橋先端技術産業振興課長。

県の担当者石橋先端技術産業振興課長
これまで4分野を重点的に取り組んできましたが、近年は県内企業の活動領域が拡大し、この4分野にとどまらない製品・サービスが生まれてきています。このため、これまで培った強みを生かし、創薬や再生医療などに取り組むファーマテック、食に関する製品開発に取り組むフードテック、睡眠をはじめ健康に関する製品開発に取り組むヘルステックの3分野に整理することとしました。
委員江頭祥一委員
昨年12月の一般質問で、バイオ分野でもAIの活用を積極的に進めるべきだと質問し、知事から前向きな答弁をいただきました。来年度事業にどう反映しているか答えてください。
県の担当者石橋先端技術産業振興課長
新たな重点3分野で企業の研究開発を加速させるため、AIを積極的に活用したいと考えています。特に医薬品や再生医療等製品のファーマテックの研究開発は長い期間と多額の資金を要することがスタートアップの大きな課題です。研究開発にAIを活用すれば、薬の主成分となるたんぱく質の最適な構造の解析や、疾患の原因物質に適合する候補化合物の探索などが飛躍的に効率化され、研究開発の加速とコスト削減が図られます。このため来年度から、海外に展開できる革新的な医薬品や再生医療等製品を開発するバイオスタートアップを対象に、AIを活用した研究開発を集中的に支援します。
委員江頭祥一委員
福岡県発のバイオスタートアップの創出を期待しますが、我々が目指すべきは、新型コロナワクチンを開発して急成長したモデルナ社のような世界規模で活躍する企業を生み出すことだと思います。幅広く支援する政策から転換し、今後伸びる企業を集中的に支援して、この分野ならこの企業という模範的なリーディング企業を育てる施策が必要ではないかと考えますが、いかがですか。

帆足スタートアップ推進課長。

県の担当者帆足スタートアップ推進課長
ご指摘のとおり、まずは高いポテンシャルを持つ企業を集中的に支援し、世界で戦えるユニコーン企業の創出を促すことが必要だと考えています。このため来年度から、グローバルな成長が期待されるディープテック企業3社を『ネクストユニコーン』として選定し、海外市場の状況や商習慣を踏まえた事業戦略の磨き上げを支援するとともに、ボストンに派遣して現地の投資家や協業先とのネットワーク構築を集中的に支援する『福岡県ネクストユニコーン育成(スパーク)プログラム』の実施を考えています。また、研究開発に莫大な資金を要するバイオスタートアップが大型の資金調達を実現できるよう、海外投資家とのマッチングを図る伴走支援プログラムも実施します。
委員江頭祥一委員
ファーマテックはバイオスタートアップが大きく成長する可能性がある一方、大学発スタートアップのイメージが強く敷居が高い印象です。機能性表示食品は地域で頑張る中小企業にこそチャンスがあると思います。フードテック分野でこれまでの機能性表示食品支援でどのような成果を上げたのか、また今後どう支援するか答えてください。
県の担当者石橋先端技術産業振興課長
本県では、機能性表示食品制度が始まった平成27年度から九州大学と連携し、消費者庁への届出に必要な書類作成などを支援してきました。この結果、届出件数は昨年12月時点で915件と東京都・大阪府に次ぐ全国3位で、届出企業174社の多くを中小企業が占めています。一方、相談から消費者庁が届出を受理するまで約2年かかり、収益化まで時間がかかることが課題です。そこで、九州大学や県工業技術センター生物食品研究所と連携し、①科学的根拠を裏づける論文などの調査、②その調査に基づく科学的根拠の文書作成、③消費者庁に提出する届出書の事前チェック、の3段階でAIを活用し、届出までの期間短縮とコスト削減を図り、早期の販売開始を目指します。
委員江頭祥一委員
本県の食品関連企業は900社近くで、基幹産業とされる自動車関連企業の約650社より多く、優れた技術を持つ企業も多くあります。地域で頑張る中小企業への支援に力を入れてください。最後に、ヘルステック分野は睡眠に関する支援に取り組むとのことですが、なぜ睡眠に着目したのか、新たにどう取り組むのか聞かせてください。
県の担当者石橋先端技術産業振興課長
睡眠に着目した理由は2つあります。1つは睡眠関連市場の拡大で、大手調査会社によると国内の睡眠関連市場は2030年に2,100億円に達すると見込まれています。2つ目は、本県が睡眠分野に強みを持つことです。久留米大学の内村理事長は睡眠研究で世界をリードし、同大学は眠りの深さや量を計測し高度な睡眠評価が可能なスリープラボなど優れたリソースを持っています。また、県が支援する企業には腕時計型端末で睡眠健康度を測定するスタートアップも現れています。このため新たに久留米大学のスリープラボと連携し、県内企業による睡眠関連商品の開発支援に取り組みます。具体的には、科学的根拠や安全性に関する論文・データの検索・解析、効果を確かめる試験計画づくり、商品改良への助言などを行い、信頼性の高い高付加価値製品の開発を目指します。
委員江頭祥一委員
非常に面白く関心があります。睡眠問題は多くの現代人が悩む注目分野ですので、全国に先駆けていち早く取り組んでください。私はこれまでバイオや宇宙など地域の未来を支える成長産業についてただしてきましたが、最後に、今年度で退職されると伺っている、成長産業の育成を第一線で取り組んでこられた見雪部長の思いをお聞かせください。

見雪商工部長。

県の担当者見雪商工部長
発言の機会と温かなはなむけの言葉をありがとうございます。県議会の先生方には、果敢に挑戦する企業こそしっかり応援すべきと叱咤激励をいただき感謝します。宇宙については、令和元年12月の江頭委員の自民党代表質問を追い風に県の政策が本格化しました。その数日後、県庁1階ロビーで実施した宇宙ベンチャーQPS研究所の人工衛星初号機打ち上げのパブリックビューイングは忘れられない体験です。打ち上げ成功の直後、開発に携わった中小企業の皆さんや家族が目を真っ赤にして肩を抱き合う姿、夜にもかかわらず500名を超える県民が県庁ロビーに集まり大きな歓声で応援する姿を見て、挑戦者を応援する福岡の県民性を再確認しました。こうした県民性やこれまでの産業政策の結果、本県には宇宙・バイオの優れたスタートアップが数多く誕生し、基幹産業である自動車・半導体の集積を背景に優れた技術を持つ中小ものづくり企業も数多く集積しています。今議会にも成長産業の挑戦を後押しする思い切った政策を提案しています。今後も商工部の皆さんには本県の未来を担う成長産業の育成を図っていただきたいですし、私も優れた企業が次々誕生することを楽しみに見守ってまいります。引き続きご指導のほどよろしくお願いします。
委員江頭祥一委員
終わります。(拍手)
委員長香原勝司委員長
ほかに質問はありませんか。渡辺美穂委員、どうぞ。

―― 正副委員長交代 ――

委員渡辺美穂委員
民主県政クラブ県議団の渡辺美穂です。 日本は高齢化が進み障がい者の人口も増加し、障害者差別解消法などで合理的配慮が義務づけられる中、本県の基幹産業の一つである観光業でも障がい者への配慮が一層求められます。来年度予算の観光振興費でユニバーサルツーリズムの推進に7,000万円強が計上されています。まず、これまでの事業への評価を伺った上で、来年度の事業内容、そのうち新規事業の予定件数も併せて説明してください。

柳原観光政策課長。

県の担当者柳原観光政策課長
一昨年度から実施したセミナーには、宿泊施設・交通事業者・旅行会社など幅広い業種に加え、観光協会や市町村職員にも参加いただきました。これがきっかけでアドバイザー派遣にもつながり、県内のユニバーサルツーリズムの取り組みは着実に広がっています。来年度は、施設整備の支援拡充と情報発信に取り組むこととし、今議会で予算をお願いしています。施設整備の支援は、これまでの宿泊施設に加え飲食店や土産物店など観光施設にも対象を拡充し、助成件数は計12件を想定しています。情報発信は、県の観光情報サイト『クロスロードふくおか』に特設ページを設け、ユニバーサルツーリズムに対応した観光施設の情報やモデルコースを発信します。
委員渡辺美穂委員
施設整備でよく使われる『ユニバーサルデザイン』は、本来は万人に対応した普遍的なという心のありようも含む広義の言葉です。来年度、観光局のユニバーサルデザイン化事業で支援対象として想定している内容はどういうものか、見解を伺います。
県の担当者柳原観光政策課長
施設整備の支援対象としては、観光庁が示すバリアフリー法や関連ガイドラインを踏まえた施設改修を想定しています。具体的には、高齢者や障がいのある方に配慮した段差の解消、車椅子利用者に対応した客室、発達障がいのある方などに配慮したカームダウンルーム、子ども連れに配慮した授乳室やおむつ替えスペース、外国人旅行者に配慮した多言語の案内板などを想定しています。
委員渡辺美穂委員
特に発達障がいの方や子ども連れの方のための部屋も対象とのことですが、以前一般質問で取り上げた、自宅で透析を行う方など表面からは分かりにくい内臓疾患や難病の方もいます。こうした施設を造る場合は、一つの用途に限らず多くの方が利用できる施設になることを要望します。次に情報発信について。車椅子対応の温泉、オストメイト対応、補助犬と泊まれる宿など、障がいの種類によって必要な施設や対応が変わるため、当事者や家族から、安心して行ける場所やルートを探すのに手間がかかるという声を聞きます。クロスロードふくおかで発信するユニバーサルツーリズム対応の観光施設やモデルコースの情報とは具体的にどういうものか示してください。
県の担当者柳原観光政策課長
現在クロスロードふくおかに掲載している営業時間や定休日、アクセスといった基本情報に加え、エレベーターや車椅子対応トイレ、出入口までのスロープ、授乳室、キッズスペースの有無といったユニバーサルツーリズム対応情報を併せて掲載します。モデルコースは、障がいのある方や高齢者、子ども連れの方などのニーズに対応した魅力ある観光施設や飲食店、土産物店を組み合わせたコースを紹介します。
委員渡辺美穂委員
現在、県には障がい福祉課所管の『ふくおかバリアフリーマップ』があり、昨年は太宰府市が九州初のユニバーサルナビ(障がいのある方が不安なく移動・食事・宿泊できる施設を紹介するサイト)を導入しました。ただ太宰府市のものは観光客が集中する太宰府天満宮近隣の案内がほとんどなく道半ばです。発信元の違う同様の情報がある中、観光局は他部や市町村との情報連携をどう考えているか聞かせてください。
県の担当者柳原観光政策課長
ふくおかバリアフリーマップは、障がいのある方や子育て中の方などが外出しやすいよう、飲食店や病院、スーパーなど生活関連施設のバリアフリー情報を集約したものです。一方クロスロードふくおかは観光PRを目的に観光情報を発信するもので、来年度はユニバーサルツーリズムの情報も追加します。情報連携については、クロスロードふくおかにふくおかバリアフリーマップのバナーを掲載しています。モデルコースの紹介時はバリアフリーマップの情報を活用するとともに、クロスロードふくおかに新たに掲載する観光施設の情報はバリアフリーマップにも掲載するなど、引き続き市町村・庁内関係課と連携して取り組みます。
委員渡辺美穂委員
今回いろいろなサイトを見て気づいた、補助犬についての情報発信を紹介します。身体障害者補助犬法により補助犬は飲食店や宿泊所で入店を拒否できませんが、現実には断る店もあり、利用者も断られるのが怖くて行けないという悪循環があります。クロスロードふくおかでは『補助犬』で検索するとゼロ、『盲導犬』対応と紹介されているのは屋外の観光施設ばかりで、食事や宿泊はほとんどありません。所管が違うとはいえ、県の観光案内がこの状況なのは残念です。補助犬に関する情報発信の現状の認識を答えてください。
県の担当者柳原観光政策課長
クロスロードふくおかでは、補助犬を含むバリアフリー情報を確認できるよう、ふくおかバリアフリーマップのバナーを掲載して案内しています。ご指摘のとおり、補助犬の受入れは法律で義務化されていますが、まだ観光事業者に十分知られている状況とは言えず、理解いただく必要があると認識しています。この件については、クロスロードふくおか内での伝え方を関係課と協議して検討するとともに、当課のセミナーで、補助犬がきちんと訓練されていることや、同伴来店時の店側の対応などを引き続き紹介してまいります。
委員渡辺美穂委員
法律上、補助犬を拒めないのであえて紹介する必要はないという考えもありますが、拒否する店舗がまだあるのも現実です。いずれにしても『盲導犬』でしか検索できない現状は早急に改めるべきです。障がい福祉課ともしっかり検討することを要望します。最後にモデルコースについて。単に対応施設をつなぐだけでなく、当事者が安心して楽しめるコースを作ることが大切ですが、具体的にどう取り組むか教えてください。
県の担当者柳原観光政策課長
誰もが不安なく安心して県内観光を楽しめるようにしたいと考えています。モデルコースの作成に当たっては、当事者の方にも協力いただき、どこを訪れ何を楽しみたいかというニーズや移動のしやすさ、休憩場所など事前に知っておきたい情報について意見を伺いながら進めます。こうした取り組みで県内に様々なモデルコースをつくり、誰もが安心して県内を周遊し楽しめる環境づくりに取り組みます。
委員渡辺美穂委員
障がい者の方々の意見を直接聞いた上でモデルコースを設定するとのこと、ぜひ実現してください。また情報はリアルタイムであることも大切です。追加や修正が楽にできる工夫を要望して質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

ほかに質疑はありませんか。稲又進一委員。

委員稲又進一委員
公明党の稲又進一です。本県は福岡の魅力向上と観光産業の振興、欧米豪・中東からの誘客強化を掲げています。訪日外国人客数は、コロナ前最多の2019年の3,188万人余を、2024年に上回って過去最高を更新し、2025年は約4,268万人と初めて年間4,000万人を突破しました。国は2030年に6,000万人を目標に掲げており、本県もこの流れに乗る必要があります。私も観光地を抱える地域の議員として、インバウンド強化は重要と考えます。お手元の資料『福岡県における延べ宿泊者数の状況』に基づいて質問します。まず資料の説明をお願いします。

柳原観光政策課長。

県の担当者柳原観光政策課長
資料は観光庁の宿泊旅行統計調査から本県の延べ宿泊者数をまとめたものです。速報値ですが、昨年の本県の延べ宿泊者数は約2,418万人泊で、内訳は日本人が約1,627万人泊、外国人が約791万人泊です。コロナ前の令和元年と比べると日本人はほぼ横ばい、外国人は約1.9倍と大幅に増加しています。国・地域別では、最多の韓国が約274万人泊(令和元年比205%)、次いで台湾が約132万人泊(194%)、中国が約103万人泊(185%)、香港が約76万人泊(166%)で、東アジアで本県の外国人延べ宿泊者数の約8割を占めます。欧米豪も、アメリカが約20万7,000人泊(265%)、オーストラリアが約8万1,000人泊(300%)、イギリスが約5万2,000人泊(137%)、フランスが約2万7,000人泊(142%)と、いずれもコロナ前より大きく増加しています。
委員稲又進一委員
各国・地域の本県の外国人延べ宿泊者数が増加傾向で、特に外国人はここ7年で2倍に増えていることが分かりました。福岡空港や北九州空港に直行便のない欧米豪からは東京や大阪経由で入ることが多いので、いかに本県での滞在日数を稼ぐか、一日でも多く泊まっていただくかが重要です。まず、訪日外国人の平均宿泊日数を教えてください。
県の担当者柳原観光政策課長
国の統計では、移動距離が長い欧米豪の平均宿泊日数が長く、長い順にフランス18.4日、イギリス14.4日、オーストラリア13.6日、アメリカ12.1日です。一方、移動距離が短い東アジアでは、中国9.1日、台湾6.5日、香港6.2日、韓国4日と欧米豪より短くなっています。
委員稲又進一委員
宿泊日数を増やすことは消費額を増やすことにもつながります。地元の門司港では宿泊が少なく一日5,000円以下と消費額が少ないことが課題に挙がっています。いかに地元でお金を使っていただくかが経済活性化に重要です。訪日外国人が一度の旅行でどのくらいお金を使っているか教えてください。
県の担当者柳原観光政策課長
国の統計では、1人当たりの平均旅行支出は欧米豪が高く、高い順にイギリス・オーストラリアが約39万円、フランスが約36万円、アメリカが約34万円です。東アジアは、中国が約25万円、香港が約23万円、台湾が約19万円、韓国が約10万円です。
委員稲又進一委員
令和8年度当初予算で欧米豪・中東からの誘客強化という新規事業が計上されています。なぜ欧米豪からの誘客に力を入れるのか、その理由を答えてください。

山崎観光振興課長。

県の担当者山崎観光振興課長
欧米豪からの旅行者はアジア圏より滞在日数が長く、1人当たりの旅行支出も高い傾向にあるため、欧米豪市場は本県の消費拡大を図る上で大変重要です。また、欧米豪の旅行者には地域ならではの食や文化、自然に触れる体験など、その土地の魅力を深く知る旅行を志向する傾向があります。本県には世界に誇る食のおいしさをはじめ、伝統工芸や豊かな自然などこうしたニーズに応えられる魅力的な観光資源が数多くあり、欧米豪からの誘客を進める上で大きな可能性を有しています。
委員稲又進一委員
先月2月9〜13日に世界観光ガイド連盟(WFTGA)総会が福岡市で初めて日本開催され、47か国・約600名が来られ、服部知事も開会式に出席されました。600名のうち約540名、約9割が欧米からの方です。私も地元を案内しましたが、皆さん、都会と自然の共存や町並み、人の雰囲気に大感動され、特に筑後・八女・柳川・宗像・北九州を特筆されていました。彼らは各国のプロの一流ガイドの代表で、今後祖国で本県のよさを広く伝えていただく貴重な機会になったと感じます。この総会が本県で開催されたことを県としてどう受け止めているか伺います。
県の担当者柳原観光政策課長
今回の総会には47か国・約600名のガイドが福岡に来られました。開会式で知事も来賓として出席し、あまおうや八女茶を紹介して『食の王国福岡』をPRしました。大会期間中のスタディーツアーでは、大川の組子体験や柳川の川下りなど地域に息づく伝統工芸や文化に触れる行程が組まれ、宿泊した原鶴温泉の旅館では地元ならではの温かいおもてなしを体感されたと伺っています。世界各国のガイドに本県の歴史・自然・食といった多彩な魅力を知っていただく貴重な機会でした。
委員稲又進一委員
海外からの誘客を進めると、観光客増加による地域の不安、いわゆるオーバーツーリズムが生じます。一部の外国人観光客の行動が全ての外国人に共通するかのようなイメージにつながることもあり、特にふだん外国人との接点が少ない方ほど排他的なイメージを抱きやすい傾向が我が会派の独自調査で明らかになりました。本県では約30万人、6%の方が個人の行動を全体の行動として捉えると回答し、矛先がインバウンドを推進する行政側に向く可能性も懸念されます。今後インバウンドが増えれば同様の苦情も増えると想定されるため、日本独自のルールや習慣を知ってもらうことが重要ですが、県は今後どう取り組むか答えてください。
県の担当者柳原観光政策課長
県では、文化や習慣が異なる訪日外国人を対象に、ごみの取扱いやトイレの利用方法、交通ルールといった基本的なマナー・ルールを紹介するリーフレットを多言語で作成し、福岡空港国際線をはじめ観光案内所などに配架するとともに、県の海外向け観光サイトでも発信しています。また、旅行者と接する機会が多い観光案内所スタッフを対象に、基本的マナーの伝え方を学ぶ研修も実施しています。こうした取り組みで、旅行者に日本のルールやマナーの理解を深めていただき、地域の方々にも快く訪日外国人を受け入れてもらえるよう努めます。
委員稲又進一委員
最後に、本県への欧米豪からの観光客誘致における部長の決意をお願いします。

見雪商工部長。

県の担当者見雪商工部長
滞在日数が長く1人当たりの旅行支出も高い欧米豪からの誘客強化は、本県の観光消費の拡大に重要です。このため県では、イギリス・フランス・アメリカ・オーストラリアに本県の魅力を発信する観光誘客拠点を設置し、現地旅行博への出展や、現地メディア・旅行会社向けの最新観光情報の発信を行ってきました。本県には世界に誇る食文化、長い歴史に培われた伝統や祭り、豊かな自然など魅力ある観光資源が数多くあり、欧米豪の旅行者にとっても大きな魅力となるポテンシャルがあります。オーバーツーリズムへの配慮も図りつつ、欧米豪からの誘客に全力で取り組んでまいります。
委員稲又進一委員
ありがとうございました。欧米豪の観光客誘致と同時に、通訳ができる観光ガイドの育成も急務になりますので、今後その点も検討いただくことを強く要望して質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

ほかに質疑はありませんか。大塚絹子委員。

委員大塚絹子委員
新政会の大塚絹子です。本日は、令和6年の福岡・大分デスティネーションキャンペーンを契機に始まった県内周遊バスツアー『よかバス』と、インバウンド向けの食策について質問します。 来年度予算のよかバス関連には、認知向上と県内周遊促進のため1億7,000万円余が計上されています。福岡県内には全国的に有名なグルメをはじめ、絶景・歴史・文化・体験など多彩な観光資源があり、交通アクセスが不便な場所でも、旅行プランを自分で立てるのが難しくても、定番からディープな魅力まで楽しめるバスツアーは非常に有効な観光コンテンツです。まず、現在よかバスに参加している事業者の数と募集中のツアーの数、その利用状況を答えてください。

山崎観光振興課長。

県の担当者山崎観光振興課長
現在、よかバスには22の事業者が参画しています。今月上旬の時点で、ポータルサイトで募集中のツアーは約400本です。昨年度の実績は、催行されたツアーが890本、利用者数は2万6,886人で、今年度も昨年度を上回るペースでご利用いただいています。
委員大塚絹子委員
多くの方に利用されていることが分かりました。次に、現在どのような内容のツアーが催行されているか、主なものを教えてください。
県の担当者山崎観光振興課長
よかバスでは、四季折々の自然や地域の食、体験などをテーマに様々なツアーが催行されており、特に季節限定で楽しめる特別感のあるツアーや、その土地ならではのグルメを堪能できるツアーが人気です。春の時期では、桜やチューリップ、ネモフィラ、藤、ツツジなどを鑑賞するツアーのほか、海鮮やタケノコなど旬の味覚を楽しむグルメツアーがあります。また、イチゴ狩りや八女でのすすり茶体験、芦屋釜の里での呈茶体験など地域ならではの体験型ツアーも企画されています。
委員大塚絹子委員
近年はモノ消費から体験を重視するコト消費への関心が高まっています。個人旅行では体験しづらい伝統工芸の見学・製作や八女茶の利き茶体験などは今後関心を集めると考えます。特に訪日外国人にとって日本ならでは、福岡ならではの文化体験は大きな魅力ですので、引き続き進めてください。ここからはインバウンド向けのよかバスについて。インバウンドの方が利用しやすくするため県はどのような取り組みを行ってきたか答えてください。
県の担当者山崎観光振興課長
県では、情報発信や販売体制の整備を進めています。情報発信では、よかバスポータルサイトを英語・韓国語・中国語・タイ語・フランス語に対応した多言語サイトとして整備しています。販売体制では、現地旅行会社の担当者を本県に招請してよかバスツアーを体験してもらったほか、海外の観光誘客拠点(観光レップ)を通じてよかバスを組み込んだ旅行商品の造成を海外の旅行会社に働きかけています。また、海外の旅行予約サイトに、本県までの交通・宿泊・よかバスの情報を集約した特設ページを開設し、ワンストップで予約購入できる環境を整えるとともに、バナー広告を掲載するなどのキャンペーンで認知度向上に取り組んでいます。
委員大塚絹子委員
私もサイトを見て、多言語対応のツアーが数多く掲載されていることを確認しました。実際に利用したインバウンドの方の感想や評価で、県が把握しているものがあれば答えてください。
県の担当者山崎観光振興課長
インバウンド向けよかバスを催行する事業者から、利用された外国人旅行客の感想を聞いており、全体として大変好評です。具体的には、一度に様々な観光スポットを訪れることができガイドの説明も分かりやすく地元の歴史や文化を知ることができた、ガイドが丁寧に八女茶文化を紹介し日本酒の試飲もでき充実した一日となった、おいしい食事と美しい夕日を楽しめて満足した、といった声が寄せられています。ガイドの説明を通じて地域の歴史や文化を深く体験でき、県内各地の景観や食を一度に楽しめる点が高く評価されていると考えています。
委員大塚絹子委員
利用者の声も反映しながら、さらに多くの方に利用いただけるよう取り組んでください。今後、より多くの方によかバスを利用してもらうためどのような施策を考えているか答えてください。
県の担当者山崎観光振興課長
インバウンドの方から大変好評で、一度利用すればまた利用したいという声も多く、リピーターでさらに広がる可能性のある観光コンテンツと受け止めています。今後は海外への情報発信や利用促進をさらに強化して認知度を高め、インバウンドによる利用拡大につなげます。このため今議会に、令和8年度の新規事業として訪日客向けの『ゴー・フクオカ観光キャンペーン』に必要な予算をお願いしています。お認めいただければ、海外の旅行予約サイトを活用し、よかバスを利用するインバウンドの方にツアー料金の一部を助成するキャンペーンを実施し、認知度向上と利用促進を図ります。
委員大塚絹子委員
ぜひしっかり取り組み、多くのインバウンドの方に福岡各地の魅力を食べて見て知っていただきたいと思います。話題は替わりますが、訪日外国人の約8割が日本食を目的に訪れるとも言われ、食は観光の重要な要素です。近年はベジタリアンやムスリムの方々をはじめ多様な食習慣を持つ外国人旅行者も増えています。まず、県内の飲食店にこうしたニーズに対応する意義や必要性の理解を深めてもらうことが重要と考えますが、県はどのような取り組みを行っているか伺います。

柳原観光政策課長。

県の担当者柳原観光政策課長
ベジタリアン、ビーガン、ムスリム等、食習慣や文化的慣習の違い、いわゆる食の多様性について理解を深めていただくため、県では飲食店などを対象としたセミナーを開催してきました。セミナーでは、多様な食習慣を有する旅行者の市場状況や国内外の動向、食の多様性の種類、使用可能な食材などの基本知識、県内企業の先進事例などを盛り込み、一昨年度から3年間で500を超える事業者に参加いただきました。
委員大塚絹子委員
多くの事業者がセミナーに参加し理解が広がっていると理解しました。一方、セミナーで理解を深めてもメニュー開発にどう取り組めばよいか分からない事業者もいると思います。そうした事業者にどのような支援を行っているか伺います。
県の担当者柳原観光政策課長
希望のあった飲食店に、食の多様性に精通した専門アドバイザーを派遣し、動物性原材料不使用のビーガン対応の豚骨風ラーメンや、豚由来成分・アルコール調味料不使用のムスリム対応のもつ鍋など、福岡を代表する食文化のメニュー開発を支援し、一昨年度から今年度までの3年間で45件の新たなメニュー開発につなげました。また、食材・調味料のチェックや新たな仕入先の開拓、外国人旅行者にも分かりやすい多言語化やピクトグラムを活用したメニュー表の作成など、きめ細かな個別支援も行ってきました。
委員大塚絹子委員
専門アドバイザーの派遣でメニュー開発に取り組む店舗が着実に増えていることを理解しました。最後に、開発されたメニューや対応店舗は旅行者に知ってもらい実際に来店してもらえなければ効果が十分に発揮されません。県ではどのように情報発信を行っているか伺います。
県の担当者柳原観光政策課長
多様な食習慣や文化的慣習を持つ外国人旅行者が安心して利用できるよう、対応店舗を紹介するリーフレットを作成し、県内の観光案内所に配架しています。また旅行会社にも提供し、新たなツアー造成に活用いただいています。加えて今年度は、県の観光情報サイトに特設ページを開設し、対応店舗とメニューなどの情報を英語・韓国語・中国語(簡体字・繁体字)・フランス語・日本語の6言語で発信しています。
委員大塚絹子委員
ありがとうございました。きめ細かい対応が進んでいることを心強く感じます。今後も、県内の魅力を余すことなく楽しんでいただけるよう、よかバスの商品開発と利用促進、食の多様化で国内外の観光客の最大化を図っていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)

ほかに質疑はありませんか。新開崇司委員。

委員新開崇司委員
無所属の会の新開崇司です。中小企業の奨学金返還支援について質問します。 令和8年1月の民間調査では、正社員が不足していると感じる企業の割合は52.3%で、1月の統計として4年連続で50%を超えました。また令和7年の人手不足による倒産件数は427件と3年連続で過去最多を更新しており、企業の人材不足は深刻です。まず、令和8年度の重点施策である奨学金返還支援の事業について説明をお願いします。

古主中小企業振興課長。

県の担当者古主中小企業振興課長
エネルギーや原材料費の高騰に加え、特に超少子高齢社会の中で人材不足が顕在化し、県内中小企業の経営環境は厳しい状況です。中小企業の特に若手の人材確保・定着を図る上で奨学金返還支援は有効な手段であることから、従業員の奨学金返還支援に取り組む中小企業への助成制度を創設するものです。
委員新開崇司委員
この事業の予算額は5,047万円ですが、その内訳を説明してください。
県の担当者古主中小企業振興課長
5,000万円余のうち4,000万円は、奨学金の代理返還などを行う中小企業への補助金です。補助率は2分の1、補助上限を1社50万円とし、利用企業数を80社と見込んでいます。残りの1,000万円余は、事業内容の周知を図る県独自のポータルサイト構築の経費です。
委員新開崇司委員
1社当たりの補助上限は、北九州市45万円、福岡市50万円ですが、県はどのような理由で50万円に設定したのか伺います。
県の担当者古主中小企業振興課長
日本学生支援機構によると、1人当たりの奨学金の平均貸与総額は約300万円、平均返還年数は約15年で、年間にすると約20万円です。また昨年4月の県の調査では、既に奨学金返還支援に取り組む企業1社当たりの平均支援従業員数は5人でした。これらのデータから、中小企業が従業員の奨学金返還支援に要する費用を約100万円と見込み、補助率2分の1として、1社当たりの補助上限額を50万円と設定しました。
委員新開崇司委員
設定の考え方は分かりました。次に、県で代理返還制度を導入している企業数について、制度が始まった令和3年度から現在までの推移を示してください。
県の担当者古主中小企業振興課長
日本学生支援機構によると、令和3年度が11社、4年度が30社、5年度が88社、6年度が168社、令和7年12月末時点で249社となっています。
委員新開崇司委員
令和3年度の11社から令和7年12月末で249社まで増えていることについて、県としてどう認識しているか示してください。
県の担当者古主中小企業振興課長
増加の主な要因は、昨年9月議会の自民党代表質問で知事が答えたとおり、中小企業団体中央会の労働実態調査で経営上の障害として人材不足を挙げた事業所の割合が最も高く、中小企業の人材不足が深刻な状況にあることです。こうした中、昨年4月の県の調査では、奨学金返還支援を実施していない事業所の約8割が『財政的な支援があれば実施を検討する』と回答しており、人材不足を背景に制度へのニーズが高まっていると考えています。
委員新開崇司委員
県が初めて中小企業の奨学金返還支援に取り組むことで人材不足の状況の変化につながり、県内中小企業が制度に注目していることが分かりました。財政的支援があれば導入を検討する中小企業に一社でも多く助成制度を知ってほしいと考えますが、来年度の予算約1,000万円でどのようなポータルサイトを構築するのか具体的に示してください。
県の担当者古主中小企業振興課長
このポータルサイトには、中小企業が奨学金返還支援に取り組むための社内規定の例や代理返還制度導入のメリットの解説、県の補助金の概要や補助申請手続を分かりやすく説明した手引、導入済み企業の取り組みやメリットの紹介、県が導入企業をPRするための導入企業の一覧、などを掲載する予定です。
委員新開崇司委員
来年度からポータルサイトで事業内容を周知することで、代理返還制度を導入する企業が増えることにつながると考えますが、いかがですか。
県の担当者古主中小企業振興課長
ポータルサイトを活用して若手人材の確保に困っている中小企業に県の支援制度をPRすることで、来年度は代理返還制度に取り組む県内企業が増えてくると考えています。
委員新開崇司委員
私も来年度は取り組む企業が増えると考えますので、動向を注視していただきたいと思います。ポータルサイトの構築完了後、県内の中小企業に対してどのような取り組みでURLの周知をする考えか示してください。
県の担当者古主中小企業振興課長
ポータルサイトの周知は、県のホームページやLINEをはじめ、商工会議所や商工会の経営指導員による巡回訪問、中小企業振興センターの広報誌やメルマガなどを通じて行うことを考えています。
委員新開崇司委員
URLを広報紙やメルマガに載せることで手軽にポータルサイトへ誘導できると考えます。来年度から県内中小企業の特に若手の人材確保・定着を図るため、利用企業数80社を見込んで予算4,000万円が行き届き、ポータルサイト構築に1,000万円余を充てるなど、経営環境の改善に必死に取り組まれています。導入企業も令和7年12月末の249社から来年度は増えていくとのことです。奨学金返還支援の取り組みをしっかり進めていただきたいので、利用企業数80社を見込んでいることを踏まえ、商工部長の決意をお聞かせください。

見雪商工部長。

県の担当者見雪商工部長
中小企業には県内雇用の8割を担っていただいており、本県経済発展の原動力です。中小企業の発展なくして本県経済の発展はありません。しかし、エネルギーや原材料費の高止まりなど経営環境は厳しく、特に人手不足への対応は喫緊の課題です。中小企業が従業員の奨学金返還支援に取り組めば、優秀な人材の確保・定着や、社員を大切にする企業としてのイメージ向上などの効果が期待されます。このため、まずは事業の周知にしっかり取り組み、一社でも多くの中小企業にこの補助制度を活用いただき、若手人材の確保・定着につなげてまいります。
委員新開崇司委員
終わります。
委員長山本耕一副委員長
この際しばらく休憩します。再開は午後1時10分をめどに放送でお知らせします。

―― 休憩 ――

委員長香原勝司委員長
委員会を再開します。休憩前に続いて議事を進めます。7款商工費について、ほかに質問はありませんか。笠和彦委員、どうぞ。(拍手)
委員笠和彦委員
自民党県議団の笠和彦です。福岡県中小企業“稼ぐ力”応援センターの設置について伺います。 エネルギー価格や原材料費の高騰が長期化し、価格転嫁できない中小企業では収益の圧迫が続いています。加えて人材不足も深刻です。県では、令和元年度に設けた中小企業生産性向上支援センターを、昨年10月に中小企業DX推進センターに改め、来年度からは自動車分野への支援機能も付加した『福岡県中小企業“稼ぐ力”応援センター』を開設する予算を提案しています。中小企業が事業を継続するには収益力の向上、まさに稼ぐ力をつけることが重要です。まず、このセンターの設立の経緯を伺います。

御幡中小企業技術振興課長。

県の担当者御幡中小企業技術振興課長
県では令和元年9月、全国で初めて企業診断から改善提案・設備導入まで一貫して支援する福岡県中小企業生産性向上支援センターを開設し、令和7年10月にDX支援機能を強化した中小企業DX推進センターに改組しました。国は本県の取り組みを高く評価し、令和8年4月から本県をモデルにした『よろず支援拠点生産性向上支援センター事業』を全都道府県に横展開する予定です。県でも急増する支援ニーズに対応するため支援体制を拡大したいと考えており、これを好機と捉え、国事業を活用して、中小企業DX推進センターと自動車関連企業電動化参入支援センターを一体運営する中小企業ワンストップ支援体制を構築するため、“稼ぐ力”応援センター開設の予算を提案しています。
委員笠和彦委員
“稼ぐ力”応援センターの実施体制について伺います。
県の担当者御幡中小企業技術振興課長
センターでは、生産性向上支援・DX支援・自動車産業支援の3つの柱事業を実施します。それぞれ相互に情報共有・連携しつつ、中小企業一社一社の課題解決のため専門家が伴走支援します。また、補助金に関する相談にワンストップで対応する補助金コンシェルジュを配置し、県や国などの補助金の利活用を促進します。
委員笠和彦委員
令和7年10月にDX推進センターを開所しDX支援を強化されていますが、まずはデジタル化からという中小企業も多く、DXは簡単でないと思われます。県の考えるDX支援とは何か答えてください。
県の担当者御幡中小企業技術振興課長
中小企業は人手不足や熟練社員の技能継承、生産性向上など様々な経営課題に直面しており、その解決にはデジタル技術の活用が不可欠です。あわせて作業工程の見直しや業務プロセスの変革(トランスフォーメーション)を進めることが重要で、これらを一体的に推進することが県の考えるDX支援です。大企業に比べ中小企業のDX導入はハードルが高いという声もありますが、近年、中小企業のDXへの意識は着実に変わりつつあり、また中小企業はトップが判断すれば一気に改革を進めやすい面もあるため、引き続きしっかり推進してまいります。
委員笠和彦委員
DX支援の具体的な成功事例を伺います。
県の担当者御幡中小企業技術振興課長
宿泊業で、フロント・調理・清掃など各部門の伝達を口頭や紙から情報管理システムに変えたことで無駄な移動が激減し、本来業務の顧客サービスに注力して売上が増加した事例や、飲食業で注文・会計を手書き伝票やレジ手入力からモバイルオーダーシステムと自動釣銭機に変えて業務が効率化し、自動集計された売上データを活用してメニュー改善につながった事例などがあります。
委員笠和彦委員
次に、自動車産業支援はどのような背景や狙いで設置するのか尋ねます。

中野自動車・水素産業振興課長。

県の担当者中野自動車・水素産業振興課長
自動車産業支援は、日産自動車九州への生産移管を契機に、本県のサプライチェーンの強靱化を集中的に進め地元調達率の向上を図るため、令和4年に設立した自動車関連企業電動化参入支援センターを改組し幅広い支援を行うものです。これまでの電動化や『CASE』と呼ばれる先進技術への対応支援に加え、今議会で提案しているサプライヤーの増産に対応する設備移設や取引拡大に向けたマッチングの支援に取り組みます。さらに、サプライヤーが直面する人手不足や生産性向上といった課題にも、“稼ぐ力”応援センターの他の部門と連携して伴走支援に取り組みます。
委員笠和彦委員
今回設立する“稼ぐ力”応援センターを一社でも多くの県内中小企業に利用してもらい、しっかり稼ぐ力を身につけてもらうことが最も重要です。このセンターの利活用をどう促進するか、また何社くらいの利用を目標とするか伺います。
県の担当者御幡中小企業技術振興課長
利活用促進については、これまでと同様に県の産業支援機関や地域中小企業支援協議会、商工会議所・商工会など経済団体と連携し、ホームページやメルマガで周知するとともに、コーディネーターや経営指導員の日頃の支援活動を通じて周知します。また、新たに中小企業振興事務所と工業技術センターの計8か所に地域相談窓口を設置して気軽に相談できる環境を整備し、課題を明確化できない中小企業や先進モビリティー産業への参入を図る企業に対し、アドバイザーなどが積極的に働きかけるプッシュ型で企業の掘り起こしを行います。さらに、日産自動車九州への生産移管で地元サプライヤーの受注拡大が期待されるため、センターを周知し機能を最大限に活用します。こうした取り組みで、年間300社の利用を目指します。
委員笠和彦委員
中小企業の持続的な成長なくして福岡県の経済発展はありません。商工部長に、中小企業の稼ぐ力強化に向けた決意を伺います。

見雪商工部長。

県の担当者見雪商工部長
中小企業は県内企業の99.8%を占め雇用の8割を担う、本県経済発展の原動力です。中小企業の成長なくして県経済の発展はあり得ません。しかし、エネルギー価格や原材料費の高騰、人手不足など多くの困難な課題に直面しています。この課題を乗り切るには、中小企業の稼ぐ力を高めて賃上げを実現し、人材を確保してさらに成長し続ける好循環を実現しなくてはなりません。このため、県が中心となって国事業も活用し、生産性向上からDX、日産の生産移管をにらんだ自動車関連産業まで支援する“稼ぐ力”応援センターを設立し、ワンストップで支援できる体制を整備します。中小企業振興策は商工部の一丁目一番地であり、来年度からは商工部に中小企業振興局を新設して支援策を大幅に充実・強化します。このセンターはその中核となる事業でもあり、一社でも多くの中小企業に活用いただき、稼ぐ力を身につけて成長していただけるよう全力で支援してまいります。
委員笠和彦委員
終わります。(拍手)
委員長香原勝司委員長
ほかに質問はありませんか。室屋美香委員、どうぞ。(拍手)
委員室屋美香委員
民主県政クラブ県議団の室屋美香です。本県の伝統工芸品の販路拡大について質問します。 本県には、博多織・博多人形・上野焼・小石原焼・八女福島仏壇・八女提灯・久留米絣の7品目が国の伝統的工芸品に指定されています。また、小倉織や大川組子、甘木絞り、昨年新たに指定された久留米綿入りはんてんなど、県指定の特産工芸品・民芸品も38品目あります。まず、本県の伝統工芸品を取り巻く状況の認識を答えてください。

柳原観光政策課長。

県の担当者柳原観光政策課長
伝統工芸品の生産額は、生活様式の変化、海外からの安価な輸入品の増大、産地の担い手不足などの影響で年々減少しており、伝統工芸品を取り巻く環境は厳しい状況だと認識しています。
委員室屋美香委員
技術が伴う伝統工芸品の担い手不足は深刻な問題です。県ではこれまでどのような支援を行ってきたのでしょうか。
県の担当者柳原観光政策課長
新たな需要喚起・国内外での販路拡大・後継者育成が重要な課題です。新たな需要喚起では、アクロス福岡匠ギャラリーでの情報発信やSNSを活用した発信に取り組んでいます。国内外での販路拡大では、現代の生活様式に合わせた新商品開発支援、大型商業施設での大規模販売会、フランス・パリでのテストマーケティングを通じた海外向け商品開発支援などを行っています。後継者育成では、ものづくりに関心のある方を全国から集めたインターンシップ、博多織の次世代人材を育成する博多織デベロップメントカレッジへの支援などに取り組んでいます。
委員室屋美香委員
伝統技能の継承など魅力づくりに励んでおられますが、その魅力を知ってもらえなければ購入につなげるのは難しいと思います。県では、伝統工芸品を知ってもらう取り組みとしてどのようなことを実施しているでしょうか。
県の担当者柳原観光政策課長
アクロス福岡匠ギャラリーを魅力発信拠点と位置づけ、展示販売のほか製作体験や職人のトークイベントなど様々な企画を行っています。また、若い女性をターゲットに、インスタグラムのアカウント『福岡伝統工芸ファンクラブ』を昨年度開設し、産地の紹介やイベント情報、生産者が思いを伝える動画の配信などを行っています。さらに、多くの観光客が訪れる観光施設や商業施設などが本県の伝統工芸品を内装や装飾品として導入する際に経費を助成しており、高級ホテルの客室や福岡空港国際線のラウンジなどに導入され、多くの方にすばらしさを見ていただいています。
委員室屋美香委員
購買意欲につなげる工夫をしていることが分かりました。では、本県の伝統工芸品に関心を持った方は実際にどこで購入できるのでしょうか。また、多くの観光客がお土産を買う福岡空港や博多駅にも購入できる場所はあるのでしょうか。
県の担当者柳原観光政策課長
魅力発信拠点のアクロス福岡匠ギャラリーでは、国指定・県指定の伝統工芸品を数多くそろえて購入できます。また、福岡空港や博多駅をはじめとする主要な交通拠点内の店舗や百貨店などでも販売されており、産地まで行かなくても購入できます。そうした店舗情報は、県の観光情報サイト『クロスロードふくおか』や海外向けサイト『ビジット福岡』に掲載し発信しています。
委員室屋美香委員
県では今年度から新たに伝統工芸品産地のオープンファクトリーを支援されているようです。オープンファクトリーとは、ふだん見られない生産現場を一般に公開し、見学や体験を通じて職人の技術やものづくりの魅力を体験できる取り組みですが、この事業の狙いと現在の状況を伺います。
県の担当者柳原観光政策課長
オープンファクトリーの取り組みで観光客に産地を訪問してもらい、より深く知ってもらうことで関心を高めるとともに、地域の活性化にもつなげることを目的としています。今年度は久留米絣産地で実施し、各織元での安全に見学できるスペースの確保、製作工程を分かりやすく説明する資料作成、駐車場から工房までの通路整備などの受入環境整備に加え、産地一体で年間を通して観光客を受け入れる体制づくりを支援しました。年度内には県の観光情報サイトに特設ページを開設し、各工房の特徴や見学内容を紹介する予定です。来年度は小石原焼産地で実施する予定で、必要な予算を今議会でお願いしています。
委員室屋美香委員
近年、海外からの観光客が増える中、日本の伝統工芸品の人気が高まっています。本県が誇る伝統工芸品のすばらしさを海外に伝えることで、売上拡大と同時に本県の魅力発信にも貢献できると考えますが、いかがでしょうか。
県の担当者柳原観光政策課長
海外のニーズに合った魅力ある商品づくりのため、フランス・パリ市内の店舗で本県の伝統工芸品のテスト販売を行い、その反応を踏まえた商品づくりに取り組んでいます。昨年度テスト販売した商品のうち、フランスの方は料理の余白や食材を視覚的に楽しむ傾向があるため、お皿のサイズを大きくしたり色を濃くしたりする改良を加え、今年度のテスト販売で完売した商品もあります。また、久留米絣オープンファクトリー事業で来年度、久留米絣産地の情報を海外向けにも発信することとし、必要な予算を今議会でお願いしています。
委員室屋美香委員
最後に、伝統工芸品の販路拡大に向けた商工部長の決意を伺います。

見雪商工部長。

県の担当者見雪商工部長
福岡県には博多織や久留米絣、上野焼をはじめ地域の歴史と風土に根差した多彩な伝統工芸品があります。これを次世代につなぐため、県では後継者の育成支援や新商品開発支援、国内外での魅力発信など様々な取り組みを進めています。こうした取り組みで若い世代の関心が高まり、フレッシュな感性を取り入れた新製品が開発されるなど、伝統と革新が共存する動きが着実に広がっています。地域の誇りである伝統工芸品を未来へ継承するため、来年度は地域の大学生が主体となって斬新な発想で魅力を発信する取り組みや、久留米絣オープンファクトリーの魅力を国内外に発信する取り組みなどの予算を今議会でお願いしています。福岡県の伝統工芸品は地域の文化そのものであり、その明かりを絶やすことなく次の世代へ受け渡すため、今後も振興に全力で取り組んでまいります。
委員室屋美香委員
力強い答弁ありがとうございました。見雪部長はこれまでも真摯に県の商工業の発展に尽力してこられました。ありがとうございました。引き継がれる皆様もその思いを胸に伝統工芸品産業の振興に取り組んでいただきたいと思います。最後に一点要望です。伝統工芸品が購入できる店舗がクロスロードふくおかやビジット福岡に掲載されているとの答弁がありましたが、観光客がこのサイトの存在を知らなければ意味がありません。販路拡大の取り組みとともに、情報の周知にも併せて取り組んでいただきたいと要望して質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
委員長香原勝司委員長
ほかに質問はありませんか。壹岐和郎委員、どうぞ。(拍手)
委員壹岐和郎委員
公明党の壹岐和郎です。スタートアップや中小企業支援における知的財産の取り組みについて伺います。 企業の競争力は設備や資金力だけでなく、技術やアイデア、ブランドといった知的財産をいかに構築し守り活用するかに大きく左右される時代です。特に経営基盤が脆弱なスタートアップや中小企業にとって知的財産は重要な武器です。一方、創業期の企業は目の前の課題に追われ特許や商標への対応が後回しになりがちで、他社特許の侵害や商標トラブルが事業が軌道に乗った段階で顕在化し、製品名の変更や販売停止、存続の危機すら迫られることもあります。本県には、福岡県中小企業振興センターに設置する福岡県知的財産支援センターや、国が設置する福岡県知財総合支援窓口があります。まず、県の知的財産支援センターと国の知財総合支援窓口の支援業務の内容と実績を伺います。

御幡中小企業技術振興課長。

県の担当者御幡中小企業技術振興課長
福岡県知的財産支援センターでは、特許権者が自身の特許を他社も利用しやすいよう提供する『開放特許』の利活用促進、中小企業で知的財産を扱う担当者向けの人材育成、外国に特許などを出願する際の費用支援を実施しています。令和6年度の実績は、開放特許の利活用促進の相談件数197件、人材育成事業のセミナー受講者253名、外国出願支援12件です。一方、国の福岡県知財総合支援窓口では、特許などの出願に必要な要件や手続をはじめ知的財産全般の相談に対応しており、令和6年度の相談件数は3,735件です。
委員壹岐和郎委員
国と県が重層的に取り組んでいるようです。次に知的財産の活用について。県内には企業が保有しながら十分に活用されていない開放特許も多く、これを技術を求める企業やスタートアップと結びつければ、研究開発の時間・コストを抑えながら新製品開発が進み、地域産業の活性化にもつながります。知的財産支援センターは開放特許の利活用促進や企業間マッチングに取り組み、信用金庫など地域金融機関のネットワークも活用していると伺いますが、これまでの具体的な取り組みと成功事例があれば伺います。
県の担当者御幡中小企業技術振興課長
知的財産支援センターでは、特許流通コーディネーターが大学や県工業技術センターなどの研究機関や大企業を訪問し、開放特許の中で他者にとって利用価値が高いものを掘り起こしてホームページで公開しています。一方で、この開放特許を活用して新事業展開や収益向上が見込める中小企業をプッシュ型で訪問し利用を促しています。こうした取り組みで、花の茎を保水性材料でラッピングして花束の寿命を約3倍長もちさせる特許を活用して日もちするフラワーギフトの新商品開発に成功した例や、美肌効果があるエキスをハーブから抽出する特許を活用してドクダミなど4種類のハーブから抽出したエキスで美容ドリンクの新商品開発に成功した例など、事業化・製品化の事例が出てきています。
委員壹岐和郎委員
知財支援は専門性が高く、支援の中核であるコーディネーターの力量が大きなウエートを占めています。コーディネーターは現状1人と伺っていますが、その体制で本来支援が必要な層に十分行き届くのか心配です。地域の金融機関や商工団体、県工業技術センターなど企業との接点が多い機関が知財の重要性を理解し、それらの機関と密に連携して、新技術・新製品・新ブランドの相談があった段階で特許・商標の観点から早期に必要な支援窓口や専門家へ迅速につなぐ体制の構築が重要と考えますが、この取り組みを伺います。
県の担当者御幡中小企業技術振興課長
地域金融機関、商工団体、県工業技術センターなどの支援機関の職員は、日々の支援業務の中で新製品開発における知的財産の重要性を啓発するとともに、基本的な相談に対応しています。より専門的な内容は速やかに適切な支援窓口や専門家を紹介しています。こうした対応を適切に行うには職員自身が知的財産の基本知識を身につけることが重要であり、知的財産支援センターでは支援機関の職員を対象とした基本知識を習得できるセミナーを実施しています。
委員壹岐和郎委員
知的財産を企業活動に生かすには、企業自体が知的財産の基礎知識を身につけ、契約や権利管理、ライセンス、共同開発の際の留意点などの理解を深めることも重要です。県の支援センターではスタートアップや中小企業に対しどう取り組むか尋ねます。
県の担当者御幡中小企業技術振興課長
知的財産支援センターでは、スタートアップや中小企業を対象に、弁理士や弁護士を講師として、知的財産の基礎知識から、特許・商標・意匠の出願方法から登録までの手続、権利侵害を受けた際の対応方法などの実践的な知識を習得できるセミナーを開催しています。
委員壹岐和郎委員
次にスタートアップの支援について。県では昨年5月にグローバルコネクト福岡を開設しスタートアップ支援に取り組んでいます。創業初期から知的財産の重要性を認識してもらうことが持続的な成長につながりますが、起業直後は知財の重要性に気づかないまま事業を進める例も少なくなく、初期の伴走支援に知財の視点を組み込むことが重要です。グローバルコネクト福岡でも、必要に応じて弁理士などの専門家へ速やかに相談できる体制が構築できているか伺います。

帆足スタートアップ推進課長。

県の担当者帆足スタートアップ推進課長
グローバルコネクト福岡ではスタートアップの成長を総合的に支援し、常駐職員が資金調達、ビジネスマッチング、海外展開、人材マッチングなど様々な相談に対応しています。開設からこれまで1,200件を超える相談があり、海外展開を考える企業から特許など知的財産に係る相談も寄せられています。職員で対応が難しい専門的な案件は、弁理士の海外展開支援アドバイザーによる個別相談のほか、必要に応じて福岡県知財総合支援窓口などと連携して対応します。また、弁理士を講師に迎えたセミナーも開催し、知的財産権対策の重要性や海外での知的財産権獲得方法などを事例を交えて学んでいただいています。
委員壹岐和郎委員
今後もスタートアップの総合的な支援の中で知財にしっかり取り組んでください。同時に、スタートアップや中小企業にとって特許や商標の出願は事業継続や資金調達の前提となる一方、費用負担も大きく対応の遅れにつながる要因の一つです。県として特許・商標の出願費用にどのような支援を行っているか伺います。
県の担当者御幡中小企業技術振興課長
県では、ものづくり分野・水素分野・バイオ分野などの製品開発補助事業で、特許・商標などの知的財産の出願費用を補助対象としています。また知的財産支援センターでは、外国に特許・商標などを出願する際の費用を対象とした助成事業を実施しています。
委員壹岐和郎委員
最後に部長に伺います。重要な役割を担う知財センターのコーディネーターが1人で十分賄えるのか心配な点が一つです。知的財産は企業の競争力と持続的成長を支える基盤であり、本県経済が持続的に発展するには、経営資源が乏しい中小企業や先進的に取り組むスタートアップが、独自の技術やブランド・アイデアを磨いて権利化し活用することがこれまで以上に重要になります。県のスタートアップや中小企業への総合的な支援の中で、知的財産支援の意義をどう捉え、今後どう取り組むか、部長の見解と決意を伺います。

見雪商工部長。

県の担当者見雪商工部長
スタートアップや中小企業にとって知的財産の活用は、独自の技術やアイデアを保護して他社と差別化し企業価値を高める上で有用で、単なる権利保護にとどまらず事業戦略の一部として重要です。しかし大企業に比べ専門人材や資金など経営資源が限られ、独自技術の模倣や流出リスクにさらされているため、行政による支援は極めて重要です。このため県では、知的財産支援センターを中心に国の知財総合支援窓口と連携し、知識習得のためのセミナー開催、出願費用軽減のための助成事業、特許流通コーディネーターがプッシュ型で企業訪問を行う開放特許の利活用促進などに取り組んでいます。こうした取り組みを通じて、スタートアップや中小企業の知的財産支援に今後しっかり取り組んでまいります。
委員壹岐和郎委員
コーディネーター1人で大丈夫かという部長の思いも聞きたかったのですが、ぜひ強化も含めて、スタートアップや中小企業の潜在的なニーズを発掘する意味でも県のセンターの体制をもう少し強化していただくとともに、関連の支援機関が感度を高くして、企業からの困り事を聞いたときにすぐこの特許が役に立つのではないか、この特許を取るべきではないかと気づけるようにしていただきたい。それも県の仕事だと思いますので、中小企業自体と支援機関のレベルアップを図っていただくようお願いして質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
委員長香原勝司委員長
ほかに質問はありませんか。高橋義彦委員、どうぞ。(拍手)
委員高橋義彦委員
自民党県議団の高橋です。昨年9月1日、飯塚市長・嘉麻市長・桂川町長から知事に嘉飯圏域の振興に関する要望書が提出されました。その内容は嘉飯圏域の振興強化の必要性に言及し、具体的な項目も挙がっていました。中でも私が注目したのは地域産業の振興で、情報工学に強みを持つ九州工業大学や近畿大学、地域医療を担う多くの医療機関の存在などが挙げられていました。飯塚市には福岡県立飯塚研究開発センターという施設があり、当初予算にもこのセンターに関する新たな取り組みが提案されています。まず、この飯塚研究開発センターが設立された背景と目的を答えてください。

石橋先端技術産業振興課長。

県の担当者石橋先端技術産業振興課長
福岡県立飯塚研究開発センターは、九州工業大学や近畿大学のキャンパスが立地する強みを生かし、大学の学術資源を産業界に移転して地域産業の技術の高度化やリーディング産業の育成を図る研究開発基盤施設として平成5年に開設され、32年が経過しています。
委員高橋義彦委員
32年の歴史がありますが、先日視察したところ、施設の老朽化も要因かもしれませんが、閑散としてにぎわいが感じられず、やや暗い印象を受けました。なぜこのような状況になっているのか、考えられる要因を答えてください。
県の担当者石橋先端技術産業振興課長
センターには開設当初から安価に利用できるインキュベーションルームを整備していますが、入居していたITベンチャーが成功して新拠点をセンター外に設けたことや、複数の部屋を利用していた企業が事業終了で退去したことなどにより、現在の利用率は55%にとどまっています。また、宿泊型研修のニーズに応え宿泊施設やレストラン、研修会議室を整備していましたが、日帰り研修の主流化や近隣への商業施設の出店などで宿泊事業は平成23年に廃止し、レストランは現在休業中です。研修会議室もコロナ禍のリモート会議普及で利用率が低下しています。さらに、隣接する九州工業大学情報工学部の若者を取り込む施策に十分取り組めていなかったこともあります。このように時代のニーズが変化する中でセンターの実態との乖離が生じ、立地を十分に生かし切れていないことが、閑散としてにぎわいが感じられない印象の要因かと考えます。
委員高橋義彦委員
九工大に隣接というより、九工大の玄関の真正面に位置する施設で、まだ改善の余地があると思います。そもそも私の周りではセンターの存在自体を知らない人もたくさんいます。平成5年の開所から30年以上たってこの状況は残念です。まずはセンターを知ってもらうこと、広く開かれたセンターにしていくことが必要ではないかと考えますが、いかがですか。
県の担当者石橋先端技術産業振興課長
現在、センターの広報はチラシ配布やホームページ掲載が中心で改善の必要があると考えます。センターを幅広くPRするため、新規事業についてマスコミに取り上げてもらえるよう戦略的な広報を行います。また、ご指摘のとおりセンターは入居企業のみならず広く地域に開かれるべきで、特に隣接する九州工業大学情報工学部ではAIなどの先端技術で新たなイノベーションが生み出されていることから、まずはその学生・研究者に大いに利用していただくよう取り組みたいと考えます。
委員高橋義彦委員
九州工業大学から数多くのITエンジニアが輩出されています。飯塚の地からITスタートアップを生み出す取り組みにセンターをうまく活用すべきと考えますが、いかがですか。
県の担当者石橋先端技術産業振興課長
飯塚市やその周辺は、九州工業大学発の優れたITスタートアップやブロックチェーン技術を活用して事業展開するIT企業が集積するなど、ITに関するポテンシャルが非常に高い地域です。こうした強みを生かし、起業を目指す学生・研究者を支援するため、飯塚研究開発センターに『飯塚テックギルド』を設置し、九州工業大学と連携して革新的な技術や製品が生まれる場、起業を目指す学生や研究者に成長の機会を提供する場とすることで、ITスタートアップの創出に取り組みたいと考えています。
委員高橋義彦委員
飯塚テックギルドの『ギルド』とはあまり聞き慣れない言葉ですが、具体的にどんな取り組みを行うのか聞かせてください。
県の担当者石橋先端技術産業振興課長
『ギルド』とは、ロールプレイングゲームなどで、プレーヤーが冒険に出る際に依頼を受けたり情報交換したりして他のプレーヤーと協力しながら共通の目的に進むための場を指します。この事業では、トヨタ自動車九州や安川電機などの大企業が隣接する強みを生かし、これらの企業が生産現場の課題などを提示し、学生・研究者がゲームの冒険者のように専門家の伴走支援を受けながら解決を目指す共同プロジェクトを推進することで、ITスタートアップの創出につなげたいと考えています。
委員高橋義彦委員
福岡市内にCIC(起業支援拠点)が来て注目されていますが、この飯塚の地からもたくさんのITスタートアップを創出すべく、よろしくお願いします。次に、県では医療福祉機器産業についても飯塚を中心に取り組んでいますが、これまでの地元企業の成功事例を答えてください。
県の担当者石橋先端技術産業振興課長
成功事例として、半導体金型メーカーの藤井精工株式会社が飯塚研究開発センターの支援を受けて製品化に取り組み、県の支援による大型展示会への出展をきっかけに、世界的な眼科分野の医療機器メーカーとの取引に成功しています。誤差0.001ミリ以内という高度な微細加工技術が求められる緑内障手術用の器具でメインサプライヤーとなられています。
委員高橋義彦委員
経済産業省によると、国内の医療福祉機器産業は高い成長率を示す一方、国内製造額は大きく変わらず輸入増加に頼っています。国もこれを課題としており、飯塚病院をはじめとする医療機関や技術力のあるものづくり企業が多く立地する飯塚市は医療福祉機器産業の大きなポテンシャルがあります。今回、当初予算にあるメディカルクロス福岡プロジェクトではどのような取り組みを行うのか聞かせてください。
県の担当者石橋先端技術産業振興課長
メディカルクロス福岡プロジェクトでは、地域のものづくり企業や医療機関などがさらに連携を図り、企業の新製品開発や販路開拓を支援したいと考えています。具体的には、医療福祉機器の専門人材を配置し、企業訪問やヒアリングを通じてものづくり企業が持つ優れた技術やシーズを掘り起こし、毎年約10社の新規参入を促します。また、ものづくり企業の技術と医療現場のニーズを掛け合わせ、そこに販売業者も参画することで、市場性が見込める『売れる機器』の開発に取り組みたいと考えています。
委員高橋義彦委員
ぜひ目標を達成するようしっかり取り組んでください。最後に、飯塚研究開発センターの強化に向けた部長の決意を聞かせてください。

見雪商工部長。

県の担当者見雪商工部長
私は新産業振興課長のとき、飯塚研究開発センターの指定管理者である飯塚研究開発機構の副理事長も務めており、このセンターには強い思い入れがあります。当時の入居率は8割を超え非常に高い水準だっただけに、閑散としてにぎわいが感じられない、存在自体を知らない人も多いというご指摘は重く受け止めます。飯塚研究開発センターは、優れたITエンジニアを輩出する九州工業大学情報工学部に隣接し、理事長はトヨタ自動車九州からお迎えしているため地域を代表する大企業との強固なネットワークも有しています。また、ブロックチェーン企業や急成長した医療機器企業など優れた技術を持つ企業の集積もあります。こうした強みを生かしてセンターの活性化を図ります。特に来年度の新規事業でお願いしている飯塚テックギルドやメディカルクロス福岡プロジェクトは、いずれも飯塚だからこそ展開できる事業です。こうしたユニークな取り組みを展開し、パブリシティーにも力を入れることで、センターに若きエンジニア、学生ベンチャー、地域の中小企業が集い、次々と新たなプロジェクトが誕生する拠点へと変えてまいります。
委員高橋義彦委員
終わります。ありがとうございました。(拍手)
委員長香原勝司委員長
ほかに質問はありませんか。

―― 「なし」と呼ぶ者がある ――

委員長香原勝司委員長
ないようですので、7款商工費に関する質疑を終わります。

―― 正副委員長交代 ――

委員長山本耕一副委員長
次に、8款県土整備費について順次説明を求めます。馬渡県土整備部長、どうぞ。
県の担当者馬渡県土整備部長
8款県土整備費のうち県土整備部所管分について説明します。1項県土整備企画費は、官民のDX推進や建設産業の魅力発信などの土木工事検査費が主なもので、県土整備総務費と土木出張所費を合わせて31億7,600万円余、2項道路橋りょう費は道路改良費などが主で606億3,900万円余、3項河川海岸費は河川のしゅんせつや河道整備などの河川改修費が主で376億1,500万円余、4項港湾費は港湾の岸壁改良などが主で42億5,700万円余、7項県営埠頭施設整備運営事業費は特別会計への繰出しで28億500万円余、8項水資源対策費は2億2,600万円余をお願いしています。よろしくお願いします。

山本建築都市部長。

県の担当者山本建築都市部長
8款県土整備費のうち建築都市部所管分について説明します。1項県土整備企画費のうち建築都市部所管分は職員費などの管理費が主で18億2,400万円余、5項都市計画費は街路事業費などが主で172億5,500万円余、6項住宅費は公営住宅建設費などが主で65億7,500万円余をお願いしています。よろしくお願いします。
委員長山本耕一副委員長
説明は終わりました。質問はありませんか。永川俊彦委員、どうぞ。(拍手)
委員永川俊彦委員
自民党県議団の永川俊彦です。大牟田港緑地運動公園の機能強化について質問します。 令和6年6月議会の一般質問でこの公園の整備目的や利用状況、維持管理を質問し、服部知事から、管理委託している大牟田市の意見を聞きながら安全・快適に利用できるよう老朽化に適切に対応するという前向きな答弁をいただきました。自民党大牟田支部からも継続的に改修・維持管理を要望してきました。令和7年度は早急に着手できる箇所を整備しつつ中長期的な調査・設計に取り組んでいただき、いよいよ令和8年度の予算が提案されました。まず、令和6年6月議会後、大牟田市の関市長が南筑後県土整備事務所長に改修を要望されました。私も立ち合いましたが、その要望内容とその際の答弁を伺います。

雜賀港湾課長。

県の担当者雜賀港湾課長
令和6年7月10日に南筑後県土整備事務所で、大牟田港緑地運動公園の改修と維持管理について大牟田市長から要望を受けました。具体的には老朽化した園内施設の全面改修に関する要望で、県からは野球場やテニスコートなどについて計画的に改修を進めていくことを説明しています。
委員永川俊彦委員
計画的に改修を進めるため現状を把握しておられると思いますが、現状についての県の認識を答えてください。
県の担当者雜賀港湾課長
運動広場や野球場、ソフトボール場では排水不良、テニスコートでは人工芝の浮き上がり、野球場ではスコアボードの腐食といった機能低下が見られます。そのほか、トイレや園内照明、ベンチなどの附属施設も老朽化しており改修が必要です。このため、来年度以降の改修に向け、今年度は運動広場の排水機能向上やテニスコートの人工芝の張り替えなどの設計に取り組んでいます。
委員永川俊彦委員
老朽化の状況と改修に取り組んでいることが分かりました。一方、この公園は大牟田市地域防災計画で野球場などがヘリポートとして位置づけられ、さらに令和7年5月に指定避難地にも位置づけられました。令和7年10月に県が公表した防災アセスメント調査報告書では、大牟田市の最大震度が警固断層帯南東部や水縄断層帯で5強、日向峠─小笠木峠断層帯で6弱と予測されており、防災拠点としての重要性も高まっています。新たに位置づけられた指定避難地としての機能を発揮するため、どういった整備が必要になるか伺います。
県の担当者雜賀港湾課長
大牟田市は災害対応力を強化するため、地域防災計画でこの公園を指定避難地として位置づけました。指定避難地は災害時の一時的避難や応急対策の拠点となります。このため、避難してきた方々が集まる広場や、かまどとして利用できる防災ベンチ、停電時でも点灯可能な太陽光パネル付き照明、車による避難や救援物資の運搬に使う駐車場などが必要になると考えています。
委員永川俊彦委員
老朽化施設の改修に加え、指定避難地として必要な整備には多額の費用がかかると考えられます。利用者のためにも早期の整備が望まれますが、県として工夫している点はありますか。
県の担当者雜賀港湾課長
整備を進めるに当たり、国の交付金をはじめ様々な財源を活用して事業が進捗するよう取り組みます。具体的には、豊かなスポーツ環境の整備を目的としたスポーツ振興くじ助成金や、指定避難地の設備改修に活用できる防災・安全交付金を考えています。
委員永川俊彦委員
国の交付金やスポーツ振興くじ助成金、防災・安全交付金などあらゆる財源を確保いただいていることが分かり、感謝します。これだけ多くの施設があると改修や整備に時間を要すると思いますが、どのように進めていくか伺います。
県の担当者雜賀港湾課長
スポーツ振興くじ助成金と防災・安全交付金事業で実施可能な施設の仕分けを行い、老朽化の状況を踏まえ、管理を委託している大牟田市の意見も聞きながら、優先順位をつけて順次改修を進める予定です。
委員永川俊彦委員
できるだけ早期に事業が進むよう改めてお願いします。では、令和8年度の事業内容を示してください。
県の担当者雜賀港湾課長
令和8年度は、安全にスポーツを楽しめるよう、スポーツ振興くじ助成金を活用したテニスコートの人工芝の張り替えや、避難してきた方々が集まる運動広場の排水不良を解消するため防災・安全交付金を活用した暗渠排水や砂の入替え、快適に過ごせるようトイレの洋式化を行う予定です。これらの助成金・交付金の活用により、令和7年度に比べ増額した予算を今議会でお願いしています。
委員永川俊彦委員
テニスコート、運動広場、トイレの洋式化は以前から要望してきたところですので、しっかり進めてください。最後に、この公園が利用者にとって安全かつ快適であり続けるための馬渡部長の決意をお聞かせください。

馬渡県土整備部長。

県の担当者馬渡県土整備部長
大牟田港緑地運動公園は、地域の方々に親しまれるとともに、全九州学生テニス大会をはじめ各種スポーツ大会が開催されるなど南筑後地域のスポーツ振興に大きく寄与しています。また、災害時には地域の防災拠点となり、一時的避難や救援物資の集積場としての役割も期待される重要な施設です。県としては、大牟田市や利用者の皆様の意見も伺いながら、この公園が安全で快適に利用され、災害時に防災拠点として適切に機能するよう、施設の改修や整備を計画的に行ってまいります。
委員永川俊彦委員
終わります。(拍手)
委員長山本耕一副委員長
ほかに質問はありませんか。大橋克己委員、どうぞ。(拍手)
委員大橋克己委員
民主県政クラブ県議団の大橋克己です。空き家対策と、先ほど永川委員も質問された大牟田港緑地運動公園の整備について質問します。まず空き家対策から。 昨年12月4日、大牟田市の中心市街地で住宅5棟を焼く火災が発生しました。全焼した空き家4棟は倒壊の危険があり12月5日に解体予定で、うち1棟は相続権者が相続を放棄したため、大牟田市初となる空家等対策特別措置法に基づく略式代執行が予定されていました。代執行前日の火災ということもあり、大牟田市に大きな衝撃が走りました。私は令和5年度の予算特別委員会でも空き家問題を県政の喫緊の課題として質問しました。今回は対策の進捗をお聞きし、さらなる推進のため改めて質問します。まず、県内の空き家の状況を尋ねます。

江頭建築指導課長。

県の担当者江頭建築指導課長
総務省が5年ごとに実施する住宅・土地統計調査によると、令和5年調査では県内の空き家の総数は5年前から約7,000戸増え約34万戸で、住宅総数約270万戸に占める空き家率は12.4%です。また、空き家のうち賃貸用や売却用、別荘などを除いた利活用されていない『その他の住宅』は5年前からほぼ横ばいの約13万戸、住宅総数に占める割合は4.6%です。
委員大橋克己委員
空き家対策には実態調査が不可欠です。令和5年度の予算特別委員会では、県・市町村・関係団体から成る福岡県空家対策連絡協議会で実態調査の手引を作成し市町村が調査に取り組んでいるとの答弁でした。その際に要望した空き家情報のデータ化の進捗を伺います。
県の担当者江頭建築指導課長
空き家の実態調査は、県内全ての市町村で実態調査の手引をもとに実施しています。調査で把握した空き家の所有者や位置などの情報は、全市町村が電子や紙による台帳を整備し管理しています。紙で台帳を整備している市町村でも、情報の更新や庁内関係部署への情報提供を容易にするため、来年度までに電子データ化を行う予定です。
委員大橋克己委員
来年度までにデータ化する予定とのことで、市町村管内の関連部署での共有化が図られ空き家対策が推進されると期待します。次に、2023年施行の改正空家等対策特別措置法では、管理の確保、特定空家の除却など、活用拡大の3本柱で対策が強化されました。まず管理の確保について。倒壊の危険がある特定空家に加え、管理不全空家も市町村から適正管理を勧告されると固定資産税の減税対象から除外されます。県内市町村の特定空家、管理不全空家、さらに近年課題の相続放棄などによる所有者不明空き家それぞれの把握状況を聞かせてください。また、所有者不明空き家に対する県の取り組みも伺います。
県の担当者江頭建築指導課長
県内市町村が把握している状況は、令和6年度末現在で、特定空家が204戸、放置すれば特定空家になるおそれのある管理不全空家が189戸、これらのうち所有者が特定できない、あるいは相続放棄などで相続人がいない所有者不明空き家が75戸です。所有者不明空き家は市町村が対策を進める上で課題となっています。そのため県では、空家対策連絡協議会で、所有者や相続人の調査・特定を円滑に行う手順を記したマニュアルを作成しています。また、所有者不明の特定空家について市町村が略式代執行を行う際の手続の流れと留意点を示した手引や、代執行を行った事例集、財産管理制度を活用して財産管理人が空き家を管理・処分した事例集も作成しています。さらに、所有者不明空き家の発生を抑制するため、令和6年度から施行された相続登記の義務化制度について法務局や司法書士会と連携して周知に努めています。こうした協議会の取り組みで市町村と情報を共有し、所有者不明空き家対策を支援しています。
委員大橋克己委員
今月9日、消防庁が昨年11月に大分市佐賀関で発生した大規模火災の報告書を公表し、管理不全空家が延焼拡大につながった可能性を指摘しました。地域の安全・安心の確保に空き家対策が重要であることが改めて認識されました。次に、空き家の活用拡大に向けた本県独自の取り組みである福岡県空き家活用サポートセンター(愛称イエカツ)の活動状況を伺います。

小河住宅計画課長。

県の担当者小河住宅計画課長
イエカツでは、専門知識を持つ相談員が、空き家の所有者などへの相談対応から、売却価格などの簡易なシミュレーション、活用・処分の具体的な提案、宅建事業者など専門事業者とのマッチングまでをワンストップで行っています。令和2年10月の開設からこれまでに約2,600件の相談が寄せられ、専門事業者とのマッチングは244件成立し、その多くが売却などの利活用につながっています。マッチング件数をさらに増やすため、今年度から現地写真の撮影や権利関係の情報収集を市町村に協力いただき、より短時間で多くの物件を専門事業者に紹介できる体制づくりを進めています。
委員大橋克己委員
今回空き家対策を再度質問したのは、令和6年3月に私の自宅裏の空き家で不審火によるぼやが起きたのがきっかけです。私の自宅は西鉄大牟田駅から徒歩5分の好立地でありながら、隣も裏も全て空き家です。今回は近隣事業者の初期消火と消防関係者のおかげで大事に至りませんでしたが、県内各地でも同様の事案の増加が懸念されます。最後に要望です。特定空家の除却について独自で解体補助を行う市町村や、空き家の再生・活用でリフォームや家財道具整理への補助制度を持つ市町村もあります。それら市町村の独自の取り組みを県が把握した上で、空家対策連絡協議会などで情報共有し、空き家対策がさらに推進されることを要望して空き家対策の質問を終わります。続いて、大牟田港緑地運動公園の整備について質問します。この公園には野球場、ソフトボール場、テニスコート、運動公園などがあり、市内外の皆さんに広く親しまれ、平成2年にはとびうめ国体のソフトボール競技が開催されました。しかし昭和63年整備の公園は老朽化が進み、選手が最高のパフォーマンスを発揮できずけがを誘発しかねないとして、競技団体から計画的な補修・改修の要望が届いています。特に女性トイレの劣化が著しく、洋式トイレのある管理棟に長蛇の列ができる事態です。まず、この公園の整備目的と利用状況を答えてください。

雜賀港湾課長。

県の担当者雜賀港湾課長
大牟田港緑地公園は、港湾で働く方や地域の皆様が利用する憩いの場、スポーツを楽しむ場として昭和63年に県が整備しました。野球場やソフトボール場、テニスコートなどの運動施設、運動広場があり、近年は全九州学生テニス大会をはじめ各種スポーツ大会や部活動の練習にも使用され、年間約4万人に利用されています。
委員大橋克己委員
福岡県営の都市公園の多くは建築都市部の公園街路課が所管していますが、大牟田港の緑地公園はその整備の経過もあり港湾課が所管です。県内で港湾課が管理している運動公園はほかにありますか。
県の担当者雜賀港湾課長
港湾課が管理する運動公園は、大牟田港緑地運動公園のほかにはありません。
委員大橋克己委員
公園内の看板には、この公園は運輸省国庫補助工事の港湾環境整備事業で造られたと記されています。小規模な日常的維持管理は大牟田市に委託し、運動施設の大規模改修は県が実施すると聞きますが、この港湾環境整備事業は継続活用できているか伺います。
県の担当者雜賀港湾課長
港湾環境整備事業は、港湾を利用する方々の憩いの場として芝生や植栽、広場といった緑地を整備する事業で、建設当時は野球場などの運動施設の整備も補助対象でした。現在はおおむね社会資本整備総合交付金事業に移行しており、災害時の避難地としての広場やトイレの整備には活用していますが、運動施設の改修は補助対象外となっています。
委員大橋克己委員
冒頭述べたようにトイレの劣化が本当に激しいので、トイレや広場の計画的な整備をしていただきたいと要望します。では、補助対象外となっている運動施設の大規模改修はどのような財源を活用しているか尋ねます。
県の担当者雜賀港湾課長
この公園の運動施設の大規模改修に当たっては、豊かなスポーツ環境の整備を目的としたスポーツ振興くじ助成金を財源として、テニスコートの人工芝の張り替えを令和8年度予算案に計上しています。
委員大橋克己委員
活用できる財源を確保して公園整備を推進すべきです。また、委託先の大牟田市の窓口であるスポーツ推進室との連携を密にし、各施設の補修・修繕では競技団体との事前の意見交換をすべきと考えますが、県土整備部長の見解を聞かせてください。

馬渡県土整備部長。

県の担当者馬渡県土整備部長
大牟田港緑地運動公園は地域の方々に親しまれ南筑後地域のスポーツ振興に大きく寄与していると認識しており、安全で快適に利用されるよう老朽化した施設の改修を計画的に行います。改修に当たってはこれまでも利用者や競技団体の意見を聞いており、令和5年度に野球場の大会役員室や審判員室を建て替える際、全日本軟式野球福岡県連盟の意見を伺い放送設備やスコアボード操作盤の配置位置を変更するなど工夫しています。今後も大牟田市の窓口であるスポーツ推進室や競技団体の意見を伺い、利用者が使いやすい施設となるよう努めてまいります。
委員大橋克己委員
ありがとうございました。本県は『スポーツの力で福岡県をより元気に』というスポーツ立県福岡を基本理念とした福岡県スポーツ推進計画を策定し、その中でスポーツ施設の整備と有効活用の促進を明記しています。本年1月20日、スポーツ立県調査特別委員会の視察で北九州市の延命寺臨海公園のスケートボードパークを訪問しましたが、この公園は北九州市の港湾部局の土地を公園部局に所管替えして整備されたものと聞きました。港湾課にとって重要港湾の三池港をはじめとする港湾の整備・利用促進が柱であることは言うまでもなく、その中で運動公園の整備の優先順位が低くならざるを得ません。今後、所管替えを含め、大牟田港緑地運動公園のあり方を抜本的に検討すべき時期に来ていることを指摘して質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
委員長山本耕一副委員長
この際しばらく休憩します。再開は午後2時45分とします。

―― 休憩 ――

委員長山本耕一副委員長
委員会を再開します。休憩前に続いて議事を進めます。8款県土整備費について、ほかに質問はありませんか。永島弘通委員、どうぞ。(拍手)
委員永島弘通委員
公明党の永島弘通です。人工衛星を活用した水道管の漏水調査について質問します。 高度成長期に整備された社会インフラの老朽化が問題となる中、水道管の漏水調査は昔ながらの人力に頼る手法が定着しています。私は令和6年2月の代表質問で、最新のDX技術を活用した時間も費用も大幅に抑えられる漏水調査を導入してはどうかと質問しました。先進地の宮城県では、宮城県内6市5町と福島県相馬地方広域水道企業団の合同で漏水調査を行い、従来の調査時間が約10分の1、コストが約4分の1削減できたと伺いました。当時の知事の答弁は、4圏域別の水道広域化の勉強会でこの手法を取り上げ事業者の意向を確認するというものでした。まず、人工衛星を活用した漏水調査の手法とメリットを伺います。

中島水道整備室長。

県の担当者中島水道整備室長
市町村などの水道事業者は、従来から漏水時の特有の音を人が聞き分ける『音聴調査』により漏水調査を実施しています。それに対し、人工衛星やAIを活用した漏水調査は、人工衛星から照射されたマイクロ波により漏水発生が疑われる箇所を予測する手法と、人工衛星から得られる地表面温度や地盤変動などのデータを事業者の漏水・修繕履歴と組み合わせAIで将来の漏水リスクを診断する手法があります。これらで漏水の可能性が高い範囲を絞り込んだ後、音聴調査で漏水箇所を特定します。範囲の絞り込みにより音聴調査の範囲が狭くなり、調査期間の短縮とコスト削減につながることがメリットです。
委員永島弘通委員
知事が答弁された、水道事業者への人工衛星を活用した漏水調査の導入について、意向確認の結果を伺います。
県の担当者中島水道整備室長
昨年5月に事業者を対象とした研修会を開催し、人工衛星を活用した市町村などによる漏水調査の共同発注に取り組む大分県の事例を紹介しました。その後、県内全55事業者にアンケート調査を実施した結果、約4分の3の事業者が人工衛星を活用した漏水調査の導入に興味があると回答しています。
委員永島弘通委員
導入に興味がある事業者が多いため、県が導入に向け支援する必要があると考えます。事業者が導入するに当たっての課題を伺います。
県の担当者中島水道整備室長
人工衛星を活用した漏水調査は、例えば給水人口4万人規模で管路総延長が約250キロメートルと想定するとおおむね700万円と多額の費用がかかります。このため事業者からは、従来の手法で実施している漏水調査の予算の範囲内で実施可能かとの意見があり、費用面の課題があります。また、調査を受託する業者との契約事務や漏水・修繕履歴などのデータの集約など多岐にわたる新たな業務が発生し、特に事業規模が小さい事業者では人的資源の不足や技術職員の確保難などが課題と考えられます。
委員永島弘通委員
費用面や人的資源の不足が課題であることは理解しました。県は広域自治体としてそれらの課題を解決し、事業者をサポートして導入を促進する必要があると考えます。県としてどう事業者を支援していくのでしょうか。
県の担当者中島水道整備室長
費用面の課題については、研修や個別相談などで先進事例の紹介や技術的助言を行い、スケールメリットでコスト削減を図るための共同発注への参加を促します。あわせて国の補助金の活用を働きかけます。人的資源の不足の課題については、県が中心となって、業務効率化などを目的に共同発注を希望する事業者とともに、委託業者の選定や共通の仕様書・契約書などの検討を進めます。これらの取り組みで、県としてしっかり事業者を支援してまいります。
委員永島弘通委員
能登半島地震による施設の甚大な被災や埼玉県八潮市での大規模な道路陥没事故、全国各地で頻発する水道管の漏水事故などをきっかけに、上下水道一体でインフラの強靱化を推進する必要性が再確認されました。老朽化対策をはじめ上下水道インフラの強靱化を進めるには、水道事業を行う市町村などや下水道事業を行う県・市町といった全ての関係者が連携し一体となって課題解決に取り組むことが重要です。本年4月に組織再編で上下水道の課題に一元的に対応するため建築都市部に上下水道課が設置されます。最後に、強靱で持続可能な上下水道インフラの実現に向けた建築都市部長の決意を伺います。

山本建築都市部長。

県の担当者山本建築都市部長
上下水道は、災害時・平時にかかわらず、水源から蛇口へ、下水道管から放流先まで一気通貫で機能を維持すべき県民生活の根幹を支える極めて重要なライフラインで、しっかり守り継いでいく必要があります。しかし、上下水道施設は高度経済成長期に集中して整備されたものが多く老朽化が急速に進んでいます。将来にわたり機能を確保するには、広域化・共同化による経営基盤の強化や、施設の耐震化・老朽化対策による強靱化を進めることが重要です。そこで県では、人工衛星やAIを活用した漏水調査などの共同発注を支援するとともに、自律自走型ドローンによる下水道管路の点検・調査やAIによる管路の異常判定など新たな技術の活用に県が率先して取り組み、その活用を事業者に促すことで効率的な老朽化対策に取り組みます。上下水道課の設置を契機に、より一層強靱で持続可能な上下水道インフラの実現を進め、県民の皆様が安心して水を使い衛生的で快適な生活を送れるようしっかり取り組んでまいります。
委員永島弘通委員
終わります。(拍手)
委員長山本耕一副委員長
ほかに質問はありませんか。堀大助委員、どうぞ。(拍手)
委員堀大助委員
新政会の堀大助です。国道201号の渋滞対策について伺います。 国道201号は私の地元・行橋市と福岡都市圏を東西に結ぶ道路で、行橋をはじめ京築地域の発展に欠かせない道路です。現在鋭意整備を進めているところですので、整備状況や渋滞対策について伺います。まず、国道201号の役割について基本認識を伺います。

平井道路建設課長。

県の担当者平井道路建設課長
道路は人の移動や物資の輸送に不可欠な基本的な社会資本で、社会経済の発展や県民生活の向上に大きな役割を果たします。国道201号は福岡市を起点とし飯塚市・田川市を経て京都郡苅田町に至る福岡県北部を横断する大動脈で、地域の発展の一翼を担う重要な幹線道路です。特に筑豊地域や京築地域の生活や経済を支え、産業における強靱なサプライチェーンの構築、観光振興、地域間連携といった役割を果たしていると認識しています。
委員堀大助委員
本県にとって重要な道路という認識でした。次に、現在の整備状況について、要求資料『国道201号整備状況図』に基づき説明をお願いします。
県の担当者平井道路建設課長
お手元の資料をご覧ください。国やNEXCO西日本が管理する国道201号については、これまでに福岡市側の福岡東バイパスから田川バイパスまでの間で、八木山バイパスの一部を除いた区間が4車線または6車線で完成しています。八木山バイパスの残りの区間は、国とNEXCO西日本が令和11年度の完成に向けて4車線化の整備を進めています。また、香春拡幅からみやこ行橋バイパスまでの間では国が4車線化の整備を進めています。
委員堀大助委員
一日も早い完成を望んでいます。次に、現在の渋滞状況について伺います。特に地元行橋市の南部から福岡市方面に向かう際に通過する、県道椎田勝山線との交差箇所であるみやこ町の勝山新町交差点と、国道322号バイパスとの交差箇所である鏡山東交差点(道の駅香春のそば)の2点の渋滞がひどいと感じています。要求資料『鏡山東交差点・勝山新町交差点位置図』に基づき、2つの交差点の渋滞状況を答えてください。
県の担当者平井道路建設課長
お手元の資料をご覧ください。国の調査では、鏡山東交差点は朝夕のピーク時を中心に通行車両の速度低下が生じ、特に朝のピーク時には福岡方面へ向かう渋滞の長さが最大760メートルとなっています。勝山新町交差点は、朝のピーク時を中心に通行車両の速度低下が生じています。
委員堀大助委員
かなりの渋滞が確認されているとのことです。特に道の駅香春の鏡山東交差点の渋滞は国道322号バイパスの開通後からひどくなり、先日私が通った際には新町交差点を過ぎた辺りから鏡山東交差点までの約5キロを通過するのに40分近くかかりました。事故ではなく渋滞でです。ナビでは通常7〜8分程度と出る範囲ですのでかなりひどかった。これが今回の質問のきっかけの一つです。次の質問に進みます。この2つの交差点の渋滞は、国が実施している事業が完成すれば将来的には緩和されると思いますが、問題はその時期です。現在の香春拡幅、仲哀拡幅、みやこ行橋バイパスの進捗状況を答えてください。
県の担当者平井道路建設課長
香春拡幅は平成20年に事業化され、昨年度末時点で用地取得は完了し、全体の事業進捗率は約9割です。仲哀拡幅は令和4年に事業化され、これから用地取得となりますが、工事着手に向け準備中と国から聞いています。今年度から事業化されたみやこ行橋バイパスは、設計に向けた測量を実施していると聞いています。
委員堀大助委員
今の答弁からすると、まだ完成までには時間がかかるということだと思います。しかし現在の渋滞を放置することはこの道路の重要性から看過できず、暫定的にでも対策を実施してほしいと思います。鏡山東交差点、勝山新町交差点はいずれも国道201号に交差する道路が県管理の道路です。県としても暫定的にでも交通を円滑にする渋滞対策を行うべきと考えますが、いかがですか。
県の担当者平井道路建設課長
鏡山東交差点については、交差点内で処理できる能力を増加させるため、昨年5月に国道322号の南側から行橋市方面へ向かう右折レーンを延伸しました。引き続き交差点周辺の4車線化を実施する予定です。勝山新町交差点については、国が今年度から事業化したみやこ行橋バイパスの計画位置とこの交差点が近接しているため、県道椎田勝山線でどういった対策が可能か、まずは国が実施する調査設計の内容を確認してまいります。
委員堀大助委員
県でできる範囲の取り組みがなされていることは分かりました。ただ鏡山東交差点は201号側の対策が取られていません。要望ですが、201号は将来4車線化した場合の行橋方面行きの2車線を暫定2車線として利用し、福岡方面行きの2車線は今使っていない状況です。この使っていない2車線の一つを322号に左折するための左折レーンに活用すれば左折による渋滞を緩和できるのではないかと考えます。ぜひ働きかけをお願いします。また、勝山新町交差点では県道椎田勝山線から201号に左折する車が非常に多く、これが渋滞の一因です。要望ですが、常時左折可能なレーンを設ければ椎田勝山線からの車をさばけるのではないか。ここは川に橋梁をかける形なので、今の橋梁の横に橋梁を設置すればそれも可能で、川なので用地買収の難しさも比較的ないと考えます。ぜひ働きかけをお願いします。渋滞については平成30年12月議会でも取り上げましたが、国交省のデータでは渋滞による経済損失が年間約12兆円、一人年間30時間を渋滞で失っているとのことです。渋滞でうれしい人は誰もいませんので、いろいろなアイデアで対策につなげていただきたい。最後に、改めて国道201号の重要性を踏まえ、香春拡幅からみやこ行橋バイパスの区間の事業進捗に向けた県の取り組みを伺います。
県の担当者平井道路建設課長
国道201号は、沿線に日産自動車をはじめ自動車部品メーカーが集積し、北部九州の自動車産業で強靱なサプライチェーンを構築する物流の大動脈です。一方、地域住民の通勤・通学、日々の買物といった生活に密着した移動を支える役割も果たす重要な幹線道路です。このため国道201号の整備は、地域経済のさらなる発展に寄与するだけでなく、地域の皆様の安全で快適な生活の確保にも不可欠です。県としても引き続き、事業主体である国に対し、国道201号の全線にわたる複線化に向け早期に整備が図られるよう強く働きかけてまいります。
委員堀大助委員
終わります。(拍手)
委員長山本耕一副委員長
ほかに質問はありませんか。井上順吾委員、どうぞ。(拍手)

―― 正副委員長交代 ――

委員井上順吾委員
自民党県議団の井上順吾です。鉄道沿線のまちづくりについて質問します。 人口減少と少子高齢化の進行は地域社会の活力を奪い都市機能の低下を招く深刻な問題で、特に規模の小さい市町村では、財源や人材不足による医療福祉サービスの低下や公共インフラの維持困難など単一の市町村だけでは解決が難しい課題が顕在化しています。住民が快適で豊かな生活を送るには、市町村の枠を超えた広域的な圏域で医療福祉施設などを集約するなど効率的なまちづくりが求められます。そのためには鉄道やバスなどの公共交通で結ばれた広域的な圏域で取り組むことが効果的で、県・関係市町村・鉄道事業者などが連携して効率的で持続可能なまちづくりを進める事業として、来年度『住みたい!鉄道沿線まちづくり推進費』が提案されています。事前に資料を要求していますので、事業の内容を説明してください。

西都市計画課長。

県の担当者西都市計画課長
お手元の資料をご覧ください。事業目的は、人口減少と少子高齢化が進む中、鉄道やバスなどを介する広域的な圏域で地域の特色を生かしながら都市機能を再生し、地域活性化と定住促進を図るものです。事業概要は、県内の3圏域で県が主導し、市町村・鉄道事業者・商工団体などと連携して検討会を開催し、圏域が目指すまちづくりビジョンを明確にして中長期的な計画を策定します。さらに、この計画を実行する協議会として鉄道沿線まちづくり協議会を設置し、複数の市町村が都市機能の分担・連携を図る広域的なまちづくりを進めます。これにより持続可能なまちのモデルを構築し、先行事例として県内の市町村へ展開します。右のイラストは、医療福祉施設や商業施設などを交通結節点である駅周辺に誘導するとともに、鉄道沿線の市町村間で分担・連携して相互に利用し、駅と周辺住宅地をバスなどの公共交通で結び、圏域全体の活性化と定住促進を図るイメージです。単独の市町村では維持が困難になりつつある医療福祉施設などを圏域内に確保し、誰もが便利で快適に暮らせる持続可能なまちづくりを目指します。
委員井上順吾委員
事業の内容は理解しました。駅を中心としたまちづくりを進める上で、線路を挟んだ沿線住民の往来を活発にし駅周辺の回遊性を高めることも重要です。ここで、文化遺産の体感のために回遊性を高める必要があると思われる事例を紹介します。松本清張は生誕120年になろうとしています。彼の『時間の習俗』に、水城についてのくだりがあります。水城は7世紀に大陸からの侵攻を防ぐため大宰府の北2キロに造られた土塁で、延長約1キロ、基底幅約37メートル、高さ約14メートルの防衛線です。松本清張は小説を書く際に必ず自分でその場に行き情景を描写しており、福岡が生んだこの作家がいかに水城に注目していたかが分かります。お配りした資料『水城跡及びJR水城駅周辺の状況について』に基づいて説明します。中央部を斜めに通る緑色の破線が水城跡の土塁で、約1,360年前のものです。御笠川付近では土塁が欠堤しており、昨年大野城市がオープンした水城外濠広場のある欠堤部には西鉄天神大牟田線、御笠川、国道3号や九州自動車道が通っています。もし御笠川を渡る飛び石などの遊歩道や西鉄線の下を通過できる河川敷の遊歩道が整備されれば、外濠広場と御笠川東側の水城跡の往来が可能になります。またJR水城駅付近では、約110年前の大正時代初めにJR鹿児島本線の複線化のために土塁が大きく切り開かれ、現在、線路を横断するには踏切のある道路まで大きく迂回しなければならず利便性が悪いです。もしスムーズに横断できれば、分断された水城跡の長大なスケールが実感できるようになります。線路を挟んで円滑な横断が可能となることが文化継承や観光活用の面で非常に有効であるという事例です。地域の活性化や持続可能なまちづくりを推進する上でも、線路を挟んだ円滑な往来の実現は地域コミュニティの形成を促進し地域経済の発展に寄与する重要な要素となり得ます。ここで質問します。駅周辺で線路を挟んで円滑な往来を行う手段としてはどのようなものがあるか答えてください。

火山公園街路課長。

県の担当者火山公園街路課長
地域の住民が円滑に往来できる手段としては、鉄道の連続立体交差化や、道路と鉄道を立体的に交差させるオーバーパス、アンダーパスの整備などが考えられます。
委員井上順吾委員
その手段の中で、西鉄天神大牟田線の鉄道連続立体交差事業を例に挙げると、令和4年に高架化が実現し、開かずの踏切など12か所の踏切が一気に解消されました。これにより踏切による渋滞や踏切事故がなくなり、高齢者や子どもが安全に横断できるようになり、沿線の往来が活発になって、住民からは移動がスムーズになった、電車に乗る時間にゆとりができた、商店街に活気が出てきたといった声が寄せられています。地元の大野城市も駅前広場の整備や高架下空間の活用で魅力的なまちづくりを進めています。連続立体交差事業の効果は非常に大きいですが、完成までに多額の費用と長い期間を要しました。そこでまず、線路で隔てられた両地域の往来を確保し住民に一体感を感じてもらうことが大切で、駅の自由通路は比較的少ない費用で短期間に整備が可能で有効です。県内の整備状況を調べると、JR篠栗駅やJR糸島高校前駅など市町村が実施し、駅周辺の利便性がよくなったと聞きます。市町村が自由通路を整備するに当たり、どのような支援制度があるか答えてください。
県の担当者火山公園街路課長
その実施に当たっては、市町村の財政負担の軽減のため国の補助金制度が活用できます。市町村が国の補助金制度を効果的に活用するには、事業が採択要件を満たすか、また事業計画の策定といった検討が必要になります。市町村はこういった事業の経験が少ないことから、県は活用に関する実務的なアドバイスや計画策定について技術的な助言を行い、市町村に寄り添いながら支援してまいります。
委員井上順吾委員
今回提案されている鉄道沿線まちづくり推進費は、広域的な視点から県が主導し、市町村・鉄道事業者・地元関係者などと連携してまちづくりに取り組む意義のある制度と評価します。市町村がまちづくりを進める上で単独では解決できない課題は多く、これを県が吸い上げてノウハウを生かし、関係者がチーム一丸となって課題解決に努め、魅力的で持続可能なまちづくりが進むことを期待します。大野城市のJR水城駅周辺では線路のため遠回りしなければならず、住民は駅の反対側に行くのに不便を感じています。駅は大野城市ですが横は太宰府市で、地域間を越えて互いに努力し、その難しい課題に県が知恵を出して手を組めば必ず実現します。この推進費を有効に使い、市町村がみんなで手を取り合って自分たちの地域課題に関わることで、県として非常にすばらしい広域的なまちが出来上がると思いますので、ぜひ取り組んでいただくようお願いして終わります。(拍手)
委員長香原勝司委員長
ほかに質問はありませんか。中牟田伸二委員、どうぞ。(拍手)
委員中牟田伸二委員
自民党県議団の中牟田伸二です。県営都市公園の今後の利用促進について伺います。 福岡県には9か所の県営都市公園があります。県営都市公園は、スポーツで健康増進を図り、広々とした空間で憩い、地域の文化イベントの開催地にもなるなど、誰もが気軽に訪れ自然の中で充実した時間を過ごせる場所です。まず、県営都市公園をより多くの人に使ってもらうために近年どのような整備を行っているか伺います。

火山公園街路課長。

県の担当者火山公園街路課長
県では、全ての人が安全・安心に暮らせるまちづくりを推進しており、その一環として県営6公園で、障がいの有無にかかわらず全ての子どもたちが共に遊べるインクルーシブな遊具広場の整備を進めています。さらに、オリンピック公式種目のBMXやスケートボードを楽しめるBMXパークとスケートボード場を整備しました。また、高まるアウトドア需要に対応するため、愛犬と宿泊可能なオートキャンプ場も整備しています。
委員中牟田伸二委員
より多くの人に使ってもらうため様々な取り組みをされていることが分かりました。県営都市公園は明治から平成にかけて各時代のニーズに合わせて整備されてきましたが、時間の経過とともに施設が老朽化したり新たな課題が出てきたりします。県営都市公園における再整備の取り組みがあれば答えてください。
県の担当者火山公園街路課長
近年の取り組みとして、県営天神中央公園で利用促進を図るため再整備に取り組みました。かつては木々が鬱蒼と茂り見通しが悪く薄暗い公園で、都市の中心にありながら滞在者は少ない状況でした。しかし平成28年から令和元年に実施した再整備で樹木を整理し、パークPFI事業で飲食店を誘致し、貴賓館や福岡モニュメントをライトアップしたことで、観光客や地元住民でにぎわう活気ある公園に生まれ変わりました。県営西公園でも、令和3年9月策定の再整備基本計画に基づき、西公園の魅力を最大限引き出すことを目指して現在再整備を進めています。
委員中牟田伸二委員
再整備を含め様々な施設整備でにぎわいづくりを行ってきたことが分かりました。次に、私の地元の県営春日公園について尋ねます。県営春日公園は、JR鹿児島本線や主要幹線道路に囲まれた交通利便性の極めて高い都市型の県営公園で、市民の憩いの場として多くの方に利用されています。最近はドッグランやスケートボード場が整備され、昨年12月にはインクルーシブな遊具広場もオープンし、幅広い世代がにぎわっています。県営春日公園の周辺状況と施設状況について事前に資料要求していますので、説明をお願いします。
県の担当者火山公園街路課長
資料1ページ目は県営春日公園の周辺状況です。春日市の東部に位置し、北側にJR鹿児島本線春日駅と西鉄天神大牟田線春日原駅、西側に都市計画道路の福岡筑紫野線と長浜太宰府線があり、鉄道や車で来園しやすいアクセス性の高い公園です。2ページ目は施設の状況です。春日公園は昭和56年に供用を開始し面積は30ヘクタールで、インクルーシブな遊具広場、スケートボード場をはじめ、中央のテニスコート、ドッグラン、ベースボールスタジアムまで、遊具広場から本格的な運動施設まで多様な施設を備えています。その他、自然風庭園や噴水、芝生広場などがあります。
委員中牟田伸二委員
春日公園には多様な施設があることが分かりました。その中でも、スポーツ立県福岡推進のためアーバンスポーツの普及振興に向け整備されたスケートボード場や、ワンヘルスの取り組みの一環として整備されたドッグランは、春日公園によく行く私としては特ににぎわっているように感じます。これらの施設がどのぐらい利用されているか答えてください。
県の担当者火山公園街路課長
スケートボード場は令和7年4月にオープンし、直後の1か月間で約1,500人、オープンから令和8年2月までに約1万人に利用いただいています。初心者から上級者までレベルに合わせた障害物を設置したことから多くの方に利用され、とてもにぎわっています。令和6年4月にオープンしたドッグランは、令和6年度に約1万6,000頭、令和7年度は本年2月までで既に昨年度を超える約1万7,000頭の利用があり、休日には一時入場を待っていただくこともあるほど多くの方に利用いただいています。
委員中牟田伸二委員
前回のパリオリンピックで多くの日本人メダリストが誕生したことや、コロナ禍後のペットブームも一因と思いますが、最近整備されたスケートボード場やドッグランは大変多くの方に利用されていることが分かりました。開園から約45年が経過し、開園当初の施設は大規模な改修も行いながら利用しやすい環境を整えていると思いますが、公園利用者のニーズは時代とともに変化します。このためあまり利用されなくなっている施設もあるのではないかと思いますが、もしあれば答えてください。
県の担当者火山公園街路課長
開園当初に整備された施設には、テニスコート、ゲートボール場、野外音楽堂、球技場などがあります。その中でも昭和59年完成の野外音楽堂は、ピーク時の平成29年度の利用者が約2,000人でしたが、令和4〜6年度の平均利用者数は年約500人と4分の1程度まで減少しています。昭和56年完成のゲートボール場も、平成29年度の約1,700人から令和4〜6年度の平均が年約1,000人と減少傾向です。また指定管理者に確認したところ、休日の芝生広場は家族連れなどでにぎわう一方、メインエントランスやカスケードから噴水広場につながる通り、自然風庭園は休日でも閑散として利用者が少ない状況が見られます。利用者減少の原因は、施設に対するニーズの低下や施設の老朽化、周辺の樹木が大きくなり薄暗く感じることなどが考えられます。
委員中牟田伸二委員
多くの人に利用されていると思っていた春日公園も、施設によっては利用者が減少していることが分かりました。私自身、日頃から、駐車場が満車で空きを待つ車が入り口付近にとどまったり、駐車枠が空いておらず通路に停車する車を目にします。これは駐車場が無料で利用しやすい反面、車で訪れる利用者が多い結果でもあると思います。駐車場の問題を取り上げましたが、その他、公園全体に対して利用者から改善してほしいという声があると思います。どのようなものがあるか具体的に答えてください。
県の担当者火山公園街路課長
利用者から届いた声として、休日の昼間など駐車場が満車で駐車できず困ったという声や、特に利用が多い第5駐車場で満車の際に駐車場内の歩道に乗り上げて駐車する車両が見られ、公園利用者が車道を歩かざるを得ず危ないという声があります。これは駐車台数の不足に加え、公園利用以外の目的で駐車する方がいるため利用者が駐車できない状況が生じていることが一因と考えられます。ほかには、芝生広場・調整池について、降雨後に水はけが悪くぬかるんだ状態が続き広場として使いにくいという声があります。
委員中牟田伸二委員
新たに整備した施設がにぎわう一方、利用者が少ない施設や様々な課題があることが分かりました。開園から約45年がたち老朽化した施設もあることから、個別の整備だけでなく、公園全体としてより利用しやすい施設への更新や各施設をつなぐ動線の向上などの取り組みが必要と考えますが、今後どう春日公園の利用促進を図るか答えてください。
県の担当者火山公園街路課長
公園の整備は、公園全体で各施設の機能と目的、移動のしやすさなどを考慮して公園づくりを行うことが大切です。まずは、ご指摘のあった駐車場の課題を解決するため、駐車場の有料化を含めた、公園利用者が安心して駐車場を利用できる方策の検討を進めます。また、他の施設についても利用状況と利用者の声を把握し、専門家の意見を伺った上で、魅力ある施設の整備や公園内の回遊性の向上など公園全体のさらなる利用促進につながるよう再整備計画をしっかり検討してまいります。春日公園が持つ市街地における貴重な憩いの場、健康増進の場としての役割をより一層高め、これまで以上に多くの方々に利用され愛される公園となることを目指してまいります。
委員中牟田伸二委員
今回は春日公園について答弁をいただきました。県営都市公園全体の整備を今後どのように進めるのか、改めて部長の決意をお願いします。

山本建築都市部長。

県の担当者山本建築都市部長
県営都市公園の役割には、遊んだり運動したり休憩したりといった実感しやすい効果のほか、環境を守ったり防災に役立ったりと、そこに公園があることで発揮する効果もあります。近年の取り組みとして、スポーツ立県福岡推進のためBMXパークやスケートボード場などスポーツ施設を整備し、ワンヘルスの一環としてドッグランを整備しており、非常に多くの方に利用されています。公園の施設は時代とともに利用者ニーズが変化するため、利用者の声にしっかり耳を傾け整備の方針を検討してまいります。今後も県営都市公園が持つ多様な可能性を最大限に引き出し、子どもから高齢者まで誰もが楽しめる空間を整備することで、地域の皆様にとってより魅力ある公園となるよう取り組んでまいります。
委員中牟田伸二委員
部長から前向きな決意をいただきました。県営都市公園の全体整備は福岡県の魅力にとっても極めて重要な課題です。直接知事にお考えをお聞きしたいので、委員長、知事保留質疑のお取り計らいをお願いします。
委員長香原勝司委員長
ただいま中牟田委員から申し出のあった知事保留質疑を認めます。知事保留質疑は3月19日木曜日に行う予定ですので、ご了承ください。
委員中牟田伸二委員
終わります。(拍手)
委員長香原勝司委員長
ほかに質問はありませんか。波多江祐介委員、どうぞ。(拍手)
委員波多江祐介委員
自民党県議団の波多江祐介です。本日は既存住宅流通促進について質問します。 近年の物価高騰や人件費上昇で住宅価格が大きく高騰しており、国交省の九州沖縄地域の不動産物価指数では2010年に比べて現在の住宅価格は約1.5倍です。戸建てやマンションを購入しようとする子育て世代にとって大きな問題です。一方、空き家の問題もあり、福岡県でも人口減少が始まっており、今後さらに空き家が増加し、防犯・防災・景観の悪化、地域コミュニティの衰退など様々な社会問題を引き起こす要因となります。昨年度決算特別委員会で県の空き家対策を尋ね、本県独自の福岡県空き家活用サポートセンター(通称イエカツ)の取り組みなどを通じて県が空き家の利用に積極的に取り組んでいることが分かりました。古くて使えない空き家は除却するしかありませんが、まだ使える空き家は住宅として必要とする人に利用してもらうことが大事です。住宅価格が高騰する中、新築より手頃な価格で取得できる中古住宅市場が注目されています。県が取り組む既存住宅の流通促進に関する資料を要求していますので、上段の福岡県こどもリノベ補助金事業について説明をお願いします。

小河住宅計画課長。

県の担当者小河住宅計画課長
資料上段の『こどもまんなか既存住宅流通リノベーション推進事業』、通称福岡県こどもリノベ補助金事業をご覧ください。この事業は、若年・子育て世帯に子育てしやすい既存住宅の取得を支援し、既存住宅の流通促進と県外からの移住増加を図るものです。補助対象は若年世帯や子育て世帯で、流通型として専門家による建物状況調査(住まいの健康診断)を実施して購入した中古住宅、あるいは持家型として同居する親世帯の持家を対象に、子育てしやすくリノベーションする際に補助します。例えば、子どもを見守りながら家事ができるアイランドキッチンへの改修や、親子で一緒に入浴できる広い浴室への改修などを想定しており、補助率は3分の1、補助上限は50万円です。また、移住支援金を実施している市町村に県外から移住してくる世帯には補助率・補助上限の引き上げを行っています。
委員波多江祐介委員
既存住宅の流通促進は、空き家対策に加え子育て世帯の住宅取得を支援する上でとても大切な取り組みです。本事業のこれまでの利用実績と、利用した方からどのような声が届いているか伺います。
県の担当者小河住宅計画課長
この制度は平成28年度から開始され、これまで合計575件で、特に今年度は73件と多くご利用いただいています。利用者からは、子ども部屋の間取りの変更工事などに補助が使えたのがよかった、補助金のおかげで諦めていた部分の工事ができたなどの声をいただいており、子育て世帯が中古住宅を取得する後押しができていると認識しています。
委員波多江祐介委員
利用実績や大変喜ばれていることがよく分かりました。一方で懸念するのは、こうした事業が広く周知されているかという点です。地元の宅建業者にこの補助金について尋ねたところご存じなく、しかし内容を説明すると大変すばらしい事業だと言われました。よい取り組みでも多くの方に知ってもらうためしっかりPRすることが重要ですが、本事業の周知をどう行っているか尋ねます。
県の担当者小河住宅計画課長
住宅取得を検討している若い世帯にこの事業を活用してもらうにはしっかりPRを行うことが重要です。これまでパンフレットの配布や県のホームページへの掲載のほか、住宅雑誌や新聞への広告掲載などを行い、昨年度からは、子育て世帯がよく目にするSNSやウェブ広告、フリーペーパーを使ったPRを行っています。また、ご指摘のように地元の宅建事業者がこの事業をご存じなかったことから、これまで消費者向けのPRを中心に行ってきましたが、今後は新たに宅建事業者団体などの業界団体を介して事業者にも周知を図り、より多くの方に活用いただけるよう取り組んでまいります。
委員波多江祐介委員
これまでの周知はよく分かりました。今回から多くの事業者にも知っていただけるよう取り組んでいただきたいと思います。ところで来年度の新規事業に、既存住宅の流通促進の取り組みとして『空き家再生子育て応援事業』があります。資料下段に示されており、市町村や買取り再販事業者と連携して空き家を再生し子育て世帯の住宅取得を応援する事業です。この新規事業をどういう狙いで取り組むのか尋ねます。
県の担当者小河住宅計画課長
空き家再生子育て応援事業の狙いですが、まず、多くの市町村は空き家の実態調査で所在や所有者の情報を持ちながら十分に活用されていないことから、その情報を活用して市町村から空き家の所有者に積極的に売却を働きかけてもらいます。次に、空き家の相続手続などが済んでいないことが売却が進まない要因になっていることから、その手続費用を補助して売却を後押しします。さらに、住宅取得を検討する人にとって中古住宅は見た目が古い、設備の老朽化が不安、購入後のリフォーム費用が高くつきそうなどの理由で選ばれない傾向があることから、買取り再販事業者と連携して子育て世帯に喜んでもらえるようきれいにリフォームして販売します。これらを一連の事業としていくつかの市町村でモデル事業として取り組み、新築より手頃な価格の安心で魅力的な住宅を多く供給することで子育て世帯の住宅取得を応援し定住を促進します。
委員波多江祐介委員
この事業はいくつかの市町村と取り組むモデル事業とのことですが、どういった地域で実施するのか、具体的に実施する市町村が決まっているか尋ねます。
県の担当者小河住宅計画課長
都市部から離れ既存住宅の流通が進んでいない地域では空き家が増加傾向にあり、市町村も対策に取り組んでいますが打つ手が少ない状況です。本事業はこうした地域の市町村と連携して進めたいと考えており、具体的には令和8年度は飯塚市、柳川市、遠賀町、築上町と連携して実施したいと考え、現在協議を行っています。
委員波多江祐介委員
まずは嘉飯桂地域や県境などの市町村で取り組まれることが分かりました。こうした地域で実施することは都市部の一極集中に歯止めをかけ、均衡ある地域振興にも効果があると考えます。人口減少の中、県内では福岡都市圏への人口集中が進んでいますが、この流れを抑制し県下に広く移住・定住の流れをつくる必要があります。我が会派の代表質問で秋田幹事長の広域連携の問いに対し、服部知事も福岡都市圏への一極集中の流れを変え県全体の地方創生の実現を図ると答弁されました。本事業がうまく進み、若い世代の地方への移住・定住につながることを期待します。一方、若い世代が定住するには住宅確保の支援だけでなく、地域の魅力や市町村が行う人を呼び込む施策も多くの方に知ってもらう必要があります。その意味でも本事業を市町村としっかり連携して進めてほしいと考えます。改めて、この事業を進める上での部長の決意を伺います。

山本建築都市部長。

県の担当者山本建築都市部長
人口減少などで負の財産にもなりかねない空き家が増加している地域で、子育て世帯などを呼び込み定住につなげることはこの事業の大きな目的です。この地域の空き家を活用することで、手頃な価格、自然に恵まれた周辺環境、家庭菜園も可能な広い敷地、子育てしやすい仕様の比較的規模の大きな住宅など、魅力的な住宅を提供できると考えますが、ご指摘のとおり住宅の提供だけでは移住・定住につなげるには不十分です。このため、地域の歴史・文化・自然などその魅力を効果的に発信する地域ブランディングに取り組む市町村と一緒になって、より大きな成果が得られるよう取り組みます。また、この事業の取り組みや成果を空き家が増加している他の市町村にも広く周知し、空き家を活用した地域活性化の取り組みを促してまいります。
委員波多江祐介委員
終わります。(拍手)
委員長香原勝司委員長
ほかに質問はありませんか。

―― 「なし」と呼ぶ者がある ――

委員長香原勝司委員長
ないようですので、中牟田委員の知事保留質疑を残し、8款県土整備費に関する質疑を終わります。以上で本日の議事を終了します。明日17日火曜日の委員会は午前11時に開き、歳出9款警察費から14款予備費まで、第2条債務負担行為から第5条歳出予算の流用まで、第2号議案から第20号議案までの特別会計・企業会計の審査を行う予定です。本日はこれで散会します。

出典: 福岡県議会 会議録検索システム